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リサーチ・フォーカス No.2023-032

地方が取り残されないデジタル化に向けて ~デジタル化支援の「場」と「人」の拡充、取り組みの成果の把握が必要~

2023年10月17日 藤山光雄


わが国では、地方を含め、通信インフラの整備は着実に進んできた。一方、通信インフラを利用する側のデジタル化の状況には、依然として地域あるいは年齢によって大きな差異が認められる。高齢化率の高い都道府県ほど、インターネット利用割合が低い傾向にあり、高齢化が進む地方において、いかに高齢者のデジタル活用を促すかが課題となっている。

高齢者がデジタル機器を利用していない理由をみると、必要性を感じないとの回答が多い。もっとも、地方に住む高齢者にとって、デジタル化は、①生活の利便性の向上、②仕事の効率化や新たな機会の創出、③災害時や緊急時の情報収集・連絡手段としての活用、などの面からメリットが大きい。

現在、国や地方自治体では、デジタル庁による「デジタル推進委員」の任命、総務省によるデジタル講習会の開催支援、地方自治体独自のデジタルデバイド対策などの取り組みが行われている。しかしながら、主な取り組みの場は携帯ショップとなっているのが実情であり、規模の小さな市町村を含め、全国津々浦々で十分な取り組みが行われているとは言い難い。

今後、地方やそこに住む高齢者が取り残されないわが国社会全体のデジタル化を実現していくためには、以下のような取り組みが求められる。
① 高齢者に優しいインターフェースの工夫:大前提として、スマートフォンという形態にとらわれず、デジタル機器やサービスのインターフェースを高齢者に使いやすいものとする必要がある。

② 地域コミュニティの活用:日常的なデジタルの活用の「場」、あるいは、指導役となる「人」の確保のために、地域コミュニティ(自治会や町内会)や学校、図書館、老人ホームなどを積極的に活用していくべきである。

③ 国による積極的な関与:財源や人材が不足しがちな規模の小さな自治体を含め、幅広い地域で高齢者のデジタル活用を進めていくためには、自治体任せではなく、国による全国共通の取り組みとサポートを一段と推進することが求められる。

④ 取り組みの成果の把握と KPI の見直し:取り組みの本質的な成果は、デジタル推進委員の数や講習会の実施回数だけでは測れない。デジタル推進委員の活動実績や、地域別・年齢別のデジタル化の度合いを計測・把握し、目標とすべきである。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
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