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リサーチ・フォーカス No.2023-018

中小企業財務の現状と今後求められる政策対応の方向性

2023年07月26日 谷口栄治


2022年度の中小企業の業績は、前年に引き続き売上高(粗利益)が増加した一方、販管費が増加し、経常利益は前年度比▲1%減。業種別にみれば、製造業において原材料価格の高騰等により、業績が悪化している一方、コロナ影響の大きかった宿泊・飲食、生活関連・娯楽といった対面型サービス業で、経済活動の回復に伴い、復調の兆し。

中小企業向け貸出残高(22年度末)は、前年比+5%と伸びが加速。コロナ影響前の19年度末と比較すれば、+13%と高止まり。なかでも、宿泊・飲食業は同+20%超と伸び率は突出。一方、中小企業全体で保有現預金も両建てで増えており、有利子負債から現預金を差し引いたネット有利子負債は、20年以降横ばい。債務負担を測る指標である債務残高月商比や債務償還期間は、製造業ではコロナ前を下回っている一方、対面型サービス業では、売上やキャッシュフローの減少により長期化。

今後1年で、実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格化するなか、債務返済負担の増大や企業倒産の増加が懸念される状況。今後の政策対応にあたっては、業種別の差異等を踏まえ、以下のようなきめ細かい支援が必要に。
・返済負担の増大、企業倒産増加への備え
借換保証などの資金繰り支援策は、企業の経営環境の急変を防ぐための措置として位置づけ。制度の利用状況等の実態を踏まえ、対象の絞り込みを検討するなど、一律的な対応は回避すべき。

・競争力強化・生産性向上を通じた債務返済能力の引き上げ
中小企業の競争力強化、生産性向上に向けて、伴走者としての地域金融機関の役割が重要に。金融・非金融の両面から、顧客の本業支援、コスト構造改革等をサポートしていくことが必要。とりわけ、コロナ影響の大きかった対面型サービス業等で、人手不足が業績回復のボトルネックになりかねない点を踏まえ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進支援が必要。


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