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民生・児童委員の活動等の実態把握及び課題に関する調査・研究事業

2013年06月06日 青島耕平


*本事業は、平成24年度社会福祉推進事業として実施したものです。

事業目的
 民生・児童委員の活動については、福祉行政報告例のなかでその人数ならびに相談・支援の種類別の件数、訪問回数等が定期的に把握されている。しかし、具体的な支援内容や民生・児童委員の負担、詳細については全国的な調査が行われていない。また、特に、民生委員自身の支援によって解決する課題だけでなく、関係機関や諸制度につなぐことによって解決する課題も多いと考えられるが、この連携状況はあまり把握されていない。
 地域福祉の推進にあたっては、民生・児童委員の活用が謳われることが多いものの、効果的な活用にあたっては、現状や課題、あるいは意欲や余力などを把握することが前提になる。本調査では、地域福祉の推進の基盤としての民生・児童委員の活動の実態ならびに課題を把握することを目的とする。

事業内容
(1)民生・児童委員の活動の実態把握に関する調査
・自治体対象のアンケート調査の実施
全国の1,742市区町村(悉皆)を対象に、質問紙によるアンケート調査を実施し、1,262件の回答を得た(回収率72.4%)。調査方法は、郵送配布・郵送回収、調査時期は平成24年12月1日~21日である。
・民生・児童委員対象のアンケート調査の実施
全国の民生・児童委員4,240人(抽出)を対象に、質問紙によるアンケート調査を実施し、2,841件の回答を得た(回収率67.0%)。調査方法は、市区町村に調査票を郵送し、該当する委員への配布を依頼した。調査時期は平成24年12月1日~21日である。対象となる市区町村は、すべての政令指定都市・中核市・特別区および、全都道府県から市(政令指定都市・中核市を除く)・町・村を各1ずつ抽出して選定した(合計212市区町村)。対象となる212市区町村に、各20部ずつ民生・児童委員への調査票配布を依頼した。

(2)民生委員・児童委員と関係機関との連携状況に関する調査
 先行する取り組み等の結果より、民生・児童委員と関係機関・組織との連携関係を築いていると考えられた自治体を選定し、該当する関係機関・組織の担当者に対して、訪問によるインタビュー調査を実施した。対象に選定されたのは4自治体であり、各自治体で、地域福祉担当課、地域包括支援センター、保健所・保健センター、福祉事務所、児童相談所、障害者相談支援事業所、社会福祉協議会、住民組織の役員(自治会長)等の4~10程度の関係機関・組織に聞き取りを行った。

事業結果
 民生・児童委員が行った個別相談について、対象世帯特性(11項目)・相談内容(12項目)に対して因子分析およびクラスター分析を行い、傾向を把握した。世帯特性は「独居世帯」「高齢者世帯」「乳幼児世帯」「一人親世帯」にグループ化され、相談内容は「災害時支援」「経済的困窮」「抑うつ・引きこもり・住民トラブル」「日常生活支援」「児童虐待・育児不安・非行・家庭内暴力」にグループ化された。
 民生・児童委員の連携先は、相談内容の違いに関わらず地域包括支援センターが多い傾向が見られた。また、経済的困窮や児童虐待等の相談については、民生・児童委員の困難感および負担感が強い傾向が見られた。民生・児童委員活動に関して、自治体では、「住民と行政・関係機関等とのつなぎや連絡調整」に対する優先度が高い一方、民生委員・児童委員自身は、「自治会・町内会等との連携による住民組織の基盤作り」に必要性を感じていた傾向が見られた。
 アンケート調査結果、インタビュー調査結果を含めた検討の結果、民生・児童委員の負担軽減に向けた今後の施策・体制整備の方向性として、以下の3点に整理された。
・総合相談の窓口設置による民生委員・児童委員への相談体制の整備
・民生委員・児童委員の継続的な見守りに関する役割の明確化
・民生委員・児童委員活動の基盤づくりのための地域自治活動への参画支援
今後は、上記で示された施策・体制整備の方向性について、さらに具体化に向けた検討が必要となる。

※詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
報告書:民生・児童委員の活動等の実態把握及び課題に関する調査・研究事業

本件に関するお問い合わせ
総合研究部門:青島 耕平、齊木 大
TEL: 03-6833-6744   E-mail: rcdweb@ml.jri.co.jp
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