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リサーチ・フォーカス No.2022-024

暗号資産に係る厳格な銀行資本規制案と想定される影響について

2022年07月28日 谷口栄治


本年6月30 日、バーゼル銀行監督委員会は、銀行が暗号資産(仮想通貨)をバランスシート上に保有する際の自己資本比率規制上の取り扱いに係る第二次市中協議文書(二次規制案)を公表。これは、昨年6月に公表された第一次市中協議文書(一次規制案)に対する修正案であり、本年末頃に最終化される見通し。

一次規制案では、価格変動等のリスクの小さい暗号資産(トークン化された金融資産、ステーブルコイン)を「グループ1」、上記に該当しない暗号資産を「グループ2」として分類。グループ2には、所要自己資本の算出に際して、リスクウェイト1,250%という、高い資本賦課を適用。

二次規制案における一次規制案からの主な変更点は以下の4点。
① グループ1に該当するステーブルコインの条件として、参照する法定通貨等との価格差が一定範囲内に収まること等を明示。また保有する銀行に対して、こうした価格変動リスクに関する検証等を義務付け。

② グループ1のエクスポージャーを対象に、ブロックチェーンのシステムリスクとして追加的に資本賦課(エクスポージャーの2.5%)。

③ グループ2の暗号資産について、一定の基準を満たした場合、ロングポジションとショートポジションを相殺したネットポジションをベースに所要自己資本を計算することを許容。

④ グループ2のエクスポージャー保有額上限(Tier1 資本の1%)を設定。

今回の規制案が最終化された場合、銀行は価格変動の大きい暗号資産をバランスシート上に保有することが困難になり、手掛ける暗号資産ビジネスもカストディ(保管・管理)をはじめ周辺領域にとどまる公算大。また、ステーブルコインの保有に関しても、価格動向の把握など、リスク管理態勢の高度化が必要に。

金融当局としては、①海外当局との連携を通じた規制の具体化、②暗号資産の保有主体・保有額等の把握やデータの整備、③足元の暗号資産市場の混乱も踏まえた追加の規制・監督のあり方の検討、等が求められる。


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