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ビューポイント No.2023-012

深刻化する人手不足とその打開策―現場AI活用とダイバーシティーに鍵、女性・シニア活躍で15%の不足緩和効果―

2023年09月20日 山田久


足元の人手不足の背景には、これまでに女性・高齢者といった未活用労働力の就労が促進され、労働供給制約の天井に近くなってきたことがある。2022年の性別・年齢階層別の労働力率を固定してシミュレーションを行えば、労働力人口は2035年までに▲3.9%、2050年までに▲11.0%減少する結果となる。わが国はいわば「令和のルイスの転換点」を通過しつつあり、賃金にも上昇圧力がかかっている。

労働供給制約による賃金の上昇は、AI導入等を通じた生産性向上のインセンティブになる。だが、注意しなければならないのは、人手不足が深刻な業務分野と技術革新によって生産性向上が期待される業務分野の間に、無視できないミスマッチが存在することである。デジタル技術活用で先行する米国では、人員に余裕のある事務労働が減少する一方、現場労働では人手不足が強まっている。

人手不足の緩和には、現場力で競争優位を築いてきたわが国ならではの観点から、デジタル技術の導入を現場労働分野で進めることが重要である。その際、デジタル技術と人による手作業やサービスを融合した、新しい質の高い現場労働へと進化させていく可能性を追求すべきである。

根強く残る固定的な性別役割意識や年功的な雇用慣行に本格的なメスを入れ、女性・シニアのコア人材化・戦略人材化を進める必要がある。それによる労働投入量増加と生産性上昇効果で、15%の人手不足緩和効果があると試算され、外国人熟練現場労働者の定住化で更なる緩和効果が期待できる。ダイバーシティー・マネジメントに本腰を入れる企業の広がりが期待されるとともに、政府には就業抑制的な年金制度の是正や外国人労働者の定住政策の推進が求められる。

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