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リサーチ・フォーカス No.2022-057

市区町村のDX 推進における 都道府県の役割

2023年02月02日 野村敦子


国のデジタル・ガバメント政策のもと、全国で自治体DX が推進されているが、地域間で差が生じている。先行する地域では、都道府県が基礎自治体の底上げのための独自の創意工夫を行っているのではなかろうか。そこで、域内の基礎自治体におけるDXの進展度合いが上位の県を取り上げ、全体の底上げのためにどのような施策を講じているか、インタビュー調査をもとにまとめた。その概要は、以下の通りである。

福井県は、県内の様々な主体が一丸となって協働する「チームふくい」の理念のもと、市町を実証実験の場とする「CO-FUKUI 未来技術活用プロジェクト」など多様な施策を展開している。施策を遂行するにあたっては、地域住民を巻き込むとともに、地域内外の専門人材やパートナー、資源を積極的に活用している点に特徴がある。

静岡県は、県内の市町の規模や地理的条件、進捗状況などが様々であり、県の担当部局幹部が市町に直接訪問・対話するなどきめ細かな対応を進めている。同県では、「VIRTUAL SHIZUOKA」の構築に取り組んでおり、ここで提供されたオープンデータが災害時の救助活動や復旧に役立つなど、大きな成果を上げている。

広島県は、デジタル人材の育成・確保に向け、2023 年度より「DXShip(デジシップ)」と呼ぶ人材採用・育成・活用プログラムを計画している。県が一括してデジタル人材の採用・配属を行い、情報システム人材リスト・データベースを構築して、専門人材が県と市町を垣根なく行き来しながら経験を積んでいくことを構想している。

山梨県は、基礎自治体における電子申請への対応が最も進んでいる。2000 年代より、山梨県市町村総合事務組合を基盤として、県と全市町村が協力して電子自治体に取り組む体制が構築されてきたことにより、突出した成果が生まれている。

先行する自治体に共通するポイントとして、①国の推進計画に受け身となるのではなく、自らの地域課題を踏まえ独自の計画やプロジェクトを策定・遂行していること、②県と市町、住民の間の対話・交流を基盤としていること、③現場職員に、DX やデジタル化を「自分ごと」と捉える意識とスキルを植え付けていること、が指摘できる。

都道府県による基礎自治体の底上げの取り組みに対し、国は自治体の実情やニーズを適切に把握し、①支援対象の拡充、②適切な情報提供と透明性の確保、③地域の状況に応じた柔軟な外部人材の登用支援などに、丁寧に対応していくことが求められる。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)

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