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リサーチ・フォーカス No.2021-010

関西女性の就業促進と活躍に向けて ― 家庭と仕事の両立を実現できる就業体制の整備を ―

2021年05月19日 若林厚仁下野雄介


コロナ禍により足許では女性の雇用不安が高まっているが、中長期的に見ると、働く女性は着実に増加している。飲食・宿泊や医療・福祉といった女性比率が高い業種だけでなく従来女性比率の低い建設業などでも増えており、また非正規のみならず正規雇用も増加している。

もっとも、関西の女性就業率は依然として全国対比で低い。特に子育て期の既婚女性の就業率が低い。この背景として、①通勤時間が長い、②保育所定員も子供数対比少ない、③核家族世帯が多い、④子育て後に離職率の高い非正規雇用に就くケースが多い、⑤夫の給与が相対的に高い、といった点が指摘可能。こうした点を背景に、「結婚や出産・子育てを機に退職を余儀なくされ、子育てが一段落した後も就業への復帰が難しい女性が多いこと」ことが、関西での女性就業率低迷の主因と考えられる。

少子高齢化と首都圏への一極集中が進んだ結果、男性労働力人口は首都圏では横ばいを維持している一方、関西では過去20 年間以上減少基調が続いている。関西では今後も男性労働力人口の減少は避けられず、拡大余地のある女性労働力のさらなる活用は、関西経済にとって非常に重要な課題である。

「家庭と仕事の両立」、「出産・子育て後の就業継続」という課題に対し、労働者への就業支援だけではなく、企業側においても、女性が離職することなく継続的に働きやすい制度の導入を推進していく必要がある。具体的には、①短時間勤務制度やテレワークを活用した、時間や場所にとらわれない多様な勤務形態の導入、②年齢や勤務時間ではなく、職務内容・役割に基づいた評価制度の導入などが考えられる。

こうした取り組みは今後人材獲得力の差に直結し、短期的な要員手当の成否にとどまらず、少子高齢化が見込まれるなか、中長期的な企業の競争力の差にも繋がってくる。また、家庭において男性が家事や子育て参加の意義や重要性を理解するとともに、企業側も男性の家事・子育てを奨励するような機運を社会全体で高めていく必要がある。官民一体となり、継続的に女性活躍を推進していくことが、これからの関西企業ひいては関西経済の成長に求められよう。

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