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(6)その他(科学技術、ITなど)

■【教育・IT】教育分野におけるITに関する取り組み
≪担当者のメモ≫今井孝之〔2009年7月15日(水)〕
教育分野における取り組みでは、「教育のIT化」と「ITの教育」という2つの側面がある。
「i-Japan戦略2015(案)」(2009年6月)や「三か年緊急プラン」(2009年4月)では、初等・中等教育(および家庭・地域連携)と、高等教育(および産業・地域活用)の2つに大別して、取り組みを記載している。

初等・中等教育では、デジタル技術活用(「教育のIT化」)への取り組みが多く記載されている。


教員のデジタル活用指導力の向上、そのサポートとしての支援人財および統括責任者の配置など。



- 「三か年緊急プラン」では、「ICT支援員」の配置・派遣の促進をうたっている。


双方向で分かりやすい授業の実現に資するハード・ソフトの一体的な整備充実。



- コンピューター、ネットワーク、デジタル機器(電子黒板等)の整備、教育コンテンツ開発・活用、効果的な教育方法の開発など。


コンピューターとネットワークを活用した校務の効率化



- 「三か年緊急プラン」では、成績のオンライン一元管理などを進め、ASP・SaaSの活用を図る旨が記載されている。


デジタル技術を活用した、家庭・地域・学校の連携、住民参加の学習など。


「ITの教育」という側面では、情報を活用する能力に加えて、情報モラル教育などにも焦点が当てられている。

高等教育では、主に高度デジタル人財の育成が重視されており、「ITの教育」の側面が強い。


産学官連携の促進、ナショナルセンター的機能の充実、人財の適正配置・流動化などが志向されている。



- デジタル社会基盤を支える人財育成と雇用促進の充実がうたわれている。



- 「三か年緊急プラン」では、情報アセットの情報共有化を行うナショナルセンター的機能の中核として、クラウド技術を活用した実践的な遠隔教育システムの開発の促進がうたわれている。
【図表】 「三か年緊急プラン」で提示されている「デジタル教育の推進とデジタル活用人財の育成・活用」
(出所))IT戦略本部「デジタル新時代に向けた新たな戦略~三か年緊急プラン~(概要)」(2009年4月9日)

【図表】 IT戦略本部等による「教育・人財」分野における方策
  目標、成果など 方策
i-Japan戦略2015(案)

(2009年6月)
2015 年までに、幼保小中高等学校等における教育、大学等における人財育成に関し、以下を実現する。


1.客観的な効果測定の下で、子どもの学力を向上させる。
学校での授業において、各教科の特性に応じたデジタル技術の活用を進め、よりわかりやすく、創造的、発展的な双方向の授業を実現し、デジタル技術を活用した教育手法の効果の客観的な測定の下で、子どもの学力を向上させる。


2.子どもの情報活用能力を向上させる。
情報教育の充実により、子どもの、①情報及び情報手段を主体的に選択し、活用していくための能力、②情報手段の仕組みなどの理解、③情報化の影の部分に対応できる能力・態度を向上させる。


3.高度デジタル人財のミスマッチが生じない安定的・継続的な仕組みを確立する。
大学等において高度な教育拠点を広域展開し、国際的にも通用する高度デジタル人財を安定的に育成する。産業界では、各人の経験に応じて更に能力を引き上げていく人財育成を継続的に行う。


○高度デジタル人財について
デジタル技術は、パソコン、携帯端末、自動車、家電、産業機器等から産業・行政・社会の基幹システムに至るまで活用され、個人の生活や企業・行政等の活動に欠かせないものとなっており、経済社会全体を支えている。
これを支える人財が、デジタル技術を理解し・活用し、高い付加価値を創造できる高度デジタル人財である。


4.大学等における情報教育、デジタル基盤、遠隔教育等を充実する。
大学等における情報教育、デジタル基盤を充実するとともに、先進的なネットワークを活用した遠隔教育や教育コンテンツを活用した授業・学習支援を広く実施する。


1.幼保小中高等学校等教育におけるデジタル技術活用・情報教育の推進
ネットワーク化の進展も踏まえ、各教科の授業におけるデジタル技術の活用及び情報教育を推進し、子どもの学力や情報活用能力の向上を図るため、明確な効果評価の下で、以下の方策を実施する。
(1)教員のデジタル活用指導力の向上
教員のデジタル活用指導力のチェックリストを活用して、各学校や教育委員会等で、教員の実態に応じた研修を組織的・計画的に実施できるようにし、概ね全ての教員がデジタル技術を活用して指導できるようにする。
(2)教員のデジタル活用をサポートする体制の整備
全ての教育委員会及び小中高等学校等で、デジタル技術と教育両面に理解があり、教員と共にデジタル技術の活用法や教育の質の向上を考え、支援する人財及び統括責任者を配置する。
(3)双方向でわかりやすい授業の実現
双方向でわかりやすい授業の実現に資するハード・ソフトの一体的な整備充実を図る。
具体的には、学校における活用の実態や効果の検証も踏まえ、(ア)教育用コンピューター、校務用コンピューター、校内LAN、超高速インターネット接続について、IT 新改革戦略に沿って引き続き整備を進めるとともに、(イ)電子黒板等デジタル機器の教室への普及を進め、これらと一体的に(ウ)教育コンテンツの開発と活用、公的機関の保有するコンテンツの教育利用を推進するとともに、(エ)デジタル技術を活用した効果的な教育方法の開発・普及を行う。
(4)情報教育の内容の充実
新しい学習指導要領を踏まえ、課題や目的に応じて情報手段を適切に活用したり、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造したりする能力、情報や情報手段の特性を理解する能力や、情報セキュリティも含む情報モラル等の情報活用能力の育成を図る。
(5)校務の情報化、家庭・地域との情報連携
校務用コンピューターやネットワークを活用した一層の校務の情報化を推進し、業務の軽減と効率化を図り、教育の質の向上と学校経営の改善を図るとともに、家庭・地域との情報連携により、地域が一体となって教育を推進する体制を構築する。




2.高度デジタル人材を安定的・継続的に育成する体制構築
高度デジタル人財が年間1,500 人必要との経済界からの要請要望や、諸外国の実例などを考慮して、国際的な視点も取り入れつつ、関係省庁間で目標を含めた計画を定め、以下の方策を実施することにより、高度デジタル人財を安定的、継続的に育成する体制をつくる。
(1)実践的な教育拠点の広域展開・充実
大学間連携のほか、先端企業等の連携により、実務家による講義、チーム演習など、多様な手法を用いた実践的な教育拠点を広く展開するとともに教育拠点の充実を図る。
(2)産学官連携によるナショナルセンター的機能の充実
産業界出身者を大学等の教員とするための教育プログラムの開発、実践的なデジタル教育を行うための教材・カリキュラムの開発・普及、産業界と教育界の連携による実践的なインターンシップや体系的なリカレント教育など、ナショナルセンター的機能の充実を図る。
(3)デジタル技術を用いたシステム・サービスの供給側、利用側双方における魅力ある処遇・キャリアパスの実現の支援等
各種資格制度などの人財育成評価ツールの活用や人財のスキル等に関する情報の共有化による人財の適正配置・流動化を一層促進するとともに、モデルキャリアの策定・普及や専門家によるコミュニティの形成の促進を始めとした方策を展開することにより、能力・実績に応じた魅力的な処遇やキャリアパスの実現が図られるよう支援する。
さらに、供給側、利用者側それぞれのニーズにマッチした教育・研修の実施や独創的な人財の発掘・育成など、高度デジタル人財を志望する者の増加、高度デジタル人財の発掘や発展的な能力向上のための環境を整備する。
(4)高度デジタル人財の認定・認証
様々な効果測定を経た各種人材評価ツールや開発手法を活用した高度デジタル人財の認定・認証の仕組みを検討、確立すると共に広く普及を図る。




3.大学等における情報教育・デジタル基盤の充実
大学等における情報教育、デジタル基盤の充実を図るとともに、デジタル技術を活用した遠隔教育や授業・学習支援を促進する。
(1)情報教育、デジタル基盤の充実
大学等における情報教育のモデル事例等の普及・啓発を図るとともに、多様な教育活動を可能とするデジタル基盤の整備を図る。
(2)教育コンテンツの充実・活用
高度な教育や補習教育のための教育コンテンツの充実・活用を促進する。
(3)先進的なネットワークの活用
先進的なネットワークを活用し、遠隔地間でも臨場感のある教育環境を実現したり、教材等の教育資源を広く効率的に活用することを可能にする教育環境を実現すること等により、教育効果の向上を推進する。




デジタル新時代に向けた新たな戦略
~三か年緊急プラン~


(2009年4月)
≪現状と課題≫
デジタル教育の推進
デジタル技術を活用した教育が必要。
情報リテラシー教育とデジタル機器の配備に取組が進行中も成果は不十分。
将来の地域活性化、経済発展、国際連携を担っていくための基礎の力を育成。


デジタル活用人材の育成・活用
経済社会全体を支えるデジタル技術について、支える基礎となるのは、デジタル技術を理解し、活用できる「人財」。
人財の育成・活用の取組が不足しており、潜在的な社会発展・経済成長の機会を逸している。
デジタル特区による拠点取組も活用し、人財の育成、供給を行う。


≪目指すべき成果≫
(1)国民にとって
情報技術活用による知能・技能向上。
デジタル技術利用による被害等の軽減。
デジタル活用能力に応じた職種への転換、就労機会の増加。


(2)学校現場にとって
校務の効率化と教員のデジタル技術活用能力等の向上。
児童生徒のデジタル技術活用能力向上。
インタラクティブ授業活用等による知識習得、能力育成、学習意欲向上。
情報リテラシーの基礎技能化。


(3)産業界・中小企業にとって
不足するデジタル活用人財の持続的供給。
デジタル技術サポートが日常的に得られる環境実現。
天才的なデジタル活用技術者の発掘と、才能が発揮できる環境実現。


(1)初等・中等教育段階を中心としたデジタル活用教育の充実
デジタル活用人財の裾野を広げ、教育の質を高めるデジタル教育及びそのための環境整備を実施する。具体的には、初等・中等教育段階を中心としたデジタル活用教育の充実のため、以下の施策を実施する。
①デジタル教育基盤・教育環境整備
学校等でのデジタル活用授業等を一層推進するため、校内LAN、コンピューター、電子黒板、地上デジタルテレビ等のデジタル教育基盤を全国に整備する。また、学校等における地上デジタルテレビ等を活用したわかりやすい授業を促進するため、教育・教養コンテンツの充実、アーカイブ化による教室への配信等の環境整備を推進する。
②先進的デジタル教育の実施
上記の基盤も活用しつつ、モデル地域として教育専門家等によるサポート体制の下で、以下に掲げる先進的なデジタル教育を実施する。当該モデルの成果は、サポートする教育専門家等により全国へ普及、世界への提案を実施する。

コンピューター、校内LAN、電子黒板、地上デジタルテレビ等のデジタル教育基盤、デジタル教科書やデジタル放送番組等のデジタル教育コンテンツの活用による効果的な教育方法の開発・実施を推進する。

教員のデジタル活用指導力の向上を図るため、活用指導力の評価と研修、「ICT 支援員」の配置・派遣の促進e-learning の活用などを実施する。

デジタル技術を活用して、家庭・地域・学校の連携を図り、住民参加の学習などを推進する。

成績のオンライン一元管理など、校務の情報化を進め、教員の校務処理負担を軽減する。また、低廉な費用による校務情報化を実現するため、ASP・SaaS の活用を図る。


- その際、成績等の個人情報を含む教育情報の重要性に鑑み、教育機関向けのASP・SaaS サービスに必要となる安全性・信頼性基準を示し、これを満たしていることを検証するための情報開示指針を策定する。
③情報モラル教育・家庭・地域におけるリテラシー充実
デジタル活用能力の育成が不可欠となっている一方で、ネットいじめなど違法・有害情報に伴う弊害が社会問題化しているため、こうした問題に対し、学校のみならず社会総がかりの取組を推進する。この一環として、デジタル情報・技術の活用だけでなく、ネット上の危険への対処能力を持ちつつ、自らがネット上で与え得る危害の可能性を認識して自制する能力を養うなど、情報モラル教育を充実するとともに、企業等とも連携しつつ、家庭・地域におけるリテラシーの充実のための取組を推進する。




(2)デジタル活用能力を有する人材の育成・活用
デジタル活用能力を有する人財を育成・活用することにより、日本全体での潜在的なデジタル活用人財の不足の解消を図る。具体的には、以下の取組を実施する。
①産学官連携促進
高度なデジタル技術を開発・活用する人財(高度デジタル人財)を育成するため、企業等の情報部門での職務経験を有し、高度な知識・スキルを持ち合わせた人財を活用することにより、大学・大学院等の教育拠点において、企業等で求められる複合領域への理解などの能力を有し、デジタル技術を活用する企業・ユーザー企業の事業展開に対応できる、幅広いデジタル技術分野(セキュリティ分野を含む)の高度な人財育成・輩出のためのこれまでの仕組みを一層の産学官連携促進により拡大する。
具体的には、このような企業等で活躍する人財の質的・量的な拡大及び安定的・持続的な輩出を目指し、大学院教育のみならず学部教育や社会人のリカレント教育への展開も視野に入れ、産業界出身教員等の充実強化や実践的な教材・カリキュラムの開発・普及、産学マッチングによる実践的なインターンシップなどを加速するため、産学連携による人財育成・交流拠点としてのナショナルセンター的機能の充実を図るとともに、大学間・産学間のネットワーク機能を強化する。これらの今後のあり方については、すでに行われている拠点教育や「産学人材育成パートナーシップ」等の場における議論を継続していく。なお、拠点教育の今後のあり方に関しては、本年8 月までに関係省庁間で結論を得る。また、将来の天才的な技術者・クリエーターを発掘・早期育成するための集中トレーニング、優秀なプロジェクトマネージャーによる指導等を行う。
②クラウド技術を活用した遠隔教育システムの開発
高等教育機関等における高度なデジタル活用人財候補の育成強化のため、産業界等が提供する講師、教材等をできるだけ多くの高等教育機関で利用するとともに、サーバー、ストレージ、アプリケーション等十分な教育環境が整わない全国の高等教育機関等の教育環境を効率的に整備するため、クラウド技術を活用した実践的な遠隔教育システムの開発を促進する。開発に当たっては、当該遠隔教育システムが限られた教育アセットの全国の高等教育機関等における共有化というナショナルセンター的機能の中核を担うものであることに留意し、産学官連携で推進する。
③モデルキャリア開発計画策定・資格活用促進
学生や若い技術者が自らのキャリアパスをイメージできるよう、専門家によるコミュニティを活用したデジタル活用技術者の職種ごとにモデルキャリア開発計画を策定し、これらを広報・普及する。また、専門家コミュニティの形成を促進し、若手専門家の育成等を支援していく。更に、デジタル・ネットワークを活用する業務に対応できる若手人財の育成に資するため、「電気通信主任技術者」の資格取得を容易にするなどその活用促進を図る。
④産業・地域活性化のためのデジタル活用推進
デジタル技術の活用が遅れている分野に対しては、企業等でのアプリケーション活用、WEB 構築、コンテンツ制作等の経験がある人財を指導者又はサポート人財として派遣し、実使用者の目線に立ったデジタル技術導入を推進する。
具体的には、産業・地域の活性化のためのデジタル活用推進に合わせて、例えば、オンラインショッピングの運営等当該プロジェクトを継続的に遂行していけるデジタル活用能力人財の育成を行う。
また、これまでデジタル活用の先進プロジェクトを主導してきた地域情報化アドバイザー等の高度なデジタル活用能力人財が各地のプロジェクトに外部から参画することで、プロジェクトの遂行を通じて能力移転が行われるようにしていく。
⑤ デジタル活用能力の習得機会提供・人財育成・雇用創出
離職者等の再就職を目的とした職業訓練として、民間施設も活用し、デジタル活用能力の習得機会を提供する。また、官民の適切な役割分担のもと、職業人として誰もが共通に備えておくべき情報処理に関する基礎的知識を測るための「IT パスポート試験」、デジタルネットワーク技術の専門家育成を目的とする「工事担任者資格試験」及び民間の人財育成に関する各種資格試験を活用することによって、デジタル社会基盤を支える人財育成と雇用創出を促進する。




(出所)IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会、IT戦略本部資料を基に日本総合研究所作成

≪所感等≫
「教育のIT化」に関しては、基盤整備および効率化の意味合いが強いように感じる。

遠隔授業などのバーチャル化のみではなくリアルの教育に役立つ取り組みが重要ではないか。
地域連携、産業連携について、イメージを具体化して取り組みを推進していくことが必要であろう。

≪議論内容≫
「高度デジタル人財」という言葉はいろいろな解釈ができるが、広い視野で社会全体全体の構造を捉えて考えている人財が求められるであろう。

「技術者・クリエーター」という記載があるが、日本の技術者は“How”を追求する傾向が強いため、“Why”、“What”を含めて考えられる人材が求められるであろう。

マクロを考えず、“IT”の世界だけで問題を解決しよう、ひたすらに効率化を追求しようという発想では、限界が生じるであろう。


使われる立場に甘んじる“ITワーカー”的な人材が増えないように留意が必要であろう。


■【科学技術】ロボットの発展と人工知能

≪担当者のメモ≫山浦康史 〔2009年3月9日(月)〕
記事:日本経済新聞「虫の脳が操縦するロボット」(2009年3月2日)の紹介。
≪実験≫

フェロモンに反応する昆虫(カイコガ)の脳から出る電気信号を処理して車輪を動かすロボットを開発し、フェロモン発生源まで自動走行させる実験に成功した(東京大学の神崎亮平教授の研究グループ)。
≪技術≫

昆虫の脳の神経細胞を解析し、足の筋肉を動かすための電気信号を特定。

カイコガの脳に電極をつけ、電気信号を読み取って車輪を制御。
≪目的≫

小型で高性能のロボット開発などに役立たせる。

麻薬探知ロボットの実現を目指す。


カイコガの遺伝子を組み換え、麻薬のにおいに反応するようにすれば、麻薬探知に使えるのではないか。
≪参考≫

神経細胞の数は、昆虫が約10万個、哺乳類が約1,000億個。

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≪考察≫

道徳的な観点を抜きに考えると、人工知能の研究としては非常に面白いと考える。昆虫の脳は、昔から研究されてきたが、今までは、知能を人工のハードウェアとソフトウェアに移植しようというものであった。

しかし、昆虫に電極を刺して、ロボットに組み込んでしまうのは道徳的、倫理的には議論の余地が大きい。記事を見ると、①直接利用すること、②ロボットの発展のためという2つの目的がある。


昆虫の遺伝子を組み換えて麻薬探知に利用するのは賛成できない。


ただし、昆虫の脳のメカニズムを解明して、人工知能研究を発展させるためのアプローチと位置づけるのであれば、よいのではないか。

このような技術が軍事面で利用されれば、非常に恐ろしい兵器ができる可能性があるため、注意が必要である。

【図表】 昆虫脳を利用したロボットの概念
(出所)日本総合研究所作成

≪議論内容≫
軍事利用に関しては、どのようなイノベーションであっても、その危険性が出てくるため、特にこのテーマに限ったことではないだろう。
遺伝子を組み換えて直接的に利用しようというのは、教授が考えているのではなく、記者がそう付け加えただけという可能性もある。
昆虫の触覚と脳だけを取り出して利用することが、直接利用の最終的な形として考えられる。

しかし、「脳がすべてを考えている」という、西洋的な考え(解剖・分解の思考方法)ではうまくいかないのではないか。
ロボットには、軍事的な利用ではなくて、人間では危険で作業ができない場面(災害現場や、原子力発電所等)での活躍を期待している。


■【科学技術】産学連携

≪担当者のメモ≫山浦康史 〔2009年3月2日(月)〕
記事:日本経済新聞「点検:科学技術立国」(2009年3月2日)
日本の科学技術を強化する効果的な方法として政府は産学連携に力を入れてきたが、事例は一部の有名大学に集中しており、他大学との格差が鮮明になっている。また、産学の思惑のずれも出てきている。

≪記事上での問題意識・トピック≫
共同研究や、技術移転契約が、一部の有名大学に集中している。

例年、東京大学、大阪大学、慶應義塾大学などの「常連」が占める。

地方大学が危機感を強めており、打開策を探る例も出てきた(4uの例)。
企業側はすぐに果実を欲しいが、リスクを恐れて立ちすくむ状況。

日本企業が検討に時間をかけている間に英国企業と契約が成立する例もある。
企業が自社の研究開発費を抑制し、外部に事業のネタを探す傾向は一層強まる。
大学が企業の下請け的な存在になることには抵抗がある。

≪論点≫
問題意識。

世論では、産学連携があまりうまくいっていないような印象を受けるが、共同研究の規模は増えつつあり、一定の成果を出しているように思えるため、皆さんの感想をお聞きしたい。

産学連携における最大の問題点は、企業が短期的な成果を上げることが目的であるのに対し、大学は長期的な成果を上げることが目的であり、役割として時間的な差異がある。この差に対してどう折り合いをつけるべきかを議論したい。

≪参考≫≪経済産業省の産学官連携施策の系譜≫
【平成10年】

「大学等技術移転促進法」(TLO法)策定⇒TLO(技術移転機関)の整備促進

「研究交流促進法」改正⇒産学共同研究に係る国有地の廉価使用許可
【平成11年】

『中小企業技術革新制度』(日本版SBIR)の創設。

「産業活力再生特別措置法」策定⇒日本版バイドール条項・承認TLOの特許料1/2軽減。

日本技術者教育認定機構(JABEE)設立。
【平成12年】

「産業技術力強化法」策定⇒承認・認定TLOの国立大学施設無償使用許可、大学教員のTLO役員・研究成果活用型企業の役員・株式会社監査役との兼業許可。
【平成13年】

『平沼プラン』で「大学発ベンチャー3年1,000社計画」発表。
【平成14年】

「蔵管一号」改正⇒大学発ベンチャーの国立大学施設使用許可

TLO法告示改正⇒承認TLOの創業支援事業円滑化
【平成15年】

「知的財産基本法」策定→大学は人材の育成、研究、その成果の普及に自主的かつ積極的に努める責務

「学校教育法」改正⇒専門職大学院制度創設、学部・学科設置の柔軟化アクレディテーション制度導入(平成16年度から)。
【平成16年】

「国立大学法人法」施行⇒教職員身分:「非公務員型」、承認TLOへの出資。

「特許法等の一部改正法」施行⇒大学、TLOに係る特許関連料金の見直し。
【平成17年】

大学発ベンチャー1,000社計画達成!!(1,112社)。
(出所)経済産業省ウェブページ

≪参考≫≪首都圏北部4大学連合(4u)[茨城大学、宇都宮大学、群馬大学、埼玉大学]≫
平成18年度、4大学大学院連携協議会発足。

共同大学院設置検討部会、連携事業検討部会、産学官連携・知的財産WG、分析機器相互利用WG等がスタート。
平成18年度、関東経済産業局の支援を基に、「首都県北部技術移転研究会」の中で広域の産学連携、新技術移転を検討。
平成19年度、大学が主体となり、4大学新技術説明キャラバン隊を結成し、さいたま市と桐生市で新技術移転説明会を行う。

4大学が所有する「知」を紹介するための研究シーズ集(4U:フォー・ユー)を発刊。
文部科学省が行う事業「産学官連携戦略展開事業(戦略展開プログラム)」にもお互いの連携を軸にした活動内容で挑戦。

①知的財産の啓発、教育活動また、弁理士チャレンジ講座の開設。

②産学官で研究シーズを生み出す環境創出。

③技術移転や特許活動。

④大学が先導した地域ブランド創出。

【図表】 産学連携基礎データ
(注)☆「共同研究」:大学等と企業等とが共同で研究開発にあたり、かつ当該企業等からそのための研究経費が大学等に対し支弁されているもの。☆「受託研究」:大学等が国や民間企業等からの委託により、主として大学等のみが研究開発を行い、「民間等との共同研究」同様、相手方からそのための研究経費が大学等に対し支弁されているもの。
(出所)文部科学省ウェブページから日本総合研究所作成

≪議論内容≫
共同研究が有名大学に偏っているのは、優秀な生徒が集まるからではなく、有名な先生が集まっていることが原因ではないか。
共同研究が国立大学に偏っているのは、研究設備が整っていることが主な原因であろう。その他の原因としては、未だに企業内で、旧帝大の影響力が強いことをが挙げられるのではないか。
オープン・イノベーションは、短期的な成果を求める流れに拍車をかける危険性がある。


■【メディア】日本の地デジは成功するか

≪担当者のメモ≫岡本俊哉 〔2009年2月19日(木)〕
日本における地デジは、米国同様スムーズに移行しているとは言い難い状況。

総務省が17日発表した地上デジタル放送(地デジ)に関する緊急調査で、2009年1月時点の対応テレビやチューナーの世帯普及率は49.1%にとどまり、目標の約58%はおろか、半数にも達していないことがわかった。(「YOMIURI ONLINE」記事(2009年2月17日))
そもそも地上デジタル放送のきっかけは、世界に先駆けてNHKがハイビジョン放送を開始し、ISDB方式を世界標準としようとしたこと。これに危機を感じた米国は、日本に先駆け、地上デジタル放送を開始し、ATSC方式を推進したが、欧州も独自のDVB方式を作ったため、結局日米欧ともに異なる規格となった。

なお、米国の年次改革要望書の電気通信に示される項目は、地デジも含まれるものと判断される。


年次改革要望書2005年(「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」(2005 年12 月7 日)):詳論「電気通信」Ⅱ-B.調達



NTT地域会社などの支配的事業者による調達活動が公正に行われるよう、引き続き保証するために、米国は日本が以下の措置を取るべきであると提案します。



1. 日米両首脳への第3回報告書の中で触れられている「日米間のネットワーク回線終端装置(NCTE)に関する合意」が定める義務の改定について、広く一般にその是非を問い、意見を募集する期間を設けること。



2. 標準化技術が大々的に導入されそうな調達案件の場合に、新技術が開発初期段階や商用試験段階で入札に参加することを制限しているNTTの現行制度を見直すこと。



3. 総務省が次世代インフラ技術要件に関する政策提言を行う場合には、その提言が必ずオープンで透明性の確保されたプロセスを経たものであるよう心がけること。



4. VoIP を始め、日本政府が電気通信サービスの調達を行う際には、外国の事業者も含むすべての供給者に対して公平に門戸を開放すること。
イギリスは元々チャンネル数が少なく、多チャンネル化を目的としたものであったため、国民から非常に喜ばれ、受け入れられた。一方、CATVや衛星放送が普及し、元々多チャンネルであった米国は、高画質化を目的としたため、事業者、ユーザーともに設備投資が必要となり、成功したとは言い難い状況にある。

ただし、電波を競売にかける仕組みを導入している米国は、仮に事業者が儲からなかったとしても、空いた周波数帯を競売にかけることで、米連邦通信委員会(FCC)は儲かる仕組みになっている。

≪参考≫諸外国の地デジの放送開始年:1998年:イギリス、米国、1999年:スウェーデン、2000年:スペイン、2001年:オーストラリア、フィンランド、韓国、2003年:日本、2006年:オーストリア、ブラジル、2008年:中国
地デジ対応機器の普及遅れに対応し、日本政府は、CATV利用世帯を対象に、2011年7月の地上デジタル放送(地デジ)完全移行後も、アナログ放送を受信できる措置を取っている。
≪議論を通じて教えて頂きたい項目≫
日本において、地デジは何を持って成功したと言えるか?

昨今の経済減速により、改めて青写真を描きなおす必要もありそうですが。
放送事業者、電機メーカー、PCメーカー、通信事業者、CATV事業者の綱引き関係と、勝敗の動向。

米国は地デジ移行において、今のところほとんど参入できていないと思われるが、実際のところどうか。

余談ですが、私自身は高画質への興味が薄いため、端末を買い換えなくて済むCATVによるアナログ放送に魅力を感じてしまいます(意外とこのような考えの人が多く、CATVが加入者数を伸ばす?)。


■【科学技術】研究者の海外流出

≪担当者のメモ≫山浦康史 〔2009年2月16日(月)〕
記事:日本経済新聞「点検:科学技術立国」(2009年2月16日)
概要。

経済の失速によって、技術や科学への期待が高まっているが、外国人や若手・女性研究者を阻む閉鎖的な研究風土により、日本を代表する優秀な研究者の海外への移籍が目立つため、改善が必要だ。
日本での状況。

雇用形態。


年齢を理由(定年時)に一律に退職させる。


業績の評価や研究費の使い方が非効率。


待遇面での見劣り。東大教授の平均年収は900万円。ハーバード大教授の平均年収は18万ドル。


例:2008年のノーベル賞受賞者4人のうち、2人が海外を拠点としている。

外国人研究者に対する閉鎖感。


「日本だと埋没してしまう」との考え。


国内に閉じこもり、国際会議での存在感が薄い。

女性研究者に対する閉鎖感。


女性研究者が少ない。日本の研究者のうち女性が占める割合は13%(欧米では30%)。


公平ではない人事制度。

若手研究者に対する閉鎖感。


大学院重点化を進めたが、卒業後の博士研究者の行き先が少ない。



大学に残ったポストドクターが16,000人を超えている。
海外での状況。

シンガポール:シンガポール国立大学伊藤嘉明氏


勝ちぬけば70歳になっても最前線に立てる。


例:伊藤は研究論文を発表し、さらに5年間の契約延長をした。

米国:


研究環境の魅力で人材を集めている。

問題意識。

資源が豊富ではなく、科学技術で成り立ってきた日本としては、研究者、技術者の育成・確保が必須であり、今後もその構図は変わらないであろう。


上記であるにも関わらず、研究者・技術者が海外へ流出している(流出する土壌がある)のは大問題である。

日本の研究者・技術者が日本に留まり、かつ世界へ発信できるようになるためにはどうすればよいか。当該記事で取り上げられている問題点以外の論点や、問題の根本にあるものは何か等を議論したい。

≪参考≫研究者としての評価
そもそも研究者としての評価が処遇に反映されていないと考えられている割合が高い(図表赤枠)。
研究者としての評価は、「給与・俸給(賞与等含む)」、「研究費の増額」に反映されるべきだと考えられている(図表青枠)。
大学等において、研究者としての評価が「研究費の増額」に反映されていないと考える研究者が多いといえる(図表緑枠)。

【図表】 研究者としての評価が反映されている処遇と反映されるべき処遇
(注)☆「評価に対する不満足度」:「評価が反映されるべき処遇」の割合から「評価が反映されている処遇」の割合を引いたもの。☆「処遇には反映されていない/特に反映する必要はない」の項目は意味が反転しているために算出式を逆にしている。
(出所)文部科学省『我が国の研究活動の実態に関する調査報告』(2007年11月)


■【雇用・労働】内定取消し問題

≪担当者のメモ≫山浦康史 〔2009年2月9日(月)〕

≪内定取消しの状況≫
内定取消しは、過去にも経済状況に応じて行われてきた。

【図表】 内定取消し者数と事業所件数の推移
(注)☆2008年3月卒以前の数値は、事業主からの通知によりハローワークで把握したもの。(指導中のものは含まない。)☆2009年3月卒の数値(87件、331人)は、ハローワークで指導中のものを含むほか、大学等で把握されている情報も含めたものであり、把握の方法が異なるため、2008年3月卒以前の数値と単純に比較はできない。
(出所)厚生労働省「新規学校卒業者の採用内定取消しへの対応について」(2008年11月)を基に日本総合研究所作成

【図表】 ≪参考≫就職内定率の推移
(出所)厚生労働省「平成19年度大学等卒業者就職状況調査」(2008年5月)

≪大学側の施策≫
大学は内定取消し問題に対応するため、学生の在席延長を認める施策を講じ始めた。

大谷大(京都市)は7日、企業の経営悪化などで内定を取り消された今春卒業予定の学生に対し、半年につき3万円を負担すれば最長で1年間在籍を延長できる「特別在籍」を認める支援策を発表した。同様の支援策は、甲南大(神戸市)や法政大(東京都)などが実施している。


(出所)asahi.com(2009年2月)

関東学院大:内定取消し学生に卒業延期と学費免除措置


(出所)CASTニュース(2009年2月)

≪厚労省の施策≫
厚労省は、企業側が安易に内定取消しをできないように、悪質な内定取消しを行った企業を公表することとした。

「新規学校卒業者の採用に関する指針」


(厚生労働省ホームページ参照http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/jakunensha05/index.html
厚生労働大臣は、採用内定取消しの内容が、厚生労働大臣が定める場合に該当するときは、学生生徒等の適切な職業選択に資するよう学生生徒等に情報提供するため、その内容を公表することができることとなります。
【厚生労働大臣が定める場合】採用内定取消しの内容が、次のいずれかに該当する場合。

2年度以上連続して行われたもの。

同一年度内において10名以上の者に対して行われたもの(内定取消しの対象となった新規学校卒業者の安定した雇用を確保するための措置を講じ、これらの者の安定した雇用を速やかに確保した場合を除く)。

生産量その他事業活動を示す最近の指標、雇用者数その他雇用量を示す最近の指標等にかんがみ、事業活動の縮小を余儀なくされているものとは明らかに認められないときに、行われたもの

次のいずれかに該当する事実が確認されたもの。


内定取消しの対象となった新規学校卒業者に対して、内定取消しを行わざるを得ない理由について十分な説明を行わなかったとき


内定取消しの対象となった新規学校卒業者の就職先の確保に向けた支援を行わなかったとき

≪考察≫
内定者側に対する考察

内定者側としては、内定取消しによって補償金を受け取ることができる(日本綜合地所の場合は100万円)。

入社後に破綻して路頭に迷うよりは、むしろ入社前に取消されたほうがよいという見方もできる。


日本綜合地所の破綻を考えると、補償金がもらえただけ幸運であっただろう。
企業側に対する考察

内定を取消すことは、当該企業の業績悪化を宣伝しているのと同義ではないか。


風評被害が本業まで影響するならば、内定を取消した場合の本業への影響と、内定を取消さなかった場合の人件費を比較すべきであろう。

派遣切りと比較して内定取消しは当人に対する影響が大きいと考えられるため、企業倫理として、内定取消しを認めるべきではないのでは。

≪議論の対象
内定取消しによる、内定者側や企業側のメリット・デメリットの洗い出し。
内定取消しの補償金の妥当性。
内定取消し禁止の是非。


■【雇用】介護分野の雇用創出

≪担当者のメモ≫今井孝之 〔2009年2月5日(木)〕
「「介護人気」に潜む危うさ 雇用の受け皿になるのは不況期だけ?」(日経ビジネスオンライン、2009年1月27日、http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090122/183544/)の紹介。

他産業従事者の失業増加等を受けて、介護の求職者が増加。

介護業界は慢性的な人手不足。2007年度有効求人倍率:介護関連職は2.1倍、全職業平均は0.97倍。


行政も雇用創出へ:厚労省は介護職未経験者を半年以上雇用した事業者に25万~100万円を助成。

ただし、景気回復時には再流出の可能性。「介護が労働市場の調整弁に」(淑徳大学、結城康博准教授)。


07年度給与水準:介護施設で働く男性介護職員は319.3万円、全産業平均は485.4万円(厚労省データ)。



男性派遣従業員の平均年収(2005年):404.6万円(厚労省アンケート)。


景気が低迷した1990年代後半に、介護分野の雇用が増えたが、景気回復&診療報酬引き下げで離職者急増し、離職率が20%超に。


雇用の受け皿となれば地域活性化にも。人の定着のために職員の待遇改善を進める雇用対策が必要。

≪参考≫「「介護で雇用」戦略なく」(日経新聞、2009年2月1日)の紹介。

「医療」や「介護」を成長産業と位置づけ、雇用をつくりだす「雇用ニューディール計画」の構想あり。

ただし、経産省と厚労省、旧厚生省と旧労働省の壁が存在。今後、いかに横断的な取り組みを進めるか。

「介護」に見られるような、労働需要のある分野にどのように雇用をシフトできるのか。

需要だけに任せても均衡がとれない?(産業全体に対する需要規模の変遷に加えて、各産業における一人あたり生産性(およびその向上速度)に格差が存在するため支払える賃金に格差が存在?)。


グローバル経済、企業経営的な発想だと、付加価値や生産性の低い財・サービスの生産は外に出し、付加価値の高い仕事に資源をシフト?(生産性が低く、かつ生産と消費が同時に起こるサービス業に関しては外国から移民を受入、一方で付加価値の高い産業を創造?)

政府の役割。「介護」以外も含めた全分野を考える際、日本としてどのような方向を目指すのがよいのか。

≪参考≫マクロデータ
労働力人口(15 歳以上人口のうち,就業者と完全失業者を合わせたもの)(07年):6,669万人(3年連続増)。
完全失業率:08年は4.0%(前年比0.1ポイント増。2002年以来、6年ぶりに悪化)。

2008年12月(季節調整値)は4.4%(前月比0.5ポイント悪化、過去に例のない悪化幅)。
産業別就業者数構成比(07年):1次産業4%、2次産業27%、3次産業69%(うち「医療・福祉」で9%)。

3次産業の就業者数、比率は引続き増加。
役員を除く雇用者に占める非正規の割合:07年は33.5%(06年は33.0%)。

「建設業」18%、「製造業」22%、「卸売・小売業」45%、「飲食店、宿泊業」68%、「医療、福祉」33.5%。
(出所)厚生労働省「労働力統計」(2008年の完全失業率は厚生労働省の速報ベース)

≪追記≫『ランチの間』ディスカッションから得られた示唆 (今井孝之)
一つの解決の方向性として、地域コミュニティ、地域通貨の活用があるのではないか。

≪参考≫マクロデータ
【図表】 完全失業率の推移
(出所)厚生労働省「労働力統計年報」(2007年度)

【図表】 産業別就業者数の推移
(出所)厚生労働省「労働力統計」データ ≪注≫ただし、グラフは本川裕「社会実情データ図録」(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5240.html

【図表】 産業・従業上の地位・職業別就業者数[2007年]
(出所)厚生労働省「労働力統計」を基に作成

【図表】 雇用形態別にみた雇用者の内訳及び非正規の職員・従業員の割合の推移
(出所)厚生労働省「労働力統計年報」(2007年度)

【図表】 雇用形態別にみた雇用者の内訳及び非正規の職員・従業員の割合の推移
(出所)厚生労働省「労働力統計年報」(2007年度)


■【教育】教育基本法

≪担当者のメモ≫浅川秀之 〔2009年2月4日(水)〕

【図表】 改正前後の教育基本法の比較
改正後
(平成18年、2006年)
改正前
(昭和22年、1947年)
コメント・感想
(浅川秀之)
全体的に「個人の尊厳」、「個性ゆたかな」、「個人の価値」など「個」を重視している。(全体)
確かにそういう教育を受けてきました。
個性⇒米国をイメージしてしまいます。
個にバラバラにされてしまうことが奨励されている?!
「公共の精神を尊び」(前文) 「-」(前文)
中教審の審議で“社会の形成に主体的に参画する公共の精神、道徳心、自律心”を盛り込むことが検討されたようです。
「改正」だと思います。
「伝統を継承し」(前文) 「-」(前文)
中教審の審議で“日本人としてのアイデンティティ(伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心)” を盛り込むことが検討されたようです。
当時は相当「国を愛する」あたりに相当反論があったようです。
「改正」だと思います。
「幅広い知識と教養を身に付け、心理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。」(第1章、第2条) 「-」(第1章、第2条)
基本的かつ重要な追記では(改正前に盛り込まれていないことが不思議)。
「心理を求める態度」などは重要では。
「健やかな身体」は、現代だからこその追記か。
「改正」だと思います。
「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、」(第1章、第2条) 「-」(第1章、第2条)
「個人の価値」、「能力」、「創造性」がセットになると競争主義的なにおいがしてしまいます。
「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」(第1章、第2条) 「-」(第1章、第2条)
「公共」、「主体的に社会の形成に参画し」などは重要ではないでしょうか。
「改正」だと思います。
「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと」(第1章、第2条) 「-」(第1章、第2条)
環境面は、このご時勢的な表現かと思いますが、社会の基本的要素として重要ではないでしょうか。
「改正」だと思います。
「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」(第1章、第2条) 「-」(第1章、第2条)
重要な視点だと思います。
「改正」だと思います。
(出所)文部科学省公開ホームページ「教育基本法資料室」

≪参考資料≫


【科学技術】日本発次世代LSIへの期待

≪担当者のメモ≫浅川秀之 〔2009年1月29日(木)〕

LSIオンチップ光配線

2015年頃実用化?

小型化、省電力化、細線化の限界打破、高速化

電子 VS 光

電子←技術・ノウハウの蓄積あり

光←ナノ領域の技術・ノウハウようやく

光の波長400~700nm(可視光)

最近のLSI細線化~30nm

キーポイントは「波長より短い領域での物性」

実験 VS 理論

実験←薄膜技術など先行

理論←実験を後追い

最近ようやく融合

技術的には世界最先端(と思われる)

普及のためのグランドデザイン

狙うは「世界中の全ての機器には日本発次世代LSIが」

ご参考

西研一「LSIオンチップ光配線技術」(2007年9月)

http://www.starc.jp/download/sympo2007/08_nishi.pdf

≪追記≫『ランチの間』ディスカッションから得られた示唆 (浅川秀之)
韓国における国策的なサムソンに対する半導体戦略支援の例(生産設備増強のための資金の重要性)や、オバマ政策における国家CTOの役割などを考慮すると、優れた技術を単に開発するだけでは不十分であり、それらをいかに世界に普及させるかまでを俯瞰した大局的な戦略が重要であることが分かる。
特に今回の話題の対象のような半導体基盤技術については、1企業で解決可能なレベルではないと思われる。企業間の協調(よい意味での「護送船団」)や、国策としての先導がキーとなる。日本の新たなLSI技術の実用化が見えてきた段階から、普及のためのグランドデザインを描くことが重要と考えられる。

(6)その他(科学技術、ITなど)

■【教育・IT】教育分野におけるITに関する取り組み

≪担当者のメモ≫今井孝之〔2009年7月15日(水)〕

教育分野における取り組みでは、「教育のIT化」と「ITの教育」という2つの側面がある。
「i-Japan戦略2015(案)」(2009年6月)や「三か年緊急プラン」(2009年4月)では、初等・中等教育(および家庭・地域連携)と、高等教育(および産業・地域活用)の2つに大別して、取り組みを記載している。

初等・中等教育では、デジタル技術活用(「教育のIT化」)への取り組みが多く記載されている。


教員のデジタル活用指導力の向上、そのサポートとしての支援人財および統括責任者の配置など。



- 「三か年緊急プラン」では、「ICT支援員」の配置・派遣の促進をうたっている。


双方向で分かりやすい授業の実現に資するハード・ソフトの一体的な整備充実。



- コンピューター、ネットワーク、デジタル機器(電子黒板等)の整備、教育コンテンツ開発・活用、効果的な教育方法の開発など。


コンピューターとネットワークを活用した校務の効率化



- 「三か年緊急プラン」では、成績のオンライン一元管理などを進め、ASP・SaaSの活用を図る旨が記載されている。


デジタル技術を活用した、家庭・地域・学校の連携、住民参加の学習など。


「ITの教育」という側面では、情報を活用する能力に加えて、情報モラル教育などにも焦点が当てられている。

高等教育では、主に高度デジタル人財の育成が重視されており、「ITの教育」の側面が強い。


産学官連携の促進、ナショナルセンター的機能の充実、人財の適正配置・流動化などが志向されている。



- デジタル社会基盤を支える人財育成と雇用促進の充実がうたわれている。



- 「三か年緊急プラン」では、情報アセットの情報共有化を行うナショナルセンター的機能の中核として、クラウド技術を活用した実践的な遠隔教育システムの開発の促進がうたわれている。
【図表】 「三か年緊急プラン」で提示されている「デジタル教育の推進とデジタル活用人財の育成・活用」
(出所))IT戦略本部「デジタル新時代に向けた新たな戦略~三か年緊急プラン~(概要)」(2009年4月9日)

【図表】 IT戦略本部等による「教育・人財」分野における方策
  目標、成果など 方策
i-Japan戦略2015(案)

(2009年6月)
2015 年までに、幼保小中高等学校等における教育、大学等における人財育成に関し、以下を実現する。


1.客観的な効果測定の下で、子どもの学力を向上させる。
学校での授業において、各教科の特性に応じたデジタル技術の活用を進め、よりわかりやすく、創造的、発展的な双方向の授業を実現し、デジタル技術を活用した教育手法の効果の客観的な測定の下で、子どもの学力を向上させる。


2.子どもの情報活用能力を向上させる。
情報教育の充実により、子どもの、①情報及び情報手段を主体的に選択し、活用していくための能力、②情報手段の仕組みなどの理解、③情報化の影の部分に対応できる能力・態度を向上させる。


3.高度デジタル人財のミスマッチが生じない安定的・継続的な仕組みを確立する。
大学等において高度な教育拠点を広域展開し、国際的にも通用する高度デジタル人財を安定的に育成する。産業界では、各人の経験に応じて更に能力を引き上げていく人財育成を継続的に行う。


○高度デジタル人財について
デジタル技術は、パソコン、携帯端末、自動車、家電、産業機器等から産業・行政・社会の基幹システムに至るまで活用され、個人の生活や企業・行政等の活動に欠かせないものとなっており、経済社会全体を支えている。
これを支える人財が、デジタル技術を理解し・活用し、高い付加価値を創造できる高度デジタル人財である。


4.大学等における情報教育、デジタル基盤、遠隔教育等を充実する。
大学等における情報教育、デジタル基盤を充実するとともに、先進的なネットワークを活用した遠隔教育や教育コンテンツを活用した授業・学習支援を広く実施する。


1.幼保小中高等学校等教育におけるデジタル技術活用・情報教育の推進
ネットワーク化の進展も踏まえ、各教科の授業におけるデジタル技術の活用及び情報教育を推進し、子どもの学力や情報活用能力の向上を図るため、明確な効果評価の下で、以下の方策を実施する。
(1)教員のデジタル活用指導力の向上
教員のデジタル活用指導力のチェックリストを活用して、各学校や教育委員会等で、教員の実態に応じた研修を組織的・計画的に実施できるようにし、概ね全ての教員がデジタル技術を活用して指導できるようにする。
(2)教員のデジタル活用をサポートする体制の整備
全ての教育委員会及び小中高等学校等で、デジタル技術と教育両面に理解があり、教員と共にデジタル技術の活用法や教育の質の向上を考え、支援する人財及び統括責任者を配置する。
(3)双方向でわかりやすい授業の実現
双方向でわかりやすい授業の実現に資するハード・ソフトの一体的な整備充実を図る。
具体的には、学校における活用の実態や効果の検証も踏まえ、(ア)教育用コンピューター、校務用コンピューター、校内LAN、超高速インターネット接続について、IT 新改革戦略に沿って引き続き整備を進めるとともに、(イ)電子黒板等デジタル機器の教室への普及を進め、これらと一体的に(ウ)教育コンテンツの開発と活用、公的機関の保有するコンテンツの教育利用を推進するとともに、(エ)デジタル技術を活用した効果的な教育方法の開発・普及を行う。
(4)情報教育の内容の充実
新しい学習指導要領を踏まえ、課題や目的に応じて情報手段を適切に活用したり、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造したりする能力、情報や情報手段の特性を理解する能力や、情報セキュリティも含む情報モラル等の情報活用能力の育成を図る。
(5)校務の情報化、家庭・地域との情報連携
校務用コンピューターやネットワークを活用した一層の校務の情報化を推進し、業務の軽減と効率化を図り、教育の質の向上と学校経営の改善を図るとともに、家庭・地域との情報連携により、地域が一体となって教育を推進する体制を構築する。




2.高度デジタル人材を安定的・継続的に育成する体制構築
高度デジタル人財が年間1,500 人必要との経済界からの要請要望や、諸外国の実例などを考慮して、国際的な視点も取り入れつつ、関係省庁間で目標を含めた計画を定め、以下の方策を実施することにより、高度デジタル人財を安定的、継続的に育成する体制をつくる。
(1)実践的な教育拠点の広域展開・充実
大学間連携のほか、先端企業等の連携により、実務家による講義、チーム演習など、多様な手法を用いた実践的な教育拠点を広く展開するとともに教育拠点の充実を図る。
(2)産学官連携によるナショナルセンター的機能の充実
産業界出身者を大学等の教員とするための教育プログラムの開発、実践的なデジタル教育を行うための教材・カリキュラムの開発・普及、産業界と教育界の連携による実践的なインターンシップや体系的なリカレント教育など、ナショナルセンター的機能の充実を図る。
(3)デジタル技術を用いたシステム・サービスの供給側、利用側双方における魅力ある処遇・キャリアパスの実現の支援等
各種資格制度などの人財育成評価ツールの活用や人財のスキル等に関する情報の共有化による人財の適正配置・流動化を一層促進するとともに、モデルキャリアの策定・普及や専門家によるコミュニティの形成の促進を始めとした方策を展開することにより、能力・実績に応じた魅力的な処遇やキャリアパスの実現が図られるよう支援する。
さらに、供給側、利用者側それぞれのニーズにマッチした教育・研修の実施や独創的な人財の発掘・育成など、高度デジタル人財を志望する者の増加、高度デジタル人財の発掘や発展的な能力向上のための環境を整備する。
(4)高度デジタル人財の認定・認証
様々な効果測定を経た各種人材評価ツールや開発手法を活用した高度デジタル人財の認定・認証の仕組みを検討、確立すると共に広く普及を図る。




3.大学等における情報教育・デジタル基盤の充実
大学等における情報教育、デジタル基盤の充実を図るとともに、デジタル技術を活用した遠隔教育や授業・学習支援を促進する。
(1)情報教育、デジタル基盤の充実
大学等における情報教育のモデル事例等の普及・啓発を図るとともに、多様な教育活動を可能とするデジタル基盤の整備を図る。
(2)教育コンテンツの充実・活用
高度な教育や補習教育のための教育コンテンツの充実・活用を促進する。
(3)先進的なネットワークの活用
先進的なネットワークを活用し、遠隔地間でも臨場感のある教育環境を実現したり、教材等の教育資源を広く効率的に活用することを可能にする教育環境を実現すること等により、教育効果の向上を推進する。




デジタル新時代に向けた新たな戦略
~三か年緊急プラン~


(2009年4月)
≪現状と課題≫
デジタル教育の推進
デジタル技術を活用した教育が必要。
情報リテラシー教育とデジタル機器の配備に取組が進行中も成果は不十分。
将来の地域活性化、経済発展、国際連携を担っていくための基礎の力を育成。


デジタル活用人材の育成・活用
経済社会全体を支えるデジタル技術について、支える基礎となるのは、デジタル技術を理解し、活用できる「人財」。
人財の育成・活用の取組が不足しており、潜在的な社会発展・経済成長の機会を逸している。
デジタル特区による拠点取組も活用し、人財の育成、供給を行う。


≪目指すべき成果≫
(1)国民にとって
情報技術活用による知能・技能向上。
デジタル技術利用による被害等の軽減。
デジタル活用能力に応じた職種への転換、就労機会の増加。


(2)学校現場にとって
校務の効率化と教員のデジタル技術活用能力等の向上。
児童生徒のデジタル技術活用能力向上。
インタラクティブ授業活用等による知識習得、能力育成、学習意欲向上。
情報リテラシーの基礎技能化。


(3)産業界・中小企業にとって
不足するデジタル活用人財の持続的供給。
デジタル技術サポートが日常的に得られる環境実現。
天才的なデジタル活用技術者の発掘と、才能が発揮できる環境実現。


(1)初等・中等教育段階を中心としたデジタル活用教育の充実
デジタル活用人財の裾野を広げ、教育の質を高めるデジタル教育及びそのための環境整備を実施する。具体的には、初等・中等教育段階を中心としたデジタル活用教育の充実のため、以下の施策を実施する。
①デジタル教育基盤・教育環境整備
学校等でのデジタル活用授業等を一層推進するため、校内LAN、コンピューター、電子黒板、地上デジタルテレビ等のデジタル教育基盤を全国に整備する。また、学校等における地上デジタルテレビ等を活用したわかりやすい授業を促進するため、教育・教養コンテンツの充実、アーカイブ化による教室への配信等の環境整備を推進する。
②先進的デジタル教育の実施
上記の基盤も活用しつつ、モデル地域として教育専門家等によるサポート体制の下で、以下に掲げる先進的なデジタル教育を実施する。当該モデルの成果は、サポートする教育専門家等により全国へ普及、世界への提案を実施する。

コンピューター、校内LAN、電子黒板、地上デジタルテレビ等のデジタル教育基盤、デジタル教科書やデジタル放送番組等のデジタル教育コンテンツの活用による効果的な教育方法の開発・実施を推進する。

教員のデジタル活用指導力の向上を図るため、活用指導力の評価と研修、「ICT 支援員」の配置・派遣の促進e-learning の活用などを実施する。

デジタル技術を活用して、家庭・地域・学校の連携を図り、住民参加の学習などを推進する。

成績のオンライン一元管理など、校務の情報化を進め、教員の校務処理負担を軽減する。また、低廉な費用による校務情報化を実現するため、ASP・SaaS の活用を図る。


- その際、成績等の個人情報を含む教育情報の重要性に鑑み、教育機関向けのASP・SaaS サービスに必要となる安全性・信頼性基準を示し、これを満たしていることを検証するための情報開示指針を策定する。
③情報モラル教育・家庭・地域におけるリテラシー充実
デジタル活用能力の育成が不可欠となっている一方で、ネットいじめなど違法・有害情報に伴う弊害が社会問題化しているため、こうした問題に対し、学校のみならず社会総がかりの取組を推進する。この一環として、デジタル情報・技術の活用だけでなく、ネット上の危険への対処能力を持ちつつ、自らがネット上で与え得る危害の可能性を認識して自制する能力を養うなど、情報モラル教育を充実するとともに、企業等とも連携しつつ、家庭・地域におけるリテラシーの充実のための取組を推進する。




(2)デジタル活用能力を有する人材の育成・活用
デジタル活用能力を有する人財を育成・活用することにより、日本全体での潜在的なデジタル活用人財の不足の解消を図る。具体的には、以下の取組を実施する。
①産学官連携促進
高度なデジタル技術を開発・活用する人財(高度デジタル人財)を育成するため、企業等の情報部門での職務経験を有し、高度な知識・スキルを持ち合わせた人財を活用することにより、大学・大学院等の教育拠点において、企業等で求められる複合領域への理解などの能力を有し、デジタル技術を活用する企業・ユーザー企業の事業展開に対応できる、幅広いデジタル技術分野(セキュリティ分野を含む)の高度な人財育成・輩出のためのこれまでの仕組みを一層の産学官連携促進により拡大する。
具体的には、このような企業等で活躍する人財の質的・量的な拡大及び安定的・持続的な輩出を目指し、大学院教育のみならず学部教育や社会人のリカレント教育への展開も視野に入れ、産業界出身教員等の充実強化や実践的な教材・カリキュラムの開発・普及、産学マッチングによる実践的なインターンシップなどを加速するため、産学連携による人財育成・交流拠点としてのナショナルセンター的機能の充実を図るとともに、大学間・産学間のネットワーク機能を強化する。これらの今後のあり方については、すでに行われている拠点教育や「産学人材育成パートナーシップ」等の場における議論を継続していく。なお、拠点教育の今後のあり方に関しては、本年8 月までに関係省庁間で結論を得る。また、将来の天才的な技術者・クリエーターを発掘・早期育成するための集中トレーニング、優秀なプロジェクトマネージャーによる指導等を行う。
②クラウド技術を活用した遠隔教育システムの開発
高等教育機関等における高度なデジタル活用人財候補の育成強化のため、産業界等が提供する講師、教材等をできるだけ多くの高等教育機関で利用するとともに、サーバー、ストレージ、アプリケーション等十分な教育環境が整わない全国の高等教育機関等の教育環境を効率的に整備するため、クラウド技術を活用した実践的な遠隔教育システムの開発を促進する。開発に当たっては、当該遠隔教育システムが限られた教育アセットの全国の高等教育機関等における共有化というナショナルセンター的機能の中核を担うものであることに留意し、産学官連携で推進する。
③モデルキャリア開発計画策定・資格活用促進
学生や若い技術者が自らのキャリアパスをイメージできるよう、専門家によるコミュニティを活用したデジタル活用技術者の職種ごとにモデルキャリア開発計画を策定し、これらを広報・普及する。また、専門家コミュニティの形成を促進し、若手専門家の育成等を支援していく。更に、デジタル・ネットワークを活用する業務に対応できる若手人財の育成に資するため、「電気通信主任技術者」の資格取得を容易にするなどその活用促進を図る。
④産業・地域活性化のためのデジタル活用推進
デジタル技術の活用が遅れている分野に対しては、企業等でのアプリケーション活用、WEB 構築、コンテンツ制作等の経験がある人財を指導者又はサポート人財として派遣し、実使用者の目線に立ったデジタル技術導入を推進する。
具体的には、産業・地域の活性化のためのデジタル活用推進に合わせて、例えば、オンラインショッピングの運営等当該プロジェクトを継続的に遂行していけるデジタル活用能力人財の育成を行う。
また、これまでデジタル活用の先進プロジェクトを主導してきた地域情報化アドバイザー等の高度なデジタル活用能力人財が各地のプロジェクトに外部から参画することで、プロジェクトの遂行を通じて能力移転が行われるようにしていく。
⑤ デジタル活用能力の習得機会提供・人財育成・雇用創出
離職者等の再就職を目的とした職業訓練として、民間施設も活用し、デジタル活用能力の習得機会を提供する。また、官民の適切な役割分担のもと、職業人として誰もが共通に備えておくべき情報処理に関する基礎的知識を測るための「IT パスポート試験」、デジタルネットワーク技術の専門家育成を目的とする「工事担任者資格試験」及び民間の人財育成に関する各種資格試験を活用することによって、デジタル社会基盤を支える人財育成と雇用創出を促進する。




(出所)IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会、IT戦略本部資料を基に日本総合研究所作成

≪所感等≫
「教育のIT化」に関しては、基盤整備および効率化の意味合いが強いように感じる。

遠隔授業などのバーチャル化のみではなくリアルの教育に役立つ取り組みが重要ではないか。
地域連携、産業連携について、イメージを具体化して取り組みを推進していくことが必要であろう。

≪議論内容≫
「高度デジタル人財」という言葉はいろいろな解釈ができるが、広い視野で社会全体全体の構造を捉えて考えている人財が求められるであろう。

「技術者・クリエーター」という記載があるが、日本の技術者は“How”を追求する傾向が強いため、“Why”、“What”を含めて考えられる人材が求められるであろう。

マクロを考えず、“IT”の世界だけで問題を解決しよう、ひたすらに効率化を追求しようという発想では、限界が生じるであろう。


使われる立場に甘んじる“ITワーカー”的な人材が増えないように留意が必要であろう。


■【科学技術】ロボットの発展と人工知能

≪担当者のメモ≫山浦康史 〔2009年3月9日(月)〕
記事:日本経済新聞「虫の脳が操縦するロボット」(2009年3月2日)の紹介。
≪実験≫

フェロモンに反応する昆虫(カイコガ)の脳から出る電気信号を処理して車輪を動かすロボットを開発し、フェロモン発生源まで自動走行させる実験に成功した(東京大学の神崎亮平教授の研究グループ)。
≪技術≫

昆虫の脳の神経細胞を解析し、足の筋肉を動かすための電気信号を特定。

カイコガの脳に電極をつけ、電気信号を読み取って車輪を制御。
≪目的≫

小型で高性能のロボット開発などに役立たせる。

麻薬探知ロボットの実現を目指す。


カイコガの遺伝子を組み換え、麻薬のにおいに反応するようにすれば、麻薬探知に使えるのではないか。
≪参考≫

神経細胞の数は、昆虫が約10万個、哺乳類が約1,000億個。

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≪考察≫

道徳的な観点を抜きに考えると、人工知能の研究としては非常に面白いと考える。昆虫の脳は、昔から研究されてきたが、今までは、知能を人工のハードウェアとソフトウェアに移植しようというものであった。

しかし、昆虫に電極を刺して、ロボットに組み込んでしまうのは道徳的、倫理的には議論の余地が大きい。記事を見ると、①直接利用すること、②ロボットの発展のためという2つの目的がある。


昆虫の遺伝子を組み換えて麻薬探知に利用するのは賛成できない。


ただし、昆虫の脳のメカニズムを解明して、人工知能研究を発展させるためのアプローチと位置づけるのであれば、よいのではないか。

このような技術が軍事面で利用されれば、非常に恐ろしい兵器ができる可能性があるため、注意が必要である。

【図表】 昆虫脳を利用したロボットの概念
(出所)日本総合研究所作成

≪議論内容≫
軍事利用に関しては、どのようなイノベーションであっても、その危険性が出てくるため、特にこのテーマに限ったことではないだろう。
遺伝子を組み換えて直接的に利用しようというのは、教授が考えているのではなく、記者がそう付け加えただけという可能性もある。
昆虫の触覚と脳だけを取り出して利用することが、直接利用の最終的な形として考えられる。

しかし、「脳がすべてを考えている」という、西洋的な考え(解剖・分解の思考方法)ではうまくいかないのではないか。
ロボットには、軍事的な利用ではなくて、人間では危険で作業ができない場面(災害現場や、原子力発電所等)での活躍を期待している。


■【科学技術】産学連携

≪担当者のメモ≫山浦康史 〔2009年3月2日(月)〕
記事:日本経済新聞「点検:科学技術立国」(2009年3月2日)
日本の科学技術を強化する効果的な方法として政府は産学連携に力を入れてきたが、事例は一部の有名大学に集中しており、他大学との格差が鮮明になっている。また、産学の思惑のずれも出てきている。

≪記事上での問題意識・トピック≫
共同研究や、技術移転契約が、一部の有名大学に集中している。

例年、東京大学、大阪大学、慶應義塾大学などの「常連」が占める。

地方大学が危機感を強めており、打開策を探る例も出てきた(4uの例)。
企業側はすぐに果実を欲しいが、リスクを恐れて立ちすくむ状況。

日本企業が検討に時間をかけている間に英国企業と契約が成立する例もある。
企業が自社の研究開発費を抑制し、外部に事業のネタを探す傾向は一層強まる。
大学が企業の下請け的な存在になることには抵抗がある。

≪論点≫
問題意識。

世論では、産学連携があまりうまくいっていないような印象を受けるが、共同研究の規模は増えつつあり、一定の成果を出しているように思えるため、皆さんの感想をお聞きしたい。

産学連携における最大の問題点は、企業が短期的な成果を上げることが目的であるのに対し、大学は長期的な成果を上げることが目的であり、役割として時間的な差異がある。この差に対してどう折り合いをつけるべきかを議論したい。

≪参考≫≪経済産業省の産学官連携施策の系譜≫
【平成10年】

「大学等技術移転促進法」(TLO法)策定⇒TLO(技術移転機関)の整備促進

「研究交流促進法」改正⇒産学共同研究に係る国有地の廉価使用許可
【平成11年】

『中小企業技術革新制度』(日本版SBIR)の創設。

「産業活力再生特別措置法」策定⇒日本版バイドール条項・承認TLOの特許料1/2軽減。

日本技術者教育認定機構(JABEE)設立。
【平成12年】

「産業技術力強化法」策定⇒承認・認定TLOの国立大学施設無償使用許可、大学教員のTLO役員・研究成果活用型企業の役員・株式会社監査役との兼業許可。
【平成13年】

『平沼プラン』で「大学発ベンチャー3年1,000社計画」発表。
【平成14年】

「蔵管一号」改正⇒大学発ベンチャーの国立大学施設使用許可

TLO法告示改正⇒承認TLOの創業支援事業円滑化
【平成15年】

「知的財産基本法」策定→大学は人材の育成、研究、その成果の普及に自主的かつ積極的に努める責務

「学校教育法」改正⇒専門職大学院制度創設、学部・学科設置の柔軟化アクレディテーション制度導入(平成16年度から)。
【平成16年】

「国立大学法人法」施行⇒教職員身分:「非公務員型」、承認TLOへの出資。

「特許法等の一部改正法」施行⇒大学、TLOに係る特許関連料金の見直し。
【平成17年】

大学発ベンチャー1,000社計画達成!!(1,112社)。
(出所)経済産業省ウェブページ

≪参考≫≪首都圏北部4大学連合(4u)[茨城大学、宇都宮大学、群馬大学、埼玉大学]≫
平成18年度、4大学大学院連携協議会発足。

共同大学院設置検討部会、連携事業検討部会、産学官連携・知的財産WG、分析機器相互利用WG等がスタート。
平成18年度、関東経済産業局の支援を基に、「首都県北部技術移転研究会」の中で広域の産学連携、新技術移転を検討。
平成19年度、大学が主体となり、4大学新技術説明キャラバン隊を結成し、さいたま市と桐生市で新技術移転説明会を行う。

4大学が所有する「知」を紹介するための研究シーズ集(4U:フォー・ユー)を発刊。
文部科学省が行う事業「産学官連携戦略展開事業(戦略展開プログラム)」にもお互いの連携を軸にした活動内容で挑戦。

①知的財産の啓発、教育活動また、弁理士チャレンジ講座の開設。

②産学官で研究シーズを生み出す環境創出。

③技術移転や特許活動。

④大学が先導した地域ブランド創出。

【図表】 産学連携基礎データ
(注)☆「共同研究」:大学等と企業等とが共同で研究開発にあたり、かつ当該企業等からそのための研究経費が大学等に対し支弁されているもの。☆「受託研究」:大学等が国や民間企業等からの委託により、主として大学等のみが研究開発を行い、「民間等との共同研究」同様、相手方からそのための研究経費が大学等に対し支弁されているもの。
(出所)文部科学省ウェブページから日本総合研究所作成

≪議論内容≫
共同研究が有名大学に偏っているのは、優秀な生徒が集まるからではなく、有名な先生が集まっていることが原因ではないか。
共同研究が国立大学に偏っているのは、研究設備が整っていることが主な原因であろう。その他の原因としては、未だに企業内で、旧帝大の影響力が強いことをが挙げられるのではないか。
オープン・イノベーションは、短期的な成果を求める流れに拍車をかける危険性がある。


■【メディア】日本の地デジは成功するか

≪担当者のメモ≫岡本俊哉 〔2009年2月19日(木)〕
日本における地デジは、米国同様スムーズに移行しているとは言い難い状況。

総務省が17日発表した地上デジタル放送(地デジ)に関する緊急調査で、2009年1月時点の対応テレビやチューナーの世帯普及率は49.1%にとどまり、目標の約58%はおろか、半数にも達していないことがわかった。(「YOMIURI ONLINE」記事(2009年2月17日))
そもそも地上デジタル放送のきっかけは、世界に先駆けてNHKがハイビジョン放送を開始し、ISDB方式を世界標準としようとしたこと。これに危機を感じた米国は、日本に先駆け、地上デジタル放送を開始し、ATSC方式を推進したが、欧州も独自のDVB方式を作ったため、結局日米欧ともに異なる規格となった。

なお、米国の年次改革要望書の電気通信に示される項目は、地デジも含まれるものと判断される。


年次改革要望書2005年(「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」(2005 年12 月7 日)):詳論「電気通信」Ⅱ-B.調達



NTT地域会社などの支配的事業者による調達活動が公正に行われるよう、引き続き保証するために、米国は日本が以下の措置を取るべきであると提案します。



1. 日米両首脳への第3回報告書の中で触れられている「日米間のネットワーク回線終端装置(NCTE)に関する合意」が定める義務の改定について、広く一般にその是非を問い、意見を募集する期間を設けること。



2. 標準化技術が大々的に導入されそうな調達案件の場合に、新技術が開発初期段階や商用試験段階で入札に参加することを制限しているNTTの現行制度を見直すこと。



3. 総務省が次世代インフラ技術要件に関する政策提言を行う場合には、その提言が必ずオープンで透明性の確保されたプロセスを経たものであるよう心がけること。



4. VoIP を始め、日本政府が電気通信サービスの調達を行う際には、外国の事業者も含むすべての供給者に対して公平に門戸を開放すること。
イギリスは元々チャンネル数が少なく、多チャンネル化を目的としたものであったため、国民から非常に喜ばれ、受け入れられた。一方、CATVや衛星放送が普及し、元々多チャンネルであった米国は、高画質化を目的としたため、事業者、ユーザーともに設備投資が必要となり、成功したとは言い難い状況にある。

ただし、電波を競売にかける仕組みを導入している米国は、仮に事業者が儲からなかったとしても、空いた周波数帯を競売にかけることで、米連邦通信委員会(FCC)は儲かる仕組みになっている。

≪参考≫諸外国の地デジの放送開始年:1998年:イギリス、米国、1999年:スウェーデン、2000年:スペイン、2001年:オーストラリア、フィンランド、韓国、2003年:日本、2006年:オーストリア、ブラジル、2008年:中国
地デジ対応機器の普及遅れに対応し、日本政府は、CATV利用世帯を対象に、2011年7月の地上デジタル放送(地デジ)完全移行後も、アナログ放送を受信できる措置を取っている。
≪議論を通じて教えて頂きたい項目≫
日本において、地デジは何を持って成功したと言えるか?

昨今の経済減速により、改めて青写真を描きなおす必要もありそうですが。
放送事業者、電機メーカー、PCメーカー、通信事業者、CATV事業者の綱引き関係と、勝敗の動向。

米国は地デジ移行において、今のところほとんど参入できていないと思われるが、実際のところどうか。

余談ですが、私自身は高画質への興味が薄いため、端末を買い換えなくて済むCATVによるアナログ放送に魅力を感じてしまいます(意外とこのような考えの人が多く、CATVが加入者数を伸ばす?)。


■【科学技術】研究者の海外流出

≪担当者のメモ≫山浦康史 〔2009年2月16日(月)〕
記事:日本経済新聞「点検:科学技術立国」(2009年2月16日)
概要。

経済の失速によって、技術や科学への期待が高まっているが、外国人や若手・女性研究者を阻む閉鎖的な研究風土により、日本を代表する優秀な研究者の海外への移籍が目立つため、改善が必要だ。
日本での状況。

雇用形態。


年齢を理由(定年時)に一律に退職させる。


業績の評価や研究費の使い方が非効率。


待遇面での見劣り。東大教授の平均年収は900万円。ハーバード大教授の平均年収は18万ドル。


例:2008年のノーベル賞受賞者4人のうち、2人が海外を拠点としている。

外国人研究者に対する閉鎖感。


「日本だと埋没してしまう」との考え。


国内に閉じこもり、国際会議での存在感が薄い。

女性研究者に対する閉鎖感。


女性研究者が少ない。日本の研究者のうち女性が占める割合は13%(欧米では30%)。


公平ではない人事制度。

若手研究者に対する閉鎖感。


大学院重点化を進めたが、卒業後の博士研究者の行き先が少ない。



大学に残ったポストドクターが16,000人を超えている。
海外での状況。

シンガポール:シンガポール国立大学伊藤嘉明氏


勝ちぬけば70歳になっても最前線に立てる。


例:伊藤は研究論文を発表し、さらに5年間の契約延長をした。

米国:


研究環境の魅力で人材を集めている。

問題意識。

資源が豊富ではなく、科学技術で成り立ってきた日本としては、研究者、技術者の育成・確保が必須であり、今後もその構図は変わらないであろう。


上記であるにも関わらず、研究者・技術者が海外へ流出している(流出する土壌がある)のは大問題である。

日本の研究者・技術者が日本に留まり、かつ世界へ発信できるようになるためにはどうすればよいか。当該記事で取り上げられている問題点以外の論点や、問題の根本にあるものは何か等を議論したい。

≪参考≫研究者としての評価
そもそも研究者としての評価が処遇に反映されていないと考えられている割合が高い(図表赤枠)。
研究者としての評価は、「給与・俸給(賞与等含む)」、「研究費の増額」に反映されるべきだと考えられている(図表青枠)。
大学等において、研究者としての評価が「研究費の増額」に反映されていないと考える研究者が多いといえる(図表緑枠)。

【図表】 研究者としての評価が反映されている処遇と反映されるべき処遇
(注)☆「評価に対する不満足度」:「評価が反映されるべき処遇」の割合から「評価が反映されている処遇」の割合を引いたもの。☆「処遇には反映されていない/特に反映する必要はない」の項目は意味が反転しているために算出式を逆にしている。
(出所)文部科学省『我が国の研究活動の実態に関する調査報告』(2007年11月)


■【雇用・労働】内定取消し問題

≪担当者のメモ≫山浦康史 〔2009年2月9日(月)〕

≪内定取消しの状況≫
内定取消しは、過去にも経済状況に応じて行われてきた。

【図表】 内定取消し者数と事業所件数の推移
(注)☆2008年3月卒以前の数値は、事業主からの通知によりハローワークで把握したもの。(指導中のものは含まない。)☆2009年3月卒の数値(87件、331人)は、ハローワークで指導中のものを含むほか、大学等で把握されている情報も含めたものであり、把握の方法が異なるため、2008年3月卒以前の数値と単純に比較はできない。
(出所)厚生労働省「新規学校卒業者の採用内定取消しへの対応について」(2008年11月)を基に日本総合研究所作成

【図表】 ≪参考≫就職内定率の推移
(出所)厚生労働省「平成19年度大学等卒業者就職状況調査」(2008年5月)

≪大学側の施策≫
大学は内定取消し問題に対応するため、学生の在席延長を認める施策を講じ始めた。

大谷大(京都市)は7日、企業の経営悪化などで内定を取り消された今春卒業予定の学生に対し、半年につき3万円を負担すれば最長で1年間在籍を延長できる「特別在籍」を認める支援策を発表した。同様の支援策は、甲南大(神戸市)や法政大(東京都)などが実施している。


(出所)asahi.com(2009年2月)

関東学院大:内定取消し学生に卒業延期と学費免除措置


(出所)CASTニュース(2009年2月)

≪厚労省の施策≫
厚労省は、企業側が安易に内定取消しをできないように、悪質な内定取消しを行った企業を公表することとした。

「新規学校卒業者の採用に関する指針」


(厚生労働省ホームページ参照http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/jakunensha05/index.html
厚生労働大臣は、採用内定取消しの内容が、厚生労働大臣が定める場合に該当するときは、学生生徒等の適切な職業選択に資するよう学生生徒等に情報提供するため、その内容を公表することができることとなります。
【厚生労働大臣が定める場合】採用内定取消しの内容が、次のいずれかに該当する場合。

2年度以上連続して行われたもの。

同一年度内において10名以上の者に対して行われたもの(内定取消しの対象となった新規学校卒業者の安定した雇用を確保するための措置を講じ、これらの者の安定した雇用を速やかに確保した場合を除く)。

生産量その他事業活動を示す最近の指標、雇用者数その他雇用量を示す最近の指標等にかんがみ、事業活動の縮小を余儀なくされているものとは明らかに認められないときに、行われたもの

次のいずれかに該当する事実が確認されたもの。


内定取消しの対象となった新規学校卒業者に対して、内定取消しを行わざるを得ない理由について十分な説明を行わなかったとき


内定取消しの対象となった新規学校卒業者の就職先の確保に向けた支援を行わなかったとき

≪考察≫
内定者側に対する考察

内定者側としては、内定取消しによって補償金を受け取ることができる(日本綜合地所の場合は100万円)。

入社後に破綻して路頭に迷うよりは、むしろ入社前に取消されたほうがよいという見方もできる。


日本綜合地所の破綻を考えると、補償金がもらえただけ幸運であっただろう。
企業側に対する考察

内定を取消すことは、当該企業の業績悪化を宣伝しているのと同義ではないか。


風評被害が本業まで影響するならば、内定を取消した場合の本業への影響と、内定を取消さなかった場合の人件費を比較すべきであろう。

派遣切りと比較して内定取消しは当人に対する影響が大きいと考えられるため、企業倫理として、内定取消しを認めるべきではないのでは。

≪議論の対象
内定取消しによる、内定者側や企業側のメリット・デメリットの洗い出し。
内定取消しの補償金の妥当性。
内定取消し禁止の是非。


■【雇用】介護分野の雇用創出

≪担当者のメモ≫今井孝之 〔2009年2月5日(木)〕
「「介護人気」に潜む危うさ 雇用の受け皿になるのは不況期だけ?」(日経ビジネスオンライン、2009年1月27日、http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090122/183544/)の紹介。

他産業従事者の失業増加等を受けて、介護の求職者が増加。

介護業界は慢性的な人手不足。2007年度有効求人倍率:介護関連職は2.1倍、全職業平均は0.97倍。


行政も雇用創出へ:厚労省は介護職未経験者を半年以上雇用した事業者に25万~100万円を助成。

ただし、景気回復時には再流出の可能性。「介護が労働市場の調整弁に」(淑徳大学、結城康博准教授)。


07年度給与水準:介護施設で働く男性介護職員は319.3万円、全産業平均は485.4万円(厚労省データ)。



男性派遣従業員の平均年収(2005年):404.6万円(厚労省アンケート)。


景気が低迷した1990年代後半に、介護分野の雇用が増えたが、景気回復&診療報酬引き下げで離職者急増し、離職率が20%超に。


雇用の受け皿となれば地域活性化にも。人の定着のために職員の待遇改善を進める雇用対策が必要。

≪参考≫「「介護で雇用」戦略なく」(日経新聞、2009年2月1日)の紹介。

「医療」や「介護」を成長産業と位置づけ、雇用をつくりだす「雇用ニューディール計画」の構想あり。

ただし、経産省と厚労省、旧厚生省と旧労働省の壁が存在。今後、いかに横断的な取り組みを進めるか。

「介護」に見られるような、労働需要のある分野にどのように雇用をシフトできるのか。

需要だけに任せても均衡がとれない?(産業全体に対する需要規模の変遷に加えて、各産業における一人あたり生産性(およびその向上速度)に格差が存在するため支払える賃金に格差が存在?)。


グローバル経済、企業経営的な発想だと、付加価値や生産性の低い財・サービスの生産は外に出し、付加価値の高い仕事に資源をシフト?(生産性が低く、かつ生産と消費が同時に起こるサービス業に関しては外国から移民を受入、一方で付加価値の高い産業を創造?)

政府の役割。「介護」以外も含めた全分野を考える際、日本としてどのような方向を目指すのがよいのか。

≪参考≫マクロデータ
労働力人口(15 歳以上人口のうち,就業者と完全失業者を合わせたもの)(07年):6,669万人(3年連続増)。
完全失業率:08年は4.0%(前年比0.1ポイント増。2002年以来、6年ぶりに悪化)。

2008年12月(季節調整値)は4.4%(前月比0.5ポイント悪化、過去に例のない悪化幅)。
産業別就業者数構成比(07年):1次産業4%、2次産業27%、3次産業69%(うち「医療・福祉」で9%)。

3次産業の就業者数、比率は引続き増加。
役員を除く雇用者に占める非正規の割合:07年は33.5%(06年は33.0%)。

「建設業」18%、「製造業」22%、「卸売・小売業」45%、「飲食店、宿泊業」68%、「医療、福祉」33.5%。
(出所)厚生労働省「労働力統計」(2008年の完全失業率は厚生労働省の速報ベース)

≪追記≫『ランチの間』ディスカッションから得られた示唆 (今井孝之)
一つの解決の方向性として、地域コミュニティ、地域通貨の活用があるのではないか。

≪参考≫マクロデータ
【図表】 完全失業率の推移
(出所)厚生労働省「労働力統計年報」(2007年度)

【図表】 産業別就業者数の推移
(出所)厚生労働省「労働力統計」データ ≪注≫ただし、グラフは本川裕「社会実情データ図録」(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5240.html

【図表】 産業・従業上の地位・職業別就業者数[2007年]
(出所)厚生労働省「労働力統計」を基に作成

【図表】 雇用形態別にみた雇用者の内訳及び非正規の職員・従業員の割合の推移
(出所)厚生労働省「労働力統計年報」(2007年度)

【図表】 雇用形態別にみた雇用者の内訳及び非正規の職員・従業員の割合の推移
(出所)厚生労働省「労働力統計年報」(2007年度)


■【教育】教育基本法

≪担当者のメモ≫浅川秀之 〔2009年2月4日(水)〕

【図表】 改正前後の教育基本法の比較
改正後
(平成18年、2006年)
改正前
(昭和22年、1947年)
コメント・感想
(浅川秀之)
全体的に「個人の尊厳」、「個性ゆたかな」、「個人の価値」など「個」を重視している。(全体)
確かにそういう教育を受けてきました。
個性⇒米国をイメージしてしまいます。
個にバラバラにされてしまうことが奨励されている?!
「公共の精神を尊び」(前文) 「-」(前文)
中教審の審議で“社会の形成に主体的に参画する公共の精神、道徳心、自律心”を盛り込むことが検討されたようです。
「改正」だと思います。
「伝統を継承し」(前文) 「-」(前文)
中教審の審議で“日本人としてのアイデンティティ(伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心)” を盛り込むことが検討されたようです。
当時は相当「国を愛する」あたりに相当反論があったようです。
「改正」だと思います。
「幅広い知識と教養を身に付け、心理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。」(第1章、第2条) 「-」(第1章、第2条)
基本的かつ重要な追記では(改正前に盛り込まれていないことが不思議)。
「心理を求める態度」などは重要では。
「健やかな身体」は、現代だからこその追記か。
「改正」だと思います。
「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、」(第1章、第2条) 「-」(第1章、第2条)
「個人の価値」、「能力」、「創造性」がセットになると競争主義的なにおいがしてしまいます。
「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」(第1章、第2条) 「-」(第1章、第2条)
「公共」、「主体的に社会の形成に参画し」などは重要ではないでしょうか。
「改正」だと思います。
「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと」(第1章、第2条) 「-」(第1章、第2条)
環境面は、このご時勢的な表現かと思いますが、社会の基本的要素として重要ではないでしょうか。
「改正」だと思います。
「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」(第1章、第2条) 「-」(第1章、第2条)
重要な視点だと思います。
「改正」だと思います。
(出所)文部科学省公開ホームページ「教育基本法資料室」

≪参考資料≫


【科学技術】日本発次世代LSIへの期待

≪担当者のメモ≫浅川秀之 〔2009年1月29日(木)〕

LSIオンチップ光配線

2015年頃実用化?

小型化、省電力化、細線化の限界打破、高速化

電子 VS 光

電子←技術・ノウハウの蓄積あり

光←ナノ領域の技術・ノウハウようやく

光の波長400~700nm(可視光)

最近のLSI細線化~30nm

キーポイントは「波長より短い領域での物性」

実験 VS 理論

実験←薄膜技術など先行

理論←実験を後追い

最近ようやく融合

技術的には世界最先端(と思われる)

普及のためのグランドデザイン

狙うは「世界中の全ての機器には日本発次世代LSIが」

ご参考

西研一「LSIオンチップ光配線技術」(2007年9月)

http://www.starc.jp/download/sympo2007/08_nishi.pdf

≪追記≫『ランチの間』ディスカッションから得られた示唆 (浅川秀之)
韓国における国策的なサムソンに対する半導体戦略支援の例(生産設備増強のための資金の重要性)や、オバマ政策における国家CTOの役割などを考慮すると、優れた技術を単に開発するだけでは不十分であり、それらをいかに世界に普及させるかまでを俯瞰した大局的な戦略が重要であることが分かる。
特に今回の話題の対象のような半導体基盤技術については、1企業で解決可能なレベルではないと思われる。企業間の協調(よい意味での「護送船団」)や、国策としての先導がキーとなる。日本の新たなLSI技術の実用化が見えてきた段階から、普及のためのグランドデザインを描くことが重要と考えられる。