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リサーチ・アイ No.2022-086

韓国で強まる賃上げ要求、インフレが長期化 ― 利上げ長期化で景気下振れのリスク ―

2023年03月09日 立石宗一郎


韓国の消費者物価の伸びは、通貨安や資源高の一服で昨夏から低下しているものの、コア指数は高止まり。2月のコアインフレ率は前年同月比+4%と、韓国銀行(中央銀行)のインフレ目標2%を大幅に超過。

コアインフレの高止まりは、賃金の上昇が一因。最低賃金の伸びは抑えられているにもかかわらず、賃金上昇率は高止まり。これには、労働者の交渉力が強まっていることが影響している可能性。労働組合の組織率は2010年代後半から上昇しており、最近では日本やドイツなどの先進国と遜色ない水準。組織率の上昇は、前政権が、①非公認であった公務員労働組合を承認、②失業者や解雇者の労働組合加入を認める改正労働組合法の施行などの政策を実施したことによるもの。この結果、最近は大規模なストライキが頻発するなど、労働組合による賃上げ要求が強まっている状況。

高インフレを受けて、韓国銀行は過去1年半にわたり利上げを実施。政策金利とともに長期金利の上昇は続き、2月末には2019年末の水準から約2%上昇。アジア主要国のなかでは金利上昇幅が最大。労働者の賃上げ要求が一段と強まると、インフレの沈静化が遅れ、利上げが長期化し、内需悪化による景気下振れリスクが増大。
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