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【ハイテク】「三菱電機『WiMAX』対応の半導体に本格参入」


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 三菱電機は次世代の無線通信技術「WiMAX」に対応した高周波半導体事業に本格参入する。日本に先駆けてWiMAXの商用サービスが始まる北米市場向けに来月から製品を投入する。国内の携帯電話向け高周波半導体に次ぐ収益源に育てる狙いだ。
(出所)日本経済新聞(2006年11月25日)

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≪評≫浅川秀之〔研究員〕

 日本の2.5GHz帯は、WiMAX(802.16e、インテル主導)以外にも802.20系(クアルコム、京セラ)、次世代PHS(ウィルコム)が獲得を狙っている。インテルを中心としたWiMAX陣営の海外を含めた活動状況、標準化動向などを総合的に鑑みると、現状はWiMAX優勢の感が強い。クアルコムは、周波数の利用効率の観点などからWiMAXが技術的に優れているとは言い難いということを強調し、Flash-OFDM(802.20)を推している。

 いずれの規格がデファクト・スタンダードと成りえるかは、必ずしも技術の優位性だけで決まるものではないことは、過去の歴史が示すところである。VTR技術のVHSとベータの攻防は有名である。ポイントは利用者にとってどれだけ便益があるかであろう。技術的に優れていることからもたらされる便益はもちろん重要である。ただし、ネットワーク関連サービスの場合、技術的に優位であったとしても、他の利用者との相互接続性が悪いとか、利用可能なアプリケーション・端末などが限られている場合は、その普及が著しく阻害される特徴をもつ(ネットワークの外部性、需要の相互依存性)。

 WiMAXは確かにインテル主導ではあるが、賛同する機器メーカーや通信事業者はグローバルで300社を超えており、WiMAXの“エコシステム”が徐々に確立されつつある。また、グローバルレベルで共通の周波数帯が利用可能な(2.5GHz帯など)取り決めがあること、互換性の高い固定版WiMAXが北米を中心に離陸しつつある状況、韓国でのWiBroの立ち上がりなど、クアルコムにとっては厳しい向かい風状況といえよう。

 無線ブロードバンドの場合、VHS/ベータとは異なり、その特性から、ある1つの規格が独占的に支配するような状況にはなりにくいと考えられる。今後どの規格が優勢になるのか?、逆転劇はありえるのか?、シェア攻防の行く手は大変興味深い。日本の各メーカー、通信事業者は、日本国内の動向だけに目をとらわれることなく、海外の動向も含めた大局的な観点から複数のシナリオを想定しなければならない。果たして“勝ち馬”に乗ることができるのは誰か。

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