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Fuel Povertyとは

2008年09月10日 村上芽


 Fuel Povertyという言葉をご存知でしょうか。直訳すれば燃料の貧困。イギリスでは、「収入の10%超が燃料費に使用されている場合」と定義されています。日本でもエネルギー政策の変更や原油等エネルギーコストの上昇に注目が高まっていますが、イギリスでは、2001年からビジネス・企業・規制改革省(BERR)が戦略を策定し、2018年までそれをゼロにするとしています。

 冷涼なイギリスでは、具体的には適切に暖房出来ない状態を指しています。貧困及び高齢者世帯との相関が高く、都市・農村のいずれにも存在すると言われています。農村部では特にガスインフラが整っておらず、石油や電気に頼っていることも一因ということです。

 2005年の調査結果を見ると、1996年の650万世帯と比較して250万世帯に減少しているものの、最近の燃料費の上昇により、2005年に初めて前年比50万世帯増加しています。

 政府は様々なチャネルで支援策を展開していますが、イギリスではチャリティ団体(日本のNPO法人のイメージです)の役割が特徴的です。イングランド南西部の都市ブリストルにあるCSE(Centre for Sustainable Energy)もその1つですが、「総論として、貧しい層には環境よりも他に心配事が多すぎる。従って、生活費の節約手段や家を効果的に暖かくするための手段として省エネルギーを位置づけ、アプローチしている。」と話していました。例えば、冬場に隙間風を防いだり、厚手のカーテンにしたりすることも、知らない人にとっては重要だとしています。そして、都市やコミュニティの問題を深く理解していることが、環境活動を広げる成功要因だとも語ってくれました。

 7月に「福祉サービスに省エネ情報も」というコラムを書きましたが、日本でも、収入の10%以上を光熱費に費やしている世帯は少なからずあるでしょう。1世帯あたりの「CO2削減効果」は少ないかもしれませんが、健康面にも着目した省エネ行動をサポートするような政策が増えてほしいと考えます。
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