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【ハイテク】「DRAMが最安値に 12月後半出荷分 半月で19%下落」

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 パソコンに使う代表的な半導体メモリー、DRAMが史上最安値となった。現在の主力品種である1ギガ(ギガは10億)ビット品の12月後半出荷価格は1個0.68ドル(中心値)と半月で19%下がった。パソコンメーカーの調達が鈍いためで、急速な価格下落がDRAMメーカーの収益を一段と圧迫しそうだ。
 1ギガビット品は今年、主力となったばかりだが、早くも主力品種の最安値を更新した。高値をつけた7月前半からの下げ幅は73%に達する。
(出所)日本経済新聞(2008年12月29日)

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≪評≫山浦康史〔研究員〕

 半導体業界はシリコンサイクルというものがあり、好不況の波が数年単位で繰り返されるといわれている。これは製品の世代交代に合わせて需給のバランスが急激に悪くなることが原因で、好況と不況を繰り返すという構造がある。DRAM業界も例外ではなく、世代交代(例:512メガビットから1ギガビットへの世代交代)に合わせてDRAM業界の各社が一斉に投資を行い、各社の製品が市場に出回る頃には供給過剰に陥り、急激に値崩れが生じてしまう。

 企業にとっては市場に対して値崩れが起こる前に新世代製品を投入することが重要となり、新世代製品の量産体制をいちはやく築くために各社とも競って研究開発投資や設備投資を行う。しかし、DRAMの生産ラインの設備投資は膨大であり、かつ簡単にDRAM以外の製品に生産ラインを置き換えることができないため、市場価格が原価割れしていても固定費を回収するためにDRAMを作り続けることを強いられる。

 ここ2年間程、DRAM業界は不況だと言われているが、昨年(2008年9月)の「リーマンショック」に端を発した大不況の影響により、さらに需要が落ち込んだ格好となっている。また、出荷価格が0.68ドルでは製造原価を大きく割っている可能性が高いため、メーカーとしては、作れば作るほど赤字になるという非常に苦しい状況にある。この状況が続けば、さらなる業界再編は免れない状況になるだろう。

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