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革新技術を見極める眼が必要

2017年07月25日 井熊均


 先月末に「自動運転 勝利の法則 レベル3をめぐる新たな攻防」という本を出しました。
 最近、IoTとAIへの注目が高まっていますが、その中でも、自動運転は市場規模が大きく最も高度な技術が要求される分野と言えます。
 我々は、ここ数年間、自動運転を視野に入れて、コンソーシアム活動や実証を進めてきました。そうした活動の中から得られた知見や各種の情報を整理すると、IoT、AIについてはいくつかのことが言えると思います。

 まず、IoTについては、これまでの制御の高度化の延長で間違いなく市場が広がるはずです。ITが飛躍的な進化した分、市場の開け方も速くなるでしょう。
 一方で、虚実が混在しているのがAIの世界です。様々なデータを分析してコンピュータが機械などの作動を制御できる範囲はますます大きくなります。マーケティングでもこうした分析機能が役に立つはずです。AIの実の部分と言えます。

 自動運転の技術は、レベル1と呼ばれる衝突防止のような技術から、レベル5と呼ばれる完全な自動運転まで、5段階に分類されています。このうち、既に、レベル、1,2の技術は日本車などでオプションとして商品化されており、一部では限定的なレベル3の技術も商品化されています。片や、時速30km程度の走行やテストコースでの自動運転などで、レベル4,5の技術が実証されています。同じ自動運転の技術でも、この二つの動きはそう簡単にはつながりません。純技術的には可能でも、社会的には相当先のことか不可能なことでしょう。つながる可能性が低いものを、あたかもつながるように見せるのはバブルの典型です。

 しかし、IoTやAIに限らず、社会に大きな変革を与える革新技術はバブルと共にやってくるものです。そこでチャンスを掴むには、砂上の楼閣と、その下にしっかりと残る革新技術の基盤を見極める眼が必要になります。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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