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リサーチ・フォーカス No.2023-013

米中堅銀行の破綻要因とわが国への示唆

2023年07月12日 谷口栄治


米国では、本年3月以降、シリコンバレーバンク(SVB)、シグネチャーバンク、ファースト・リパブリックバンク(FRC)が相次いで経営破綻したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)や米連邦預金保険公社(FDIC)といった米金融当局が、破綻の経緯や問題点を調査し、今後求められる規制や監督のあり方を提言。

具体的には問題点として、①破綻金融機関のリスク管理やガバナンスの脆弱性、②監督当局の対応力不足、③金融規制・預金保険制度の不備、④デジタル化に伴うリスクの高度化、を指摘。

これらを踏まえ米当局では、今後求められる対応として、①機動的な監督態勢の構築と中堅銀行への規制強化(監督当局の権限強化、資産規模1,000 億~2,500 億ドルの銀行に対する資本規制要件の厳格化等)、②企業の決済用預金を全額保証の対象とするなど、預金保険制度の枠組み見直し、を提示。

米国における事象を踏まえ、わが国の金融当局や金融機関が考慮すべきインプリケーションや今後求められる対応は、以下の3点。
① 当局による動態的・機動的なリスクの把握・管理
わが国全体としてみれば、金利上昇によるバランスシート毀損や預金流出のリスクは総じて限定的と評価できる一方、米国での事例を踏まえれば、個別金融機関のリスク管理やガバナンス、ポートフォリオ等をきめ細かく検証する必要あり。

② デジタル化を踏まえた規制・監督態勢の見直し
金融取引のデジタル化を踏まえた金融規制・監督態勢の構築が不可欠。具体的に、SNS やオンラインバンキング普及に伴う取り付け騒ぎ(デジタルバンクラン)のリスクの検証や、RegTech やSupTech を通じた規制・監督態勢の高度化が重要に。

③ ノンバンクセクターに対する規制・監督
金利上昇に伴うリスクについては、ノンバンクセクターにも存在するため、国際的な連携のもと、リスクの把握や規制・監督のあり方の検討を進めていく必要あり。同時に、金融取引のデジタル化に伴う金融システムへの影響等について、銀行預金への影響にとどまらない俯瞰的な検証が必要に。


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