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儲かるPPP事業を

2011年01月12日 石田直美


PPPの分野で今注目されているのはコンセッションです。昨年6月にPFI推進委員会が公表した中間的とりまとめでは、コンセッション方式を「公共施設の所有権を民間に移転しないまま、民間事業者に対して、インフラ等の事業運営・開発に関する権利を長期間にわたって付与する方式」とし、財政再建に資する手法としてその導入の方向が示され、現在法改正等の検討が進められているところです。

コンセッションでは、事業に必要な資金を民間事業者が自ら調達して投資し、利用者等からの料金で回収します。このため、需要リスクの大きさによって民間の参入意欲が大きく左右されます。有料道路や鉄道、港湾などは、経済動向等によって需要が大きく変動します。需要が旺盛で儲かっている事業は誰も手放したがらないため、コンセッションの候補となるような事業はリスクが大きくどうやっても採算に乗らない事業が多い傾向となります。これでは民間は参入できません。

民間が需要リスクを負担して参入できる可能性の高い分野の筆頭は水道です。水道は生活に必要不可欠なサービスのため、人口減少や節水で減収傾向にあるとはいえ民間から見れば安全度が高く、収益の期待できる事業といえます。実際、エンジニアリング会社や設備メーカー、商社等は、水道事業の安定性や採算改善余地に着目し、その参入に意欲を示しています。
水道事業を担う自治体の多くは、水道の公共性や、下水道等の他事業に比べた健全性からコンセッションに対して必ずしも前向きではありません。しかし、事業の足元では施設の老朽化や技術人材不足などの問題が顕在化しつつあり、改革は待ったなしの状況です。水道分野でのコンセッション導入は、民間が期待する新たな事業機会を創出するとともに、GDP比2倍にも膨らんだ公的債務の縮減にも寄与します。

現在、兵庫県加西市がコンセッション導入を前提とした検討を行っており、その成否が注目されていますが、他の団体への検討の広がりを期待しています。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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