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2009年09月07日

「持株会社化の検討および実施状況に関する調査」結果について 日本型持株会社経営の発展に向けた、課題と対策が明らかに

株式会社日本総合研究所(代表取締役社長:木本泰行 本社:東京都千代田区)は、持株会社化の検討および実施状況に関し、上場企業を中心とした2,331社を対象としたアンケート調査を2008年11月~12月に、また併せて全上場会社に関する公開情報に基づく調査を2009年1月~6月に、それぞれ実施しました。
2002年の独占禁止法改正による全面自由化以降、着実に持株会社への移行が進み、上場企業の持株会社数は増加の一途をたどっています。このように持株会社化が進む背景には、「事業会社の自立性強化と経営の迅速化(持株会社へ移行済の企業69社中、57社)」「M&Aへの迅速な対応(同、35社)」「事業推進単位・構造の再整理(同、35社)」等の目的に対する強いニーズが存在することが、今回の調査で明らかになりました。なお、本調査では、公開情報に基づく調査およびアンケート調査に加え、アンケート調査の補足として、持株会社移行済の企業に対し、個社別に直接のヒアリング調査も実施しております。これにより、持株会社経営の実態および現在抱えている課題が浮き彫りになりましたが、これら課題を克服し、日本型持株会社経営を成功に導くための効果的な対応策に関する見解も、調査結果報告書中に示しております。
主な調査結果の概要は下記の通りです。
アンケート調査:
調査対象:東証1部・2部上場企業を中心とした2,331社(非上場企業27社を含む)。対象を持株会社へ移行済みの企業(265社)と持株会社化未実施の企業(2,066社)とに分類した上で調査を実施した
回答社数:総数299社(回答率12.8%)
<内訳>持株会社へ移行済の企業69社(回答率:26.0%)、持株会社化未実施の企業230社(回答率:11.1%)
調査方法:アンケート調査(記名式、選択式回答および自由回答)による
調査内容:持株会社への移行状況及び持株会社の経営状況について
調査期間:2008年11月~12月
公開情報に基づく調査:
調査対象:全上場会社
調査方法:有価証券報告書等のIR情報の分析
調査内容:持株会社への移行状況および基礎財務情報の確認
調査期間:2009年1月~6月(2009年3月期決算まで反映)
調査結果の概要:
  • 我が国における持株会社数は、2002年の独占禁止法改正以来着実に増加しており(2001年度以前は9社であったのに対し、2008年度は254社)、持株会社経営の認知度は急速に高まっている。その背景には、「自立的な事業運営、M&Aを含むダイナミックな組織運営、グループ本社機能の強化」といった持株会社の利点を享受したい企業側の狙いがあります。この間、法務・税務・会計の各分野の整備も進み、持株会社設立のためのハードルは格段に低くなっています。
  • 持株会社化未実施企業について持株会社化を実施していない理由を調査した結果、その多くは持株会社化の可能性を完全に否定する内容ではありませんでした。当該企業が将来において持株会社化を検討する可能性は十分考えられることから、我が国における持株会社の存在感は今後も増していくものと推察されます
  • 持株会社化の際には事業会社との機能分担が重要な論点となりますが、持株会社に集約されている機能は「グループの対外的な窓口としての機能」と、「グループ内部における事業の選択とリソースの配分機能」の二つの機能であることが明らかとなりました。また、持株会社に集約されている機能は、今後企業がグループとして強化したいと考えている機能と一致しています。
  • 持株会社化を実施・検討中の企業について実施したアンケート調査とヒアリング調査を分析した結果、持株会社経営を行っている企業が抱えている課題の存在も明らかになりました。持株会社経営における課題は「当初の構想と実施状況とのギャップ」、「グループ経営インフラの未整備」、「関連諸制度の不備」の三つに分類されます。
  • 持株会社化の利点を最大限享受するためにも、課題については対応策を講じていく必要があります。加えて、我が国において持株会社を経営していくにあたっては日本独自の経営環境を考慮に入れた視点が求められます。具体的には、「企業文化・組織の形成」、「長期視点での事業育成」、「シナジーの追及」といった視点を重視し、日本型の持株会社経営を追求することが必要です。
持株会社運営上の課題をクリアして、その効果を最大限享受することができれば、持株会社制度は有効なマネジメント手法として、活用の余地が高まっていくものと考えられます。しかしながら、現在の「持株会社経営」というコンセプトは、欧米の経営手法を範としたものであるため、そのままでは日本の経営に合致しない部分もあります。これを日本の経営に合致させるためには、「企業文化・組織の形成」「長期的視点での事業育成」「シナジーの追求」の三点を重視した、日本型のグループ経営について考慮する必要があります。これらの考えに基づき、日本型のグループ経営を実現する担い手として、特定事業の収益性や時間軸にとらわれずに、全体最適での価値向上に専念できるという意味で、持株会社の存在は非常に有意義であると考えられます。なお、必ずしも全面的に欧米的な経営スタイルを否定するべきではなく、従来の日本企業には不足している合理的な企業価値の算定システム、明快なアカウンタビリティの姿勢等は、見習うべき点であるといえます。日本的なグループ経営の要素を活かしつつ、欧米の経営スタイルの良い点を取り込むことができてこそ、日本型持株会社経営が有益なものであるといえるのです。
※調査の詳細については、添付の資料をご参照ください。
※全アンケート結果(全質問項目および回答)について送付をご希望される場合は、下記問い合わせ先までご連絡下さい。別途お送りさせていただきます。
日本総合研究所について
株式会社 日本総合研究所は、三井住友フィナンシャルグループのグループIT会社であり、情報システム・コンサルティング・シンクタンクの3機能により顧客価値創造を目指す「知識エンジニアリング企業」です。システムの企画・構築、アウトソーシングサービスの提供に加え、内外経済の調査分析・政策提言等の発信、経営戦略・行政改革等のコンサルティング活動、新たな事業の創出を行うインキュベーション活動など、多岐にわたる企業活動を展開しております。


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