【要　約】

1．わが国貿易収支は、（1）震災による供給制約、（2）海外経済の減速、（3）円高、（4）資源価格の上昇、などを受け、2011年には▲2.5兆円と大幅な赤字を計上。今後も貿易赤字の拡大が続くとの見方も。

2．もっとも、輸出関数・輸入関数の推計結果を基に中期シミュレーションを行ったところ、海外市場の伸びを背景とする所得要因が輸出押し上げに寄与する一方、国内市場の拡大が見込み難いため輸入が急拡大する公算は小。資源価格の大幅な上昇が回避されれば、わが国貿易収支は2010年代半ばにかけて黒字化する見通し。

3．なお、本シミュレーションは現在の国際競争力が維持される前提に立っており、競争力が低下すれば輸出の伸び悩みにより貿易赤字が定着する可能性も。中期的に貿易黒字を維持していくためには、輸出相手国のニーズに合わせた製品開発や技術面での圧倒的な優位性確保等、競争力強化に向けた一段の取組みが求められているといえる。

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