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中国経済は本当に減速しているか

2016年01月26日 井熊均


 年明けからだいぶ日が経ってしまいましたが、今回が2016年初めてのメルマガになります。今年もよろしくお願いいたします。

 さて、申年は騒がしい、と言われるように、2016年は年明けから、株価の暴落、世界経済の変調など、毎日のように厳しい話題がテレビ、新聞を賑わしています。大きな原因の一つが中国経済の減速にあるとされます。確かに、中国では企業倒産、人員削減など続いているようです。しかし、それであっても中国の経済成長は6%を保っています。数字の信頼を割り引いても5%程度はあるとされます。「爆買い」も急減速する様子はありません。中国には毎月のように出かけていますが、北京、天津、広州、深センあたりの街で深刻な空気を感じることはありません。バブル経済崩壊以降、日本経済が何度か低迷した時、街に元気がなくなったのとは大分違います。

 中国経済がかつての勢いを失ったことは確かですが、減速する部分だけを見ていると日本のポジションを見失います。過剰投資で膨れ上がった重厚長大産業業界が縮小し、調整過程を経なくてはならないのは当然です。その影響に備えるのは日本経済のリスクヘッジとして重要なことです。
一方で、中国国内ではサービス産業やIT産業が急激に拡大しています。これらのプラスマイナスが5~6%ということなのでしょう。つまり、中国経済は凄い勢いで新陳代謝を遂げている、という見方もできるのです。彼等は日本経済の歴史を実によく勉強していますから、十分あり得ることです。肥大化した分野の調整がひと段落した時、中国の経済体質は一皮むけ付加価値を高めている可能性があるのです。

 二つの側面を見て、日本が力を入れるべきなのは、日本経済の代謝のスピードを上げることなのでしょう。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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