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Sohatsu Eyes

バイオガス利用を通じた地域コミュニティの再生

2007年11月20日 安納剛志


北海道の新千歳空港から車で約30分のところにある牧場では今年9月からバイオガスの供給事業が始まっている。牧場に設置されたバイオガスプラントから発生するバイオガスは、購入先である「びっくりドンキー」などの外食チェーン店舗展開を行う㈱アレフの恵庭市の食品工場にボンベで搬送される。食品工場で発生する生ごみ等は逆に牧場に持ち込まれ、バイオガスの原料とされているため、地域内での資源循環のループが成立している。発生源と需要家間の契約の上に成立するバイオガスの販売事業としては本邦初の取組みである。

今回の事業は日本総研が2005年に始めたバイオネットコンソーシアムという異業種の企業の連携による研究開発活動を通じて生まれた。コンソーシアムでは商社やガス会社、食品会社、メーカ、金融機関等様々な企業が検討に加わった。

現在、地域社会は産業振興、農業再生、教育改革、地球温暖化問題等の多くの課題を抱えている。こうした課題の解決のためには、国から地方へのトップダウン的な政策だけではなく、地域からのボトムアップ的な取組みが必要と思われる。その際、一企業単体での取り組みではなく、複数の企業や農業従事者、公共団体等の異業種連携による取組みが必要と思われる。環境や教育、観光といった分野においては特にその効果が期待される。

今回の事業を通じて期待される効果は以下のとおりである。
(1)農家のエネルギー販売による新たな収入源の拡大、(2)地域内企業を中心とした廃棄物処理・資源循環システムの構築、 (3)地域内企業による事業立ち上げがもたらす地域内再投資、(4)資金の負担者が同時に利益を享受出来得る長期の資金回収モデル、(5)地域の観光振興、(6)地域内教育、等々。

今回のバイオガス利用の取組みは再生可能エネルギーの利用による温暖化対策という側面だけでなく、地域コミュニティの再生の基盤として発展していく可能性を有している。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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