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リサーチ・フォーカス No.2022-047

暗号資産市場の混乱と国際的な規制整備に向けた動き

2022年12月02日 谷口栄治


金融政策正常化の進展を背景に、投資家のリスク回避姿勢が強まるなか、暗号資産(仮想通貨)市場は低迷。とりわけ、2022 年の中頃からは、一部の暗号資産で取り付け騒ぎが発生したほか、関連事業者の破綻が相次ぐ状況。

こうした暗号資産市場の混乱を受けて、2022年10月、金融安定理事会(FSB)は、暗号資産事業に対する規制・監督の枠組みに関する提言案を提示。

FSB は、暗号資産市場における課題として、①価格下落時の市場の脆弱性、②暗号資産事業者のビジネスモデルの複雑化、③金融システムとの相互連関性の高まり、④事業者の内部管理態勢等に対する監督不備、といった点を指摘。

こうした課題認識のもと、FSB は、暗号資産事業に関する包括的な規制の枠組みとして、①「同じ活動、同じリスク、同じ規制」原則に沿った規制・監督の仕組みの整備、②ガバナンスやリスク管理といった事業者の内部管理態勢の監督、③データ収集や開示を通じたリスクの把握・予見、④複数の機能を持つ事業者などの複雑性への対応、が必要と主張。

大手暗号資産事業者(FTX トレーディング)の破綻もあり、暗号資産市場に対する規制強化が国際的なホットイシューとなるなか、FSB による提言等も踏まえ、わが国として、以下の3点の対応が必要。
① 国際的な当局間の連携強化
わが国では、過去の暗号資産事業者の不祥事等もあり、世界に先駆けて暗号資産に関する規制・監督を整備。今後、国際的な規制の検討の場において、わが国の経験や実務上の論点等を伝えていく必要あり。

② 国内の規制・監督態勢の高度化
金融システム等への波及リスクを把握するために、暗号資産取引や投資家に関するデータを整備するなど、国内の規制・監督態勢の不断の見直しが肝要。

③ 成長戦略への活用
NFT(非代替性トークン)の実用化など、ブロックチェーン技術の活用やトークン化等を成長戦略として推進する「攻め」の視点からの制度整備も重要。


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