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Business & Economic Review 2005年10月号

【REPORT】
クレジットカード市場への新規参入企業について

2005年09月25日 調査部 金融ビジネス調査グループ 研究員 藤山光雄


要約
  1. わが国では市場の拡大余地がまだまだあることや、顧客サービスへの応用範囲が広がったことなどを背景に、クレジットカード市場への新規参入の動きが活発化している。これらの新規参入企業が発行するクレジットカードの発行形態は、カード会社が企業と提携し発行する「提携カード」と、企業が自ら発行主体となる「自社カード」の二つに大きく分類できる。

  2. クレジットカード業務のほとんどをカード会社が行う提携カードの場合、企業は低コストでクレジットカードを発行し、顧客の囲い込みや顧客情報の収集に活用することが可能となる。2004年以降の提携カード発行状況を見ると、購買単価が比較的小額な小売店や、インターネット関連企業による発行の増加が、特徴としてあげられる。

  3. 一方、自社カードの場合、企業自らがカード発行主体となるため、企業自身が債権回収リスクを負い、カード事業を行うために大きな投資が必要となる。もっとも、顧客の囲い込みや顧客情報の収集において、提携カード会社に依存しないため、柔軟なカード事業の運営が可能になるというメリットがある。さらに、カード事業による新たな収入源の確保を目的とすることもできる。

  4. 一般企業がクレジットカードの発行に至る経緯は、業種の特性や競合他社との競争環境などにより、さまざまであるものの、新規参入企業が持つ特徴を整理すると、a.強固な顧客基盤の保有、b.自社事業と決済業務の高い親和性、c.自社事業におけるポイントサービスの有効性、の3点が指摘できる。

  5. クレジットカード市場への新規参入について今後を展望すると、a.企業にとって顧客の囲い込みとマーケティングを強化する必要性が高まっていること、b.システムコストの低下によりカード業務への参入障壁が低下していること、などを背景に、今後もその数はさらに増えていくと考えられる。もっとも、安易なクレジットカードの発行は失敗に終わる可能性が高い。新規参入を検討する企業は、クレジットカードの発行の目的を明確化したうえで、その目的を実現できるカード戦略を慎重に検討する必要があろう。
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