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リサーチ・フォーカス No.2023-010

大阪圏の転出超過縮小の背景を探る ~人口流出抑制に向け、若年男性の雇用機会創出がカギに~

2023年06月06日 藤山光雄


大阪圏の人口移動をみると、2000 年から 2010 年にかけて、転出超過幅が大きく縮小した。製造業の雇用吸引力が高まったためと言われることが多いものの、同時期に雇用環境が大きく改善したわけではない。実際には、同時期に団塊ジュニアのボリュームゾーンが 30 歳代にシフトし、就学や就職による移動の多い若年層の人口が大きく減少したため、その分大阪圏からの転出者の絶対数が減少したとみられる。

一方、2010 年以降の緩やかな転出超過幅の縮小は、雇用環境の改善によるところが大きい。大阪圏の就業者数の増減を産業別にみると、高齢化を背景とする医療・福祉の大幅な増加が続くとともに、インバウンド需要の盛り上がりを受け、宿泊業・飲食サービス業や小売業など、観光業の雇用吸引力が高まった。

大阪圏からの人の流出を防いでいくにあたっては、まず、若年女性の就業環境の一段の改善が求められる。2010 年以降の大阪圏の転入超過のほとんどを、若年層の女性が占める。もっとも、大阪圏からの若年層の女性の転出は増加傾向にある。女性の就業者の増加が目立つ医療・福祉産業、観光関連産業などで、就業環境の改善を通じて、さらに女性を取り込んでいくことが求められる。一方、若年層の男性は転出超過が続いている。就業等で大阪圏から転出してしまう男性を引き留めるためには、大阪圏で働きたいと思わせる魅力的な雇用機会を提供していく必要がある。

若年層の流出抑制を目指す他の都市圏にとって、三大都市圏のひとつである大阪圏がその先導役となることを期待したい。

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