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【ハイテク】「内閣府 沖縄でソフト開発拠点形成」


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 内閣府は27日、沖縄にソフト開発拠点を整備するための産学官による検討会を設置した。システム構築事業者が行うオフショア(海外委託)開発を担える機能を持った拠点開発に着手する。付加価値の高いソフト開発が低コストで行えるよう、基盤整備と人材育成を行う。検討会には大手SI事業者や学者、関係官庁など30人以上が参加し振興策を議論する。2007年度には現地でモデル事業を立ち上げる。
(出所)日刊工業新聞(2006年11月28日)
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≪評≫浅川秀之〔研究員〕

 
琉球王国は約450年続いた歴史を持つ。その間近隣諸国との交易が盛んで、特に日本本土と中国の影響を強く受けたとされる。明の成立の約60年後に沖縄で統一王朝が成立した。その後、明から琉球国王と認めてもらうための使者(冊封使:さっぽうし)が定期的に訪れていたが、琉球王朝の包丁人は、この冊封使をもてなすために当時世界の最先端をいく中国の料理人や菓子職人から、技術や食に対する姿勢など多くのことを学んだ。これが沖縄の宮廷料理の源流になったといわれる。

 現在の沖縄料理はこの宮廷料理がルーツであるものが多い。その後、薩摩藩が琉球を制圧した時代には、薩摩藩の役人をもてなすために、王朝の包丁人は薩摩料理も学んだという。戦後アメリカの統治時代には、アメリカの料理や、アメリカ人の好むメキシコ料理などの影響も少なからず受けた。このような歴史的経緯を経て、現在に見られる沖縄の“チャンプルー(混じりあい)”文化が形成されたとされる。

 沖縄は、歴史に翻弄されながらも、その時代時代の状況や環境を柔軟に吸収し、吸収したものを基に自らのチャンプルー文化を形成してきたともいえる。自らの置かれた環境変化を理解し、柔軟に取り入れ咀嚼し、それを糧に新しいモノを作り出す能力はまさに「イノベーション創出」のための必要条件である。

 これまでの歴史をみると、沖縄という地域は、イノベーション創出の土壌という観点からは最適な地域ではないかと思う。最近では沖縄出身のミュージシャンらの活躍が目立つ。内閣府主導で、沖縄を開発拠点とすることには、政策的な意図など、様々な要因があろう。光ファイバー通信の発展により地理的な距離は、もはや足枷にならなくなってきている。個人的には、沖縄という地域の「イノベーション創出能力」に期待したい。

(注)吉村喜彦『沖縄 美味の島』(2006年7月)などを参考にした。

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