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リサーチ・フォーカス No.2022-060

経営者保証の見直しに向けた動きと今後の課題

2023年02月28日 谷口栄治


これまで、わが国では、一般的な取引慣行として、銀行等の金融機関が中小・零細企業等に対して融資を行う際に、経営者の個人保証を徴求。もっとも、企業が破綻した際に、連帯保証人として経営者は当該債務の返済義務を負うため、起業・創業、事業承継、抜本的な経営改善等を阻害するデメリットあり。

これに対して、金融庁や中小企業庁は、経営者保証を見直すため、2013 年策定の「経営者保証に関するガイドライン」において、経営者保証を徴求しない要件として、法人と経営者との関係の明確な区分・分離等を提示。もっとも、民間金融機関による融資の7割は依然として保証付き。

こうしたなか、2022年12月、金融庁、経済産業省、財務省は、経営者保証に依存しない融資慣行を確立・加速させていくことを目的に、「経営者保証改革プログラム」を公表。そのなかで、今回の「経営者保証改革プログラム」では、①スタートアップに対する経営者保証を徴求しない信用保証制度の創設、②金融庁の監督指針の改訂を通じた経営者保証徴求手続きの監督強化、③保証料の上乗せにより経営者保証の解除できる信用保証制度の創設などを採用。

経営者保証依存を転換するため、今後、以下の3点に取り組むことが課題に。
①モラルハザードの抑止 ~ 実態を踏まえた保証見直しの徹底
金融機関は、債務者の実態把握を伴わない安易な経営者保証の解除や、無保証融資を行わないようにすべき。当局は、金融機関の債務者実態把握のプロセスや精度を多面的にモニタリングする必要。

②金融機関の目利き力向上 ~ 保証見直しを契機とした顧客との関係強化
金融機関は、経営者保証見直しを契機として、目利き力の向上や与信判断の高度化を図るとともに、顧客の本業に対する理解の深化と経営課題の把握等を通じて、取引関係をさらに強化させることが肝要。

③リスクテイクを促すための環境整備 ~ 「事業成長担保権」の創設
新たな担保制度として導入される方針の事業全体を包括的に担保権の対象とする「事業成長担保権」の周知、実務負担軽減策が必要。


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