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働き方改革(生産性改革)の阻害要因

2017年06月27日 井熊均


 働き方改革の取り組みが全国的な広がりを見せてきました。改革をしないと人材を維持、確保できない、新たな価値が創造できない、と思っている企業が多いことの表れでしょう。並行して、働き方改革とは生産性改革である、という認識も広がってきました。

 一生懸命働いていると思っているのに、日本は欧米より何割も生産性が低い、と言われています。先日、日本の生産性の低さを改善するには規制緩和が必要である、という記述を読んで違和感を覚えました。過度の規制が社会的な生産性を低くすることは確かですが、日々の仕事の中で、規制のために生産性が落ちていると感じる局面がそれほど多いとは思えません。日本の生産性の低さの大きな原因は企業の中にあると考えるべきです。

 例えば、一握りの優秀な人材が考えればいいものを、会議を開催して何時間も議論しているようなケースはないでしょうか。ハンコの行列で誰が責任を取っているのか分からない書類がいまだに残っていないでしょうか。トップの指示を過剰解釈してリスク管理がインフレしていることはないでしょうか。実務面の判断を下すべき人が社内会議に追われて現場に足を運べなくなっていないでしょうか。会議や上申が形式化して、実質的な議論より、準備にばかり時間がかかるようになっていないでしょうか。

 ITやプロジェクトマネジメントなどのスキルが生産性に寄与するのは確かです。しかし、生産性向上の源泉は、無駄だと思うこと、過剰だと思うことは止める姿勢を徹底することだと思います。規制の緩和は政府に任せ、日本企業ならではの工夫を発揮して、無駄なこと、過剰なことを払しょくすれば、日本ならではの働き方改革、生産性改革が進むはずです。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。


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