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ISバランスからみたわが国経常収支の行方
~経常黒字が持続も、プラス成長と財政再建が不可欠~

2012年03月13日

【要 約】

1.わが国の貯蓄投資バランスをみると、1990年代入り以降、家計の貯蓄超過が縮小しているものの、非金融法人部門が90年代後半以降貯蓄超過主体に転換し、足許では1980年代の家計部門に匹敵する貯蓄超過を計上。民間部門全体では、依然一般政府部門の資金不足分(=財政赤字)を大幅に上回る貯蓄超過を抱えている状況。

2.そこで、民間部門の貯蓄超過の持続可能性を制度部門別に検討すると、以下の通り。
(イ)家計部門: 貯蓄投資バランスは90年代以降貯蓄超過幅が縮小傾向。高齢化が進むなか、貯蓄が早晩マイナスに転じるとみられる一方で、生産年齢人口比率の低下に伴い、投資もマイナス幅が一段と拡大するため、全体では貯蓄超過を維持する見通し。
(ロ)非金融法人部門: 貯蓄が安定的に推移する一方、期待成長率の低下に伴い投資は縮小傾向。その結果、90年代後半から貯蓄超過が定着。期待成長率の顕著な上昇が期待薄ななか、貯蓄投資バランスは、今後も高水準の貯蓄超過が続く見込み。
(ハ)金融機関: 投資がゼロ近傍にある一方、国債投資や貸出による利鞘で90年代入り以降貯蓄超過が定着。一般部門のネット利払費を除いたベースで安定的に名目GDP比1%前後の貯蓄超過は確保可能。

3.以上を踏まえたうえで、民間の貯蓄投資バランスの先行きを展望すると、「日本再生の基本戦略」における「慎重シナリオ(名目1%台半ば、実質1%前後)」では民間部門の大幅な貯蓄超過が維持され、2010年代を通して名目GDP比3%台の経常黒字が維持される見通し。「成長戦略シナリオ(名目3%、実質2%)」においても、民間部門の貯蓄超過は縮小するものの、財政赤字縮小により、名目GDP比2%前後の経常黒字が維持される見通し。

4.もっとも、景気の低迷により名目ゼロ成長が続き、同時に、増税等を通じて構造的な基礎的財政収支のさらなる改善が図られなければ、2010年代半ば以降基礎的財政収支が再び悪化し始め、2025年度前後には、経常収支が赤字に転じる恐れ。 さらに、今後一般政府部門の利払費増加が予想されるなか、国債消化の海外依存が強まれば、利払費の海外漏出により、民間貯蓄では一般政府の資金不足を賄えなくなる恐れも。経常黒字を維持し、国債の安定消化を図っていくためには、成長戦略を通じた名目でのプラス成長確保と基礎的財政収支の着実な再建が不可欠。

本件に関するお問い合わせ先

調査部 マクロ経済研究センター 牧田 健
TEL: 03-6833-0928
E-mail : makita.takeshi@jri.co.jp

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