JRIレビュー Vol.2,No.74 【米中対立にどう向き合うか-世界新秩序とわが国の対応】 クロージング 2020年03月02日 株式会社日本総合研究所 理事長 翁百合日本総研主催シンポジウム開催日時:2019年11月26日(火)14:00〜17:00 会場:イイノホール開会挨拶 株式会社日本総合研究所 代表取締役社長 谷崎勝教・第1部 問題提起(1)米中対立の本質と新しい世界秩序(PDF:3075KB) 株式会社日本総合研究所 理事 呉軍華・第1部 問題提起(2)米中対立とアジアのサプライチェーン再編(PDF:5757KB) 株式会社日本総合研究所 調査部 上席主任研究員 三浦有史・第2部 パネルディスカッション1(PDF:4806KB)・第2部 パネルディスカッション2(PDF:4167KB)〈パネリスト〉政策研究大学院大学 学長 田中明彦 氏神戸大学大学院経済学研究科 教授 梶谷懐 氏中部大学 特任教授 細川昌彦 氏〈モデレータ〉株式会社日本総合研究所 理事 牧田健 ・クロージング(PDF:845KB) 株式会社日本総合研究所 理事長 翁百合 本日は、多数のお客様にご参加いただきまして、まことにありがとうございました。クロージングに当たって、ごく短い時間ですが、ご挨拶させていただきます。 本日は、米中対立をテーマに、まず弊社の呉理事から、グローバル化はすでに大きく変容していること、米中対立は異なる価値観、秩序のぶつかり合いであること、日本は国家としても今後どう行動していくかが問われているという問題提起をさせていただきました。また、三浦上席主任研究員からは、中国企業による生産拠点の東南アジアへのシフトが進みつつあること、一方で、サプライチェーンの再編が本格化するのはこれからであり、デカップリングも容易ではないことを指摘させていただきました。 パネルディスカッションにつきましては、すでに牧田理事がまとめさせていただきましたので、繰り返しはいたしませんが、本日のシンポジウムのテーマである米中の対立にどう向き合うかという問いかけに対して、本日の答えを私なりに考えますと、やはり相当長期にわたって継続する根深いものであり、日本にとっては、国家としても、企業としても、古き良き時代は終わったということを認識すべきであるということかと思います。そして、外交面でもビジネス面でも中国と積極的に関係を築ける分野を探っていくことが大きな課題になっているということかと思います。 パネルディスカッションでも議論がございましたが、中国経済は成長のペースは低下し、長期的には過剰債務、人口減少問題も抱えておりまして、また米中対立の深刻化で、経済構造の変化も余儀なくされております。こうした見方に立ちますと、楽観できないという見方もございますが、一方で、本日、ご説明がございましたように、デジタライゼーションを進めてきた世界最先端の産業競争力、そしてこれに基づく安全保障上の優位性を背景に、民主主義とは異なる体制のもとで今後も発展は中期的に続くものと考えております。中国は、こうした西側と異なるモデルの国際展開を図っており、日本にとっての対中国での安全保障、外交については、課題は多く、困難なものとならざるを得ないと思われます。 しかし、一方で、経済面で日本にとって最大の貿易相手国が中国でございます。日本は中国との関係を大事にしながら、正面からこの米中対立時代の困難な課題に向き合い、先ほどもお話がございましたが、欧州などとも連携しながら、国際的な役割を積極的に果たしていく必要があると考えております。 企業にとりましても、米中の価値観対立のなかで、不確実性は大きく拡大していると思います。各企業はリスクを慎重に見極めながら、グローバル・マーケットのなかで経営判断をしていくことが問われていると思います。 私ども日本総合研究所も、一層複雑化する国際秩序の変化を深く見極め、また、緻密な経済分析を重ねて、それらをあわせた政策提言を今後もしてまいりたいと考えております。本日のシンポジウムがご来場の皆様に少しでもお役に立てれば大変幸いに思います。 本日は、パネリストの皆様、本当に貴重なご見解をご披露いただきまして、また、活発なご議論をいただきまして、まことにありがとうございました。最後に、パネリストの皆様に改めて大きな拍手をお願い申し上げます。(拍手) 本日は、ご参加いただきまして、まことにありがとうございました。これでシンポジウムを終わりとさせていただきます。(拍手)