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2009年02月12日

雇用危機のマグニチュードと 対応策の在り方

要 約
1.  2008年秋にはじまる今回雇用調整の特徴として、さしあたり製造現場の非正規労働者が主な削減対象になっていること。リーマンショックを契機に海外景気が失速し、外需主導で急成長していた自動車を中心に、輸出産業でかつてなく急激な生産調整が起こったことがきっかけ。
2.  欧米を中心に海外景気の立ち直りに相当の時間が掛かると見込まれるなか、内需掘り起こしが容易でないもとで、雇用調整は広がる方向。海外景気失速に伴う輸出水準の下方シフトにより、今後、製造業大企業で正社員リストラの動きが広がり、非製造業でも人員削減の動きが広がっていく恐れ。今後数年以内に200万人の雇用が失われるリスクあり。
3.  非正規労働者の中でも今回は特に派遣労働者に削減対象が集中。これに対し、不安定な製造派遣や日雇派遣そのものを禁止すべきとの声もあるが、経済構造の変化を勘案すれば、根本的な解決策とは言えず。すなわち、財・サービスの多様化や商品サイクルの短縮化により、業務量の変動が大きくなっており、正社員のみでは柔軟な対応が不可能な状況。非正規労働に対する単なる規制再強化は企業の海外シフトを促すことになり、かえってより多くの雇用を失う恐れ。
4.  もっとも、規制緩和が非正規労働分野に偏って行われるなか、労働者保護が不徹底なままに、派遣をはじめとした非正規労働者が急増したことは問題。派遣を含む非正規労働者のセーフティーネットが必ずしも十分に整備されてこなかったことも早急に対応すべき点。
5.  とりわけ、過去10年に増えた非正規労働者には、学校卒業後正社員になれなかった若者が多く含まれ、非正規労働者で「世帯主」である人も増えている。現状では非正規労働者は賃金面のみならず能力開発面でも不利な状況にある。非正規労働者でも能力形成がなされ、それに応じて処遇が改善され、生活設計を立てることのできる環境を整備することが必要。
6.  緊急対策として、まずは今回雇用調整圧力が集中している非正規労働者のほか、生活に困窮する長期失業者のために、生活支援・職業訓練・就職支援サービスを総合的に行うための基金(「非正規労働者等総合支援基金(仮称)」)を創設すべき。同時に、確実な再就職先を確保するために、比較的即効性があるプログラム(人的支援産業・人材創出プログラム)と将来性のあるプログラム(地域主導型産業・雇用創造プログラム)を並行して実施することが重要。
7.  構造対策として、(1)外需依存・自動車依存の経済体質を変革するための産業構造改革(雇用再生の基礎的条件)、(2)税制・社会保障・最低賃金の一体改革(セーフティーネットの再構築)、(3)正規・非正規の二重構造打開に向けた労働市場の規制・ルールの見直し、(4)新卒一括採用の見直しを通じた「縦割型労働市場」の打破―に取り組む必要。今回の雇用危機をむしろ、わが国労働市場を環境変化に適合した望ましい方向に変えていくチャンスに転じることが望まれる。
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