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【シニア】
第11回 いま注目するギャップシニア向けサービス(3)「株式会社やさしい手」の相談援助

2016年07月12日 岡元真希子


 ギャップシニアは、シニア向けの商品・サービスを開発している企業から「見えにくい」ということもあって、なかなかギャップシニアにフィットした商品やサービスが生まれにくい状況にあります。そうしたなかで、株式会社やさしい手は、介護保険サービスの売り上げが全体の大部分を占める一方で、介護保険外サービスの提供にも力を入れ、ギャップシニアのニーズに応えようとしています。そのひとつである、私費負担による生活支援サービスでは、ケアコール端末を活用した救急通報・24時間相談を軸として、相談援助や家事サービスを組み合わせたサービスパッケージを提供しています。
 ケアコール端末は警備会社であるセコム株式会社の救急時対応サービス『セコム・マイドクタープラス』の専用端末を採用しています。ケアコール端末は、救急用ブザーストラップを引っ張ると、セコムへ救急通報できるほか、セコムメディカルサポートセンター、やさしい手コールセンターへの短縮ダイヤルもついています。さらに、月額料金に応じて、やさしい手による電話での相談援助、訪問しての相談援助、さらには、家事代行・身体介護サービスがサービスパッケージに含まれます。

 介護保険の要介護認定では「介護や支援を必要とするほどではない」と判断されることの多いギャップシニアでも、生活の中の困りごとを抱えている人が多くいます。やさしい手の相談援助の利用者の実例として以下のようなものが報告されています。

【事例1】
〔ギャップシニア〕 日々の疲れのため、食事を作る気になれず、徐々に食べなくなって、体力が落ちてきた。
→〔やさしい手の相談員〕 近隣の配食会社の資料を複数取り寄せて情報提供した。
→〔ギャップシニア〕 週に数回、配食サービスを利用するようになった。調理の負担が減り、栄養状態もよくなって、元気になってきた。

【事例2】
〔ギャップシニア〕 マットレスをひっくり返したいがひとりでは難しいため手伝ってほしい。
→〔やさしい手の相談員〕 定期訪問時に、マットのひっくり返しをお手伝いした。

【事例3】
〔ギャップシニア〕 行政から届く手紙に何が書いてあるか分からず、不安が募っている。読んで説明してもらいたい。
→〔やさしい手の相談員〕 訪問時に手紙を代読し、返信が必要なものかどうかわかりやすくお伝えした。
→〔ギャップシニア〕自分では読んで理解するのが難しいため、助かった。

【事例4】
〔ギャップシニア〕 介護保険の認定はないが、通所リハビリに行って身体を動かし、体力を維持したい。
→〔やさしい手の相談員〕 各機関に問い合わせて、利用できるサービスを探した。自費対応の通所リハビリや、市区町村の予防サービスで利用できるものがなかったため、トレーナーがいる体育館・ジム・体操教室などについて情報提供した。
→〔ギャップシニア〕週3回のトレーニングに通って、体力に自信がついてきた。

【事例5】
〔ギャップシニア〕 手芸が趣味だったが、目が悪くなってきて針の小さい穴が見えにくく、裁縫箱にある糸通しでは小さくて使いづらいので諦めようと思っていた。
→〔やさしい手の相談員〕 卓上式の自動糸通し機について情報提供した。
→〔ギャップシニア〕 自動糸通し機を利用して、趣味活動を継続できた。

 一つ一つの困りごとは、小さなことかもしれません。しかし、そのようなときに相談先があって情報や解決策を知り、困りごとを解決すれば前向きな生活を続けることができます。逆に、相談先がなくてあきらめて困りごとを抱えたままの暮らしを続けたり、やりたいことを我慢してしまったりすると、より生活が不活発になり、意欲も体力も低下することにつながるでしょう。例えば、事例1では、相談しないままの生活を続けたら、低栄養で病気にかかりやすくなったり、体力が落ちて外出も減って下肢筋力の低下、あるいは人と会話する機会が減るなどして認知機能の低下につながったりする可能性が高まるでしょう。事例2や事例3では、不安やストレスを抱えたままの暮らしになるでしょう。また、事例4、5のように、やりたいことをあきらめるのか、実現するのかという分岐点にいる人に対して、「やりたいことを可能にする」ことで、活動的な暮らしが実現できるでしょう。
 ギャップシニアが抱える小さなつまずきを、解決して好転させるのか、放置して悪化させるのか、ギャップシニア向けサービスの存在意義が最も試されるところだといえます。

この連載のバックナンバーはこちらよりご覧いただけます。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません
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