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「初歩的な質問ですが・・・」
Lモードって何?

新保 豊

出典:日本経済新聞 2001年2月10日

Q   「Lモード」とは何ですか。
   
A  日本電信電話(NTT)の東西地域会社が計画中のサービスで、NTTドコモの「iモード」に似た仕組みです。加入すると液晶画面が付いた専用の固定電話機でインターネットに接続し、銀行振り込みや情報検索、メールの送受信などができます。
 基本料金は月に数百円程度。電話代や情報提供料、専用端末の購入費などが別途かかります。携帯電話のサービスに比べて送れるデータ量が多く、画面も一回り大きくなります。同様のサービスは日本テレコムなどの新電電も検討中です。 
 
Q  導入の狙いは。
 
A   これまでネットをあまり利用していなかった人たちの取り込みです。携帯電話やパソコンを使わない主婦や高齢者などは、ネットによる情報検索やメールができませんでした。しかしキーボード入力や複雑な操作がいらない一般の電話を活用できれば、利用層が広がると考えられます。
 サービス名の「L」はNTTがサービスの主な対象として想定しているレディー(女性)やローカル(地域)などを表します。 
 
Q  いつ始まりますか。
 
A   東西NTTは今春にも開始する予定でした。しかし監督官庁の総務省が同社の業務内容を定めたNTT法に反するのではないかとして、待ったをかけたようです。NTT側からは正式な申請をしていません。
 同法は1999年、NTT再編に伴って改正され、東西地域会社の業務は県内通信に限定されました。Lモードは情報提供業者、都道府県を越える通信などを組み合わせて利用する仕組みです。このため、総務省はNTT法や競合他社との関係を調整する必要があると判断しているようです。
 現在、NTT東西は暫定的にサービスを始められないか検討しています。一方、日本テレコムなどは法的な問題はないものの、技術的な理由からサービス開始が夏以降になりそうです。 
 
Q  情報技術(IT)を推進する政府の方針と矛盾しませんか。
 
A   そもそもNTT法の解釈次第では当初案でもサービスは可能だとの指摘があります。ただ、市内電話のシェアのほとんどを占めるNTTが先行すると、独占が生じる恐れがあるとして新電電は反発しています。実際、通信の世界では参入が数カ月遅れるだけで大きな格差が出るという特徴があります。市場規模が大きいと見込まれるだけに、消費者の利便性が向上するにもかかわらず総務省は決定に慎重になっているのかもしれません。 
 
Q  新サービスが社会に与える影響は。 

A   今後はつなぎっ放しでも料金が定額で、大容量の回線が普及していきます。固定電話とこれらが結びつけば滑らかに動く動画の配信などが可能になります。遅れているといわれていた日本のIT産業の活性化につながるかもしれません。 

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