コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・フォーカス No.2022-054

インボイス制度導入を契機に期待される中小企業の金融取引のDX

2023年01月25日 谷口栄治


わが国では、2019 年10 月の消費税率の引き上げとともに軽減税率制度が導入されたことを受けて、企業間取引の適用税率や支払税額を正確に把握することを目的に、2023 年10 月にインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入される予定。

インボイス制度導入による政策効果として期待されるのが、中小・零細企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進。従来紙ベースで対応していた請求書発行関連業務の電子化が進展すると期待される。

一方、これまで消費税の納付を免除されてきた小規模事業者にとって、インボイス制度への対応負担は重いほか、対応できない場合には納入業者サイドで仕入税額控除を受けられなくなるため、取引を解消される事態が生じる恐れあり。

人手不足が深刻化するなか、中小企業のDX 支援を通じて生産性を高めていくことは重要な政策課題であり、小規模事業者の負担増という課題に配慮しながら、インボイス制度の円滑な導入を進めていくことが必要。同時に、インボイス制度導入までの過程や、導入後に想定される事態などを踏まえると、以下の3点が重要に。

① 周知・認知度向上に向けた施策の重要性

インボイス制度導入まで1年を切るなか、対応が遅れている事業者もある程度存在。今回の広報施策等を広範に検証し、そこで得られた知見をもとに、周知や認知度向上のための施策を政府全体で検討していくことが必要。

② 金融機関による中小企業のDX 支援
膨大な中小・零細企業の顧客基盤を有する銀行によるDX 支援は重要。インボイス制度の導入に伴い、全銀EDI システム(ZEDI、ゼディ)の普及促進等に取り組むことで、企業間の資金決済業務の効率化を実現させていく必要あり。

③ システム関連の事業者のノウハウ活用
システム関連事業者が有するノウハウを金融取引の領域に活用する観点から、金融機関とクラウド会計サービス事業者との連携を通じて、DX に資するソリューションを提供していくことが重要。同時に、オペレーショナル・レジリエンスの観点から、システムリスクの検証等を事前に検討することも有効。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ