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CSRを巡る動き:女性活躍推進法が企業に与える変化

2015年08月03日 ESGリサーチセンター


 女性活躍推進法案が2015年6月の上旬には衆院を通過し、参院に送られています。この法案が成立すれば、従業員数300人を超える事業主は、採用者に占める女性の割合、男女の継続勤務年数の差異、管理的地位に占める女性の割合などを含め、女性の活躍に関する状況を把握し、改善事項を分析の上、女性活躍推進の行動計画を策定し、女性の活躍支援に関する情報を定期的に公表することが求められます。

 2015年6月下旬に公表された骨太の方針のなかでも、この法案の成立と併せて政府として取り組む内容が明記されています。具体的には、行動計画等のプラットフォームを活用し、各企業の労働時間の状況等の「見える化」の推進を行い、女性が活躍しやすい企業ほど「選ばれる」社会環境の創出を行うこと、優良企業の認定基準のなかに、長時間労働是正等に係る取組みの評価を視野に検討することがあげられています。政府は、女性活躍推進法と情報開示の促進及びインセンティブ付与を絡めて、企業における女性の活躍推進を加速させようとしています。

 今までも、多くの企業は女性活躍推進に向けて、仕事と家庭の両立支援を中心に取組みを行ってきました。くるみん認定の取得事業者数が毎年増加傾向であることも、そのことを示しています。では、女性活躍推進法が成立した際に、企業側の女性活躍支援策にどのような変化が起きるのでしょうか。本稿では、主に次の2つの変化に着目をしてみたいと思います。
 1つ目は、女性管理職増加に向けた企業の取組みの拡充です。政府は、指導的地位を占める女性の割合を2020年までに30%にするという目標を設定していますが、平成25年版の男女共同参画白書[※1]によれば、平成24年の女性管理職比率は11.6%であり、目標の達成にはまだ大きな隔たりがあるのが現状です。管理職コースを想定しない職種で女性を多く採用している企業、理系の採用が多いために女性の数そのものが少ない企業、ロールモデルが少ない、もしくは、ロールモデルに共感を持てないなどといった理由から、管理職を志望する女性が少ない企業など、多様な悩みを抱える企業も数多く存在しています。しかし、法案が可決されれば、仮に2020年までに30%の女性管理職の達成が難しい企業においても、行動計画の策定や情報開示が求められる以上、何らかの計画を策定し、改善に向けた施策など公表をしていなければなりません。女性の積極的な採用という量の面と、従来の人事評価の見直しや男女の意識啓発の取組みといった質の面を併せて、女性管理職を増やす努力がなお一層求められるでしょう。
 2つ目は、長時間労働削減に向けた企業の取組みの拡充です。独立行政法人労働政策研究・研修機構[※2]によれば、日本の平均年間総労働時間は、イギリス、スウェーデン、ドイツ、フランスといった諸外国に比べて長いことが示されています。日本企業が長時間になる理由としては、多くの理由があげられるが、長時間で働くことが上司等からの人事評価で高い評価を得られる根拠となる傾向や、管理職を中心に、会社を早く帰るという文化がないといった日本企業特有の風土や文化も一要因であると考えられます。骨太の方針にも掲げられていた通り、女性活躍推進法の成立後に、労働時間に関する情報開示の要請や、長時間労働の是正が、企業の優良認定の条件に含まれるようになれば、企業は長時間労働の削減に積極的に取組む必要性が一層出てきます。業務の改善や休暇取得の促進、意識啓発の取組み等を通じて、従業員の長時間労働削減に向けて取組む企業は増えると考えられます。

 女性活躍推進法を通じて、企業がどのように変化し、女性が活躍できる企業がどれくらい増えていくのか、今後の動向が注目されます。

参考情報
※1 平成25年版男女共同参画白書のなかの「総務省「労働力調査(基本集計)」(平成24年平均)によれば、管理的職業従事者(公務及び学校教育を除く)に占める女性の割合は、平成24年は11.6%である」という記載を参照
※2 独立行政法人労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2014」
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