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Business & Economic Review 2007年03月号

【REPORT】
銀行の投資商品販売におけるインターネットチャネル再考

2007年02月25日 調査部 金融ビジネス調査グループ 研究員 藤山光雄


要約

  1. 銀行のインターネットバンキングは1990年代後半に相次いでサービスが開始された。現在では、都市銀行、地方銀行・第二地方銀行の大部分で導入されており、都市銀行を中心に投資信託や外貨預金などの取引も可能となっている。インターネットバンキングはその利便性から、既存の顧客チャネルに対して優位性を有していたが、近年のブロードバンドの普及による通信速度の向上や利用コストの低下によって、利用者数は着実に増加している。

  2. 90年代後半以降、投資信託や個人年金保険などの銀行窓口での販売が順次解禁され、その取扱高が大きく増加している。投資商品の購入に積極的な消費者の増加に伴い、金融資産の預金から投資商品への移行が今後も拡大する可能性が高い。銀行はこのような投資商品に対するニーズに対応するため、店舗でのコンサルティング営業の強化を図っているものの、今後の顧客ニーズの増加を勘案すれば、将来的には店舗販売だけでは十分に応えられない可能性がある。

  3. 店舗における投資商品の販売を補完するものとして、インターネットチャネルが注目されている。近年、インターネットは消費者が商品やサービスを購入する際の情報収集ツールとして重要な役割を果たすようになっている。また、インターネットを通じた金融商品取引の増加傾向とともに、多額の金融資産を保有している高齢者層への浸透を考慮すれば、将来的にインターネットを利用した投資商品の購入ニーズの拡大が予測される。もっとも、現在の銀行のインターネットチャネルにおいては、投資に対する知識や経験、あるいはその購入目的が異なる消費者に対し、必ずしもきめ細かな対応が行われているとは言い難く、投資の初心者が利用するには、難解な用語や膨大な情報量などに戸惑うことが多いものと推測される。

  4. 銀行がインターネットを投資商品の重要な販売チャネルの一つとして位置付けるためには、その前提としてインターネットバンキングの利用率を現在よりも大幅に引き上げることが必要である。そのためには、セキュリティ対策に関する情報提供の拡充を図ることにより、消費者の不安を払拭することが必要である。

  5. 銀行が投資商品をインターネットを通じて販売する場合には、個人投資家のニーズや投資知識、経験に応じたきめ細かな対応が必須となるが、最新の技術を活用すれば、これらの課題の解決は可能である。その具体的な取り組み例としては、a.メニュー画面やコンテンツのカスタマイゼーション、b.バーチャル窓口の提供、c.高度なシミュレーションツールの提供、などが考えられる。また、投資商品の販売力を一層強化するためには、ブログや口コミサイトなど、消費者の情報発信力を活用することも積極的に検討していくべきであろう。
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