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近い将来農業の収益性・経済的価値の転換

2018年06月26日 井熊均


 2年前、「IoTが拓く次世代農業 アグリカルチャー4.0 の時代」という書籍で提唱した多機能ロボットDONKEY(仮称)は、試作機ができたこともあり、各方面から評価の声を頂いています。ここのところ日本では政策サイドだけでなく、民間側でも農業に関する関心が高まっています。先日参加したシンポジウムでは立ち見が出るほどでした。

 農業への関心が高いのは日本だけではありません。仕事で中国の都市開発に関わる機会が多いですが、どこに行っても農業に対する高い関心が感じられます。

 先日、バンコクで行われた壮大な農業プロジェクトのセレモニーに招かれました。主催したのは工業団地の世界で大成功した企業の創業者です。彼の指摘を取りまとめると、中国の経済成長に伴う農産物需要の増加、地球温暖化に伴う低地での塩害、低緯度の地域での高温障害等により、近い将来農産物の需給がひっ迫するため、環境変化に耐え得る広大な農業用地の開拓が必要になる、ということです。中国では経済成長により国民所得が向上してカロリーと肉類の摂取量が増加し膨大な農産物需要が生まれつつあります。また、日本にいると気が付きませんが、タイなどの一部の地域では農地が塩害を受け始めています。

 われわれは、農産物の価格は安く、第一次産業の収益性は他産業に比べて低い、という認識を長年持ってきました。しかし、それはある時代の農産物の需給バランスを前提とした認識に過ぎません。世界の農産物輸出の世界ランキングを見ると、人口千数百万、農産物の生産額中位のオランダが第二位となっています。農産物輸出の余力がそれほど大きくないことを示す事実と言えます。

 官民を問わず世界中で農業への関心が高まっているのは、多くの人が近い将来農業を取り巻く状況が大きく変化する可能性を感じているからでしょう。それが顕在化した時、世界中で経済的価値の転換が起こることになります。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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