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リサーチ・アイ No.2023-056

米国の利上げ効果、企業部門にも本格波及へ ― 債務借り替えで利払い負担急増、設備投資を年率で▲0.2~▲0.3%押し下げ ―

2023年11月09日 立石宗一郎


米国では、企業への利上げ効果が浸透せず。政策金利が大幅に引き上げられているにもかかわらず、ネットベースでみた利払い額は昨年から3割減少。この背景として、利上げ後に金利収入が急増したほか、コロナ流行直後の低金利局面で、企業が固定金利での調達を増やし、借入金利上昇による返済負担の急増を回避したことが指摘可能。固定金利型の債務が全体に占める割合は85%に達しており、コロナ前から5%ポイント上昇。

もっとも、今後は利上げによる景気下押し効果が企業部門にも波及する見込み。来年以降、多くの企業で社債の満期が到来。来年に満期を迎える社債は約6,000億ドル(90兆円)と今年(2,000億ドル)から急増する見込み。さらに、3年後の2026年には1兆ドル(150兆円)近くに達する見通し。社債の借り換えで、利上げ前の金利から現在の高金利が適用されることで、企業の調達コストは上昇。借り換え企業の社債金利が3%程度上昇する可能性を踏まえると、利払い負担は今後3年間で1,000億ドル(15兆円)増加する計算に。

利払い負担の増加はキャッシュフローの減少などを通じて設備投資を押し下げる見込み。今後3年間における利払い負担の増加により設備投資は年率で▲0.2~▲0.3%押し下げられると試算。仮に、利払い負担の増加で企業収益が悪化する場合、格下げなどを通じて、利払い負担の一段の増加や借り換え額の縮小を余儀なくされ、設備投資の下押し圧力は一段と強まる点に要注意。


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