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リサーチ・フォーカス No.2021-037

グリーン・インフレーションをどうみるか~問われる脱炭素への覚悟~

2021年11月15日 大嶋秀雄


足元、世界的に高まるインフレ懸念の主因として、コロナ禍を受けた供給・物流の混乱、経済活動再開による需要急回復が挙げられるが、気候変動対策に伴うグリーン・インフレーションも注視する必要あり。

グリーン・インフレーションを発生要因別にみると、①急激な脱炭素化に伴う需給バランスの失調により生じる価格上昇、②脱炭素に向けた巨額投資のコストを製品に転嫁することで生じる価格上昇、③温室効果ガス(GHG)排出に対して課される炭素価格の導入による価格上昇、の3つに分類可能。

脱炭素の実現には、技術開発などの巨額投資が不可欠であり、企業や個人の行動変容を促すために、炭素価格の導入を検討することも肝要。それを踏まえれば、今後、各国が脱炭素を本格化させるなかで、グリーン・インフレーションが長期化することは不可避。とりわけ、移行初期の2020 年代は、投資コストや炭素価格の負担が重く、インフレ圧力が高まる可能性大。

各国政府・当局に求められる対応の方向性は、以下の4点。
①精緻なトランジション計画に基づき計画的に脱炭素を推進し、供給不安を回避。計画はグローバルベース、かつ、脱炭素に伴うリスク・コストを明確化。
②企業の脱炭素コストに対する財政支援、炭素価格の段階的導入などにより、グリーン・インフレーションを適切な範囲に制御。
③グリーン・インフレーションにより負担を強いられる家計・企業に対して、脱炭素のマイナス面も含めて説明し、気候変動対策への理解を獲得。
④グリーン・インフレーションに係る市場のコンセンサスを形成し、過剰な期待インフレ率上昇を回避。グリーン・インフレーションのような、政策の結果としてのインフレに対する金融政策の在り方についても議論が必要。

今後、野心的な脱炭素化目標の達成に向けた具体策を検討するなかで、グリーン・インフレーションに代表される脱炭素のマイナス面の議論は不可避であり、各国は、脱炭素に向けた覚悟を問われることに。


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