リサーチ・アイ No.2023-063
米国における大手ノンバンク(NBFI)規制・監督方針の見直し ~ ノンバンクSIFI(金融システム上重要な金融機関)指定に向けたガイドラインを策定 ~
2023年11月28日 谷口栄治
米金融安定監督評議会(FSOC)は、本年11月、投資ファンドや保険会社といったノンバンク(NBFI)を「金融システム上重要な金融機関(SIFI:Systemically Important Financial Institution)」として指定するというガイダンスを採択。
具体的には、FSOCが予備的な分析(第1段階)や追加的なレビュー(第2段階)を通じて当該NBFIの金融システムへの影響力を検証し、SIFIに指定するかを判断。指定されたNBFIは、米連邦準備理事会(FRB)の監督下に置かれ、健全性基準等の対象となる見通し。
米国のノンバンクSIFI指定は、2012年に導入。AIG、MetLife、Prudential、GE Capitalの4社が指定され、GE Capitalは事業を大幅縮小。一方、当時は資産規模の大きい資産運用会社は指定されなかったほか、トランプ政権下では、既存のSIFI指定を解除のうえ、プロセスを厳格化し、指定を困難にする見直しが行われていた経緯あり。
このように、実際のノンバンクSIFI指定には困難を伴うほか、来年の大統領選の結果次第では方針が転換する可能性も存在。もっとも、NBFIに対する規制・監督強化がホットイシューとなるなか、世界最大のNBFI市場の米国でノンバンクSIFI指定の動きが活発化すれば、金融システムや国際的な規制の議論に大きな影響が生じることから、今後の動向を要注視。
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