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2022年11月01日

各位

株式会社日本総合研究所


誰もが「おひとりさま」になる社会での高齢者を支える仕組みを提言

~頼る人がいない高齢者が自律的に暮らせる地域体制づくり~



 株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎勝教、以下「日本総研」)は、身近に手助けをする人がいない高齢者が自立的な生活を送るための社会の仕組みについて、提言として取りまとめたホワイトペーパー「個・孤の時代の高齢期 ~誰もがおひとりさまになる社会~」(以下「本ホワイトペーパー」)を発表します。

■提言の背景
 人口減少をはじめ、長寿化、高齢化、単身化といった社会変化が実際の生活にどのような影響を与えるのかについて、私たちの間に共通の認識が形成されているとはいえません。
 特に、高齢期については不安を抱えたまま、「いざという時」(入院する、認知症になる、死亡する等)に直面し、様々な困難が生じるケースが少なくありません。これまでは多くの場合、親族をはじめ、知人・友人や地域の人々のインフォーマルな支援が助けとなってきました。しかし、長い高齢期の間には、頼るつもりであった配偶者や子どもが先にいなくなってしまったり、関係の悪化によって頼れなくなったりする可能性もあります。また、上記のようなインフォーマルな支援の層は、昨今では薄くなりつつあるのが実態です。
 現在、インフォーマルな支援に頼れない人々に対しては、自治体や公的な制度(介護保険や医療保険や成年後見制度等)によるサービスを担う支援者が、職務範囲を超えた形で支援し、問題解決を図ることも多くあります。しかし、今後同様の問題を抱える人は増えていくと予想されており、個別のケースとして都度支援するだけではなく、社会全体での新たな取り組みを進めることが必要となります。

■本ホワイトペーパーの概要
 本ホワイトペーパーは、日本総研が2021年11月に設立した「SOLO Lab(SOcial connectivities for LOcal well-being Laboratory)」(以下「ソロラボ」、※1)の活動として検討を行ってきた、身近に手助けする人がいない高齢者が自律的な生活を送るための新たな地域の体制について取りまとめたものです。
 本ホワイトペーパーでは、困った時に頼る人がいないというリスクを抱えている高齢者を「おひとりさま」と定義しました。そして、おひとりさまになるリスクは誰しも抱えているとの課題意識から、一人で生きて死ぬことを前提とした、社会全体での取り組みに向けた提言となっています。
 提言の基盤となるものとして、ソロラボでの活動や議論を踏まえ、高齢期から死後にかけておひとりさまに何が起きるのかを図表化しました。その上で、身近で支援する人がいない場合に直面し得る障壁を整理し、その負担を軽減した上で支援の担い手を明確化し、可視化する仕組みを提言しています。
 本ホワイトペーパーの概要は、以下の通りです。

1.「おひとりさま」の定義
 地縁や血縁の希薄化によって身近に頼れる人のいない高齢者が増えている。本ホワイトペーパーでは、婚姻状態や経済状態にかかわらず、困った時に頼る人がいないというリスクを抱えている高齢者を「おひとりさま」と定義した。

2.「おひとりさま」が最期を迎えるまでの課題
 本ホワイトペーパーを作成するにあたり、おひとりさま支援の現場で起きていることを明らかにするため、ケアマネジャー、医療機関のソーシャルワーカー、成年後見人、自治体や社会福祉協議会、身元保証事業者という公的な支援者に対し、当事者としてのインタビューを行った(※2)。「SOLO Map」(図表1)は、その際に得られた内容をもとに、おひとりさまが最期を迎えるまでのプロセスとして整理したものである。
 SOLO Mapからは、以下のように、様々な場面で問題が生じていることが読み取れる。
 ●心身の状態の変化に伴い、場所の移動(「移行」)が生じる 【横軸】
 ●常に何らかの意思決定・金銭管理・人手が発生する 【縦軸】
 ●移行期を中心に、多くのタスク(支払い、手伝いなど)が発生する 【内部】
 これらのプロセスを本人だけで実施することは困難なため、これまでは親族が少しずつ肩代わりしてきた。そういった親族などの「キーパーソン」が見つからないのがおひとりさまの特徴として挙げられる。



3.現在のおひとりさまの支援状況
 SOLO Mapでは、身体機能や認知機能の変化に応じておひとりさまの居場所が変わる点に着目し、この居場所が変わる段階を「移行期」とした。この移行期にキーパーソンがいないと、「伴走」「代理」「調整」の各タスクを担う人が不在となり、支援が途切れたり、本人の意向通りに進まなくなったりする。


 少数の親族、あるいは成り行き上本人と最も近い関係にある公的な支援者が、目の前のやるべきことをこなすうち、実態としてキーパーソンとなってしまい、一層負担が偏ってしまうことは少なくない。特に、公的な支援者の場合には、本来の職務範囲を超えた支援となっていることが多い。その結果、支援していた人が疲弊し、支援を提供できなくなる、あるいはそれを予期して最初から支援者になろうとしないという悪循環が起きている。
 また、成年後見制度や日常生活自立支援事業、自治体や社会福祉協議会が行う死後事務などの独自サービス、身元保証事業者のサービスといったソリューションがいくつか存在するものの、対象者や扱う領域に限界があるため、誰もが利用できるわけではない。

4.今後必要な仕組み
 現在行われているような都度の支援を、今後もあてにし続けることは難しい。そのことを考えると、高齢期に行うべきことの負担を軽減した上で、支援の担い手を明確化し、こうした準備を第三者が知ることで実行を担保できる仕組みが必要である。

おひとりさまを支えるために必要な仕組み

①行うべきことの負担軽減 
手続きの簡素化と明確化、選択の難度の低下、見通しを立て準備ができる仕組みの構築
②支援の担い手の明確化
(③を行った上で)分担や分担プロセスの決定、適切な報酬や負担の仕方の決定
③準備の内容の可視化
(①や②の準備をした場合)①と②を可視化し、準備のあることを第三者が知る仕組みの構築

 このような仕組みを整備することによって、おひとりさまが高齢期から死後に至るまで、尊厳をもって全うすることができようになると考えられる。その上で、技術の活用によって省力化を図り、人による支援を有効に活用できるように継続的な工夫を行うことも重要である。

 本ホワイトペーパーの全文は、以下からご覧になれます。
個・孤の時代の高齢期 ~誰もがおひとりさまになる社会~
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/pdf/221027_SOLO_Whitepaper2022.pdf
別冊 おひとりさま高齢者を支える現場からの声 ~ホワイトペーパー作成に際したヒアリング調査より~
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/pdf/221027_SOLO_Whitepaper2022_bessatsu.pdf


※1: SOLO Lab(ソロラボ)  身近に手助けする人がいない高齢者が自律的な生活を送るための新たな地域の体制や情報連携の仕組みの検討を行うことを目的に、2021年11月1日に設立しました。 ソロラボでは、地域における自治体・支援団体・民間サービス・住民の協働と、高齢者の生活に関する各種情報の効果的な活用や連携方法を検討し、おひとりさま高齢者が最期まで自律した生活が送れる仕組みづくりを目指しています。
「おひとりさま高齢者」の自律的生活支援の研究会を設立(ニュースリリース/2021年11月1日)
 https://www.jri.co.jp/company/release/2021/1101/

※2: ホワイトペーパー別冊
 インタビュー調査の結果は、別冊「おひとりさま高齢者を支える現場からの声」として、別途取りまとめています。



■本件に関するお問い合わせ先
日本総合研究所
【報道関係者様】広報部            山口     電話: 080-7154-5017
【一般のお客様】創発戦略センター       辻本     電話: 080-9673-8693
                              Email: 100860-sololab@ml.jri.co.jp




 
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