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特別養護老人ホームや居住系サービス等の収支構造の実態についての調査研究事業

2016年04月25日 福田隆士


*本事業は、平成27年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業として実施したものです。

調査目的
 特別養護老人ホーム(以下、特養)は収支差率の高さ等が指摘されることがあるが、すべての特養が高い収支差率を実現しているものではない。収支に係る議論・検討を進める際には、単純な収支差率の高低、施設属性による影響だけではなく法人・施設の方針や取り組み等も考慮し、これらの影響を明らかにしたうえで検討することが重要になると考える。
 本調査研究では、収支差率に影響する要因を体系的に明らかにした上で、今後の特養に対する施策検討等に有用な基礎資料として整理し、今後に向けた提案を行うことを目的とした。


調査研究の概要
 本調査研究では有識者からなる調査検討委員会を設置し、調査仮説を設定、検証するための調査設計を行い、データ集計・分析ととりまとめを実施した。
 本調査における主な調査項目は以下のとおりである。

・施設の基本情報
・施設の事業活動収支・貸借対照表
・会計基準・会計処理
・施設利用状況・利用者の状態
・人員配置、人材マネジメント      
・施設の取り組み・実施策 等

主な調査結果
<収支差率への影響>
・稼働率、収益単価、人件費比率、事業費・事務費比率、減価償却費比率のいずれも収支差率と関係があり、特に相関が強いのは人件費比率

<収益面における影響>
・稼働率に対しては利用者に占める入院者数比率の影響が大きい
・入院者数比率は、看取りの実施有無が影響しており、利用者の健康維持・増進のための施設の取り組み状況等も影響している
・収益単価に対しては、介護料収益の影響が最も大きく、食費や居住費も一定の影響がある
・介護料収益単価には施設の利用者の平均要介護度と加算算定状況が影響しており、特に加算の影響が大きい


<費用面における影響>
・費用面では、人件費比率の影響が特に大きく、人件費比率に対しては職員一人当たりの人件費単価、人員配置が影響している
・ただし、人件費単価と人員配置には負の相関があり、人件費単価が高い施設は人員配置が少ない傾向、人件費単価が低い施設は配置が多い傾向があるため、双方を考慮しなければ人件費比率との関係性を明確にすることは難しい

<収益と費用の関係性>
・看取りの実施状況別に収益と費用の関係を見ることで、看取りの実施が収益面で好影響を及ぼしている可能性が示唆できた
・利用者の健康維持・増進のために実施している取り組み注力度が高い施設の方が、入院者数比率が低い、あるいは収益単価が高まる傾向がわずかに見られた。ただし、人件費や事業費・事務費を押し上げる要因としての側面もあるため、一律に収支に好影響を与えているとは限らない


調査結果のまとめと考察
<調査結果のまとめ>
 本調査研究において収集したデータの集計・分析によって明らかにできた事項は主として以下の4点である。

・収支差率への影響は人件費比率が最も強い
・人件費については人員配置と人件費単価の双方を考慮して検討することが必要であり、施設運営上、基本的に必要な人件費と報酬加算を取得するために生じている人件費を分けて分析することが重要
・収益面としては稼働率には入院者数、収益単価には加算の影響が大きい
・利用者のための取り組みの収益成果は一部見られるが、費用負担となる可能性もある

<考察・提案>
 調査研究の結果を踏まえ、以下の3点について提案する。

・データを平均で捉えるだけでなく法人・施設の状況等を考慮した検討
・法人・施設の効果的取り組みを促進する方策の検討
・同様の調査の継続実施とそれを踏まえた議論の展開

※詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
(PDF報告資料)


本件に関するお問い合わせ
 総合研究部門 シニアマネジャー 福田隆士
 TEL: 03-6833-5201   E-mail: fukuda.t@jri.co.jp



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