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リサーチ・フォーカス No.2022-034

セキュリティトークンの概要と市場拡大に向けた課題

2022年09月22日 谷口栄治


セキュリティトークンは、ブロックチェーン技術等を活用して電子的に発行された有価証券。通常、株式や社債といった一般的な有価証券(第一項有価証券)のほか、信託受益権や集団投資スキーム持分等の「みなし有価証券」(第二項有価証券)を裏付資産としており、わが国では、2020 年5月に施行された金融商品取引法等において、有価証券(法令上は「電子記録移転有価証券表示権利等」)として規定。

セキュリティトークンの活用により、①取引の執行や管理等を低コストかつ迅速に行えるようになると期待されるほか、②これまで小口化することが難しかった機関投資家向けの金融商品を個人投資家にも提供できるようになるなど、新たな証券市場の創出につながる可能性。

わが国では、法的整備に伴い、金融機関や事業会社等によるセキュリティトークン社債や、単一の不動産を投資対象とするセキュリティトークンなどの発行事例が登場。また、発行・資産管理プラットフォームの構築や私設取引システム(Proprietary Trading System, PTS)設立など、大手金融機関を中心にセキュリティトークン関連のインフラ整備の動きも活発化。

セキュリティトークン市場は現状では黎明期ながら、今後は、社債や未上場株式、私募投信といった金融商品を幅広い投資家に提供する場として成長していくとの期待あり。その実現に向けて求められる視点として以下の3点を指摘可能。
①トークン化(Tokenization)による効果の周知
ブロックチェーン技術の有用性や新技術導入によるメリット等の周知により、セキュリティトークンが広く受け入れられる環境を整備する必要。

②セキュリティトークン市場の流動性向上(規制面の課題の洗い出し)
流通市場(セカンダリー市場)の形成に不可欠なPTS に対する制度整備をはじめ、セキュリティトークンの台頭を踏まえた制度の見直しが必要。

③顧客本位の業務運営の徹底と個人投資家の金融リテラシー向上
投資リスクの説明や、金融機関の販売体制の検証といった投資家保護策とともに、金融教育の充実を通じた個人投資家の金融リテラシー向上が必要。


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