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エネルギー政策に投資戦略の視点を

2015年03月24日 井熊均


 日本は東日本大震災以来混迷してきたエネルギー政策について確固たる方針を示すことが迫られています。国内においては、原子力規制委員会の示した基準をクリアした原子力発電所の再稼働が間近となる一方で、国際的に見て割高な再生可能エネルギーを国民負担によって大量導入する中で、納得のいくエネルギー政策を示すことが責務となっています。海外に目を転じると、日本は遅くとも今年の中頃までに、二酸化炭素の削減目標を提示しなくてはなりません。欧州が意欲的な削減目標を提示し、これまで京都議定書等の枠組みを拒んできたアメリカと中国も総量抑制の目標を提示するとしており、外堀が埋まりつつあります。

 まさに、前門の虎後門の狼の状態に置かれている日本のエネルギー政策ですが、ここは狼狽えることなく、日本の良さを活かせる方針を国内外にアピールすべきです。国内の議論が混乱する中、海外のモデルを性急に取り込み、過剰な国民負担を招いた固定価格買取制度の過ちを繰り返してはなりません。

 日本が考えるべきなのは、次世代のエネルギーシステムの在り方と日本の役割を見据えた上で、エネルギーのコスト構造をいかに転換するかです。エネルギーのコストは大きく設備投資と燃料費に分かれます。省エネルギー投資を行えば設備投資は増えますが燃料費は減ります。再生可能エネルギーも燃料費を減らすための投資と捉えることができます。

 こうしたエネルギーのコスト構造を投資寄りに転換するための効率的で効果的なアプローチを見い出せれば、国際的なエネルギー問題の解決と日本経済の成長に資することができます。国際的な視点で言えば、資源量に限りがある以上、燃料消費量を減らせなければ、エネルギー政策はいずれ壁に突き当たります。国内的に見ると、同じ資金を使うのであっても、設備投資は燃料調達に比べてはるかに経済的な波及効果が大きくなります。

 二酸化炭素の排出量やエネルギーポートフォリオだけに目が行くと、国際関係や国内経済に無理が生じる可能性があります。時間は限られていますが、世界と国民への貢献を理念に広い視野での議論が期待されます。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。