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リサーチ・レポート No.2023-009

コロナ禍における雇用調整助成金の効果と課題

2023年10月04日 村瀬拓人


コロナ禍での特例措置の導入による雇用調整助成金の大規模な支給は、雇用の維持に一定の効果があったものの、一人の雇用を1ヵ月維持するのにかかったコストは23万円に上る。支給条件の大幅な緩和が、コスト上昇につながったといえる。

コロナ禍での助成金の受給企業は、大企業や製造業に偏りがあり、必ずしも支援を必要とする企業にターゲットが絞れていたとはいえない。さらに、コロナ禍では、対象となる休業者がアルバイトなどに拡大されたものの、助成金の恩恵を受けたのは雇用保険被保険者である正社員が中心である。

経済危機下で労働移動が活発化し、生産性が高まる米国の例や、人手不足が偏在していたコロナ禍の日本の労働市場を勘案すると、より早い時期に特例措置を縮小・廃止し、労働移動を促進した方が、経済活動の回復や生産性の向上につながった可能性がある。

雇用調整助成金の利用が、経済危機の発生時に集中していることを踏まえると、平常時から経済危機時の助成金の活用方法について議論しておく必要がある。雇用調整助成金の目的を休業による雇用の維持ではなく、職業訓練などによる労働移動の促進と明確に位置付け、経済危機下で特例措置を導入する場合も、対象を教育訓練による雇用調整に限定すべきである。

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