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リサーチ・アイ No.2023-051

韓国で懸念される住宅価格の再下落 ― 高金利の持続、賃金の減少、少子化が背景  ―

2023年10月20日 立石宗一郎


韓国では、足元で住宅価格の下落が一服。住宅バブル崩壊を防ぐことを目的に、政府が融資規制の緩和など不動産市場のテコ入れ策を実施したことが背景。もっとも、以下の3点から住宅価格は再び下落に転じ、逆資産効果などを通じて個人消費が冷え込む恐れ。

第1に、高金利の持続。米国の長期金利が上昇していることから、韓国ウォンの下落圧力が根強い状況。今後も米FRBは政策金利を現行の高水準で据え置く可能性があることから、韓国銀行(中央銀行)も、通貨安やインフレを回避するために政策金利を高めの水準に維持する見通し。住宅ローンの利払い負担が家計の重荷となり、住宅投資は押し下げられる公算大。

第2に、賃金の騰勢鈍化。労働者1人あたりの平均月給は2023年1~7月に前年比+2.2%と、昨年(同+4.9%)から減速。巣ごもり消費の終焉によるハイテク製品需要の急減を受けて輸出が低迷するなど、主要産業の不振が賃金を押し下げ。これにより家計の住宅購入余力は低下。

第3に、少子化問題。韓国の合計特殊出生率は0.78人(2022年)と、日本(1.26人)よりも大幅に低く、OECD加盟国のなかで最下位。韓国では、結婚の際に家を購入することが一般的であるため、住宅価格の高止まりは少子化を加速させるとして社会問題に。今後、政府は少子化対策に重点を置き、住宅バブル崩壊リスクを回避しつつも安易な価格上昇は許容しないとみられ、住宅価格の押し上げにつながる政策は見直される可能性。

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