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重大化する気候変動による災害の本格的議論を期待

2018年07月24日 井熊均


 西日本豪雨では多くの方が被災されました。亡くなられた多くの方々に謹んでお悔やみを申し上げると共に、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 最近、日本は毎年のように「過去に例のない」というレベルの災害に見舞われています。こうした災害の増加はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書のシナリオに沿っているように見えます。そうだとすると、我々は今後さらに激しい豪雨、台風などに見舞われることを覚悟しなくてはなりません。例えば、台風の発生領域が北上し、日本列島に900hPa前後の強力な台風が上陸するような事態も考えられます。夏場に40度を超える高温が発生することは常態化するでしょう。

 気候変動による災害が重大化するのは日本だけではありません。世界に目を転じると状況は一層深刻になります。既に、低緯度の地域では海面上昇の被害が出始めています。これにより広い範囲で、住む場所を変えざるを得ないことになったり、穀倉地帯が大打撃を受ける可能性があります。大陸で豪雨による水害が発生すると、河川の規模が大きい分、被害も甚大になります。気候変動の影響は豪雨だけではありません。別の地域では「過去に例のない」旱魃に見舞われるようになります。これらが国境を超えた人口移動を促す可能性もあります。

 パリ協定では、再生可能エネルギーの導入などの対策に加え、気候変動への適応の必要性が示されました。こうした方向性は今後一層強まることになるでしょう。適応は極めて広い範囲に及びますから、いずれ各国の予算や国際経済にも目に見えた影響を与えるようになるでしょう。適応によるストレスを小さくするための一つの方法は、長い時間をかけて対策を講じることです。一日も早く、不都合な未来を直視した議論が、国内、国際的レベルで本格化することを期待します。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。

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