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リサーチ・アイ No.2019-028

サウジアラビアの原油供給リスクをどうみるか

2019年09月24日 藤山光雄


9月14日にサウジアラビアの石油施設が無人機などの攻撃に遭い、日量570万バレルの生産が停止。これを受け、原油市場ではWTI原油先物価格が一時60ドル台前半まで急騰。ただし、米国をはじめとした石油備蓄の放出検討や、サウジアラビア高官による早期の生産回復を強調する発言などから、過度な供給懸念が後退し、足許で50ドル台後半まで反落。

サウジの生産能力が数週間以内に攻撃前の水準を取り戻せば、原油価格は現状水準で推移する見込み。もっとも、攻撃を受けた施設の復旧ペースには依然として不透明感が残存。また、石油施設への新たな攻撃や、米・イラン間の緊張の高まりによる軍事衝突のリスクも否定できず。

サウジアラビアの原油・石油製品の輸出量に対する在庫日数はそれぞれ25日・55日にとどまること、サウジアラビア以外のOPEC加盟国の余剰生産能力は日量100万バレルに満たないことを踏まえると、サウジアラビアの産油量が数ヵ月にわたって大幅に減少すれば、市場で逼迫感が強まる公算が大。主な原油輸入国の石油備蓄は潤沢なものの、備蓄の取り崩しが長引けば、備蓄水準の低下が先行きの懸念材料として意識される可能性も。

また、IEAは9月の月報(事件前の12日公表)で、世界の原油需給バランスは年末にかけてやや需要超過となった後、2020年前半に日量150万バレル弱の供給超過に転じると予想。もっとも、サウジアラビアの原油供給が日量数百万バレル規模で途絶えれば、需給逼迫感が大きく強まる格好に。世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアの生産量の増減が市場に及ぼす影響は極めて大きいため、今後の同国を取り巻く情勢を注視していく必要。

サウジアラビアの原油供給リスクをどうみるか(PDF:205KB)
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