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リサーチ・レポート No.2022-017

カーボン・プライシングの活用に向けた課題 ~炭素価格引き上げの国内環境整備と国際協調を~

2023年03月20日 蜂屋勝弘


2023年2月、「GX実現に向けた基本方針」(「GX基本方針」)が閣議決定され、わが国の産業構造等のグリーン・トランスフォーメーションの一環として、温室効果ガスの排出量に応じた金銭的負担を企業等に求めるカーボン・プライシングの活用が打ち出された。

カーボン・プライシングの具体策として、化石燃料の輸入事業者等への「炭素に対する賦課金」(「賦課金」)と、企業が自主的に参加する排出権(量)取引の導入が示されたものの、将来のわが国の炭素価格は地球規模のカーボン・ニュートラルの実現には不十分。この意味で炭素価格の一段の引き上げに取り組む必要。「賦課金」で得られる政府収入の使途硬直化も懸念事項。

わが国でも一段の炭素価格の引き上げが求められる一方で、わが国の主要な貿易相手国である中国等のアジア各国やアメリカ等の炭素価格がわが国よりも低いことを踏まえると、国内生産とそれに伴う温室効果ガスの排出量が海外に移転する「カーボン・リーケージ」に注意が必要。

実際、わが国よりも炭素価格が高い欧州では、欧州域外へのカーボン・リーケージのリスクに配慮しつつ、炭素価格が引き上げられてきたという経緯。

わが国でも、今後、炭素価格の一段の引き上げとカーボン・リーケージ回避の両立が課題となる。まずは、炭素価格を引き上げやすくする環境整備が重要であり、①炭素価格の製品価格への転嫁の促進、②それに伴う生計費上昇対策としての低所得家計への支援が必要。また、カーボン・プライシングによる政府収入を一般財源化し、使途の柔軟性確保が求められる。

併せて、カーボン・リーケージ回避に向けて、各国が歩調を合わせて炭素価格を引き上げるよう、国際社会に働きかけることが重要。


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