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リサーチ・レポート No.2023-010

自律した地域社会に向けた地方税改革~求められる自主性と公平性、財政健全化~

2023年10月05日 蜂屋勝弘


地方行政では、地域のニーズに応じた行政サービスが求められる一方で、行政サービスに地域差が生じている。コロナ禍での事業者への「協力金」が記憶に新しいが、平時でも、子どもの医療費助成や私立高校就学支援などに地域差がみられる。各自治体の裁量ではあるものの、行政サービス全体でみると、企業からの税収が多い自治体の行政サービスが充実する傾向にあり、行政サービスが手厚い地域の住民が、他地域よりも重い税負担を受け入れているわけではない。

現在の地方税財源の問題点として、①住民の受益と負担の関係が希薄化していること、②自治体の課税自主権の実施対象が企業に偏っていること、③行政サービスにおいて住民の選択によらない地域差があること、が指摘可能。これらを改善する国と地方の税制改革として、①企業の税負担を地方から国に移すと同時に、②個人の税負担を国から地方に移すことが考えられる。

上記の税制改革による改善効果をみるために、実際のデータを用いたシミュレーション分析を行うと、①受益と負担の関係の強化、②課税自主権が大きく認められている個人住民税の割合の拡大、③行政サービスの地域差をもたらす税収の地域間偏在の是正、が確認される。

加えて、①税収の地域間偏在が是正されることを受けた地方交付税の所要額の減少、②受益と負担の関係が強化されることによる歳出抑制、といった効果が期待されることから、財政健全化にもつながると考えられる。

近年、税収の地域間偏在是正等の観点から、地方法人課税を縮小し同額を国税に変更する税制の見直しが行われてきた。しかしながら、国税となった税収が、地方交付税や地方譲与税として自治体に配分されるため、地方分権の観点からは当を得た対応とは言い難い。地域行政サービスの財源は、有権者である地域住民が直接負担してこそ、真の地方分権と言えよう。

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