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SCOPE研究会政策提言発表
~求められるスマートな住宅街区パッケージ展開のための規制緩和~

2012年06月15日

各位

株式会社日本総合研究所

 株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区 代表取締役社長: 藤井 順輔)は、次世代のエネルギーマネジメント機能等を備える次世代住宅街パッケージ開発を行うビジネスモデルの推進を目指し、関連する業界や自治体などの意見を集約する場として2011年10月より「SCOPE(Social Cooperation for Promoting Eco-Town)研究会」を立ち上げ、スマートハウスの連携を核とした住宅街パッケージのビジネスモデルや、その実現を支援する政策のあり方を議論してきました。その検討の成果として、政策提言内容を取りまとめましたので、発表いたします。
 あわせて、エネルギー市場における自由化のあり方、ビジネス創出の戦略についても、発表いたします。

●課題認識
 福島第一原子力事故に起因する電力供給不安は大規模集中型電力システムのリスク耐力に関する新たな課題を提起させました。このリスクを低減するための新たなエネルギーシステムのあり方が求められています。
 そうした中、日本では次世代のエネルギーシステムに関する議論が続いており、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の成立や、電力自由化に向けた方向性も決まりました。しかしながら、こうした改革が行われたとしても、世界的に先進性のあるエネルギーシステムやビジネスを生み出すことはできません。いずれの改革も、既に世界の多くの国で実行された、周回遅れの改革であるからです。こうした状況に加え、日本の太陽電池など、日本のエネルギー要素技術は性能の高さには定評があるものの、コスト競争力の低下が懸念されています。
 日本は東日本大震災からの復興に加え、厳しさを増すグローバル競争、あるいは世界的な環境政策や資源ひっ迫への備えが求められており、エネルギーリスクへの対応と世界との競争に打ち勝てるエネルギー成長戦略のあり方が問われています。

●課題解決の方向性
上記課題に対応するためには、以下の二つの観点が必要です。

(1)従来の枠組みを超えた電力自由化の推進
1)求められる需要サイドでのエネルギーの自律性
 大規模集中型電力システムへの依存に由来するリスクを低減するには、近年の分散型エネルギーシステムを取り入れ、需要サイドでのエネルギーの自律性を高めることが重要です。大規模集中型システムがダウンした場合には、需要サイドの分散型システムがエネルギー供給を担い、逆の場合は集中型システムが担うことで、リスク耐性を大幅に高めることができます。

2)分散エネルギー利用時代の電力自由化のあり方
 分散型エネルギーシステムが普及すると、需要サイドにある一般家庭が供給力を持つなど、供給者と需要家を明確に線引きできなくなります。一方、これまでの電力自由化は、供給者と需要家が系統を介して明確に線引きされることを前提に、供給側への新規参入制限を緩和するという構造にありました。以上の状況から、今後は従前の供給者、需要家の定義に沿った一方向的な電力供給を前提とした自由化に留まらず、多様なエネルギー需給構造に即した縦横な自由化を目指す必要があります。

(2)世界をリードするビジネスモデルの創出
 日本の要素技術に関する競争力の低下を打開するため、複数の技術を組み合わせたシステム・パッケージ型のビジネスへの期待が高まっています。そうした中、官民連携でパッケージ型のインフラ輸出に力を入れています。「個別の部品」として買い叩かれながら導入してもらうのではなく、パッケージにすることで上流の導入戦略や導入後のオペレーションも含めて一連のプロセスに介入し、付加価値を下げずに商品群を導入できる可能性が高まります。
 そこで注目されているのがスマートシティ市場ですが、いまだ具体的で有効なシステム・パッケージが見出されていないのが現状です。スマートシティ市場での展開を成功させるためには、日本企業の強みを活かすことができる具体的なシステム・パッケージを提示する必要があります。その際、エネルギーの最適化に加え、パッケージ化にあたっては生活アプリケーションをいかに取り込んでいくかが大切になります。

●システムパッケージとしてのスマートハウスのネットワーク連携
 上述した課題を解決する手段として、スマートハウスのネットワーク連携による、「スマート・レジデンシャル・スクエア」(Smart Residential Square : SRS)という街区パッケージのコンセプトを提唱します。

(1)スマートハウスのネットワーク連携が創出する新しい価値
a.関連産業の裾野が広いスマートハウス
 スマートハウスは、安全性、環境性の高い住宅に、PV(太陽電池)、FC(燃料電池)、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)などが設置され、EV(電気自動車)とも接続できるエネルギーシステム機能を有した住宅です。高効率なエネルギー利用と快適で安心な生活を目指すスマートハウスには、その設備機能の多様さから、住宅メーカーのみならず、電器、IT、自動車など、多くの分野の企業が参画しています。関連産業の裾野が広く、今後も様々な技術、サービスが創出されることから高い経済波及効果が期待できます。こうしたスマートハウスに対しては、世界的に見ても日本は商品作りにおいてリードしています。

b.スマートハウスの連携でさらに付加価値を高める
 単独でも大きな可能性があるスマートハウスですが、単体としてのスマートハウスの販売では、スマートシティ全体からすると一つの「部品」の提供に留まってしまう可能性があります。複数世帯をネットワーク化すると一層付加価値が高まります。スマートハウス単独では提供できない、街としての新たな付加価値が生み出されるからです。スマートハウスの連携による付加価値をパッケージ化し、世界のスマートシティに展開することができれば、インフラ輸出において有効な武器となります。

(2)スマート・レジデンシャル・スクエアのビジネスモデル
a.「一体性」を創出
 100軒程度の住宅街は、開発機会が多く、かつ、エネルギーやその他のサービスでも集合効果が見込める規模となります。そのため、SRSでは、100軒程度のスマートハウス世帯を束ねて街区としての「一体性」の創出を目指します。その上で、世帯個別では実現しにくいサービスをリーズナブルなコストで提供します。
 SRSの機能は、各々のスマートハウスが持つ分散型電源を最大限に活用するエネルギーシステムと、さらに街としての付加価値を高めるため、エネルギーのネットワーク基盤上に実装される生活サービス・アプリケーションにより構成されます。

b.エネルギー関連機能
 分散電源や蓄電池を利用して、コミュニティ一体として需給制御を行うことで効率的に分散型エネルギーシステムのメリットを引き出します。たとえば、街区内の住宅間での電力融通をサポートするとともに、昼間など太陽光発電による余剰電力が発生した場合には出力を整形した上で系統などへの販売を行います。これにより1軒あたりの費用負担を低減しつつ、余剰電力の使用価値を高めることができます。
 こうした電力需給構造を実現するには従来の枠組みを超える電力自由化を進めることが求められます。それはまた、日本が世界で最も先端的な電力需給構造を作ることにもつながります。

c.生活・コミュニティ向けサービス関連機能
 さらに、ITで管理されたエネルギーサービスのインフラをプラットフォームとして、生活・コミュニティ向けのサービスを提供します。そうすることで、安心・安全に加え、便利・快適なコミュニティを形成することができます。街区としての防犯サービス、設備の継続的なメンテナンス等を含む街区のマネジメントや、住民のニーズを束ねて外部のサービスを低コストで調達するサービスアグリゲーション機能を発揮することができます。

●SRS導入の成果
(1)産業プラットフォームの構築
 SRSは、下記の観点から日本の戦略的な産業プラットフォームになり得ます。
 ・住宅、エネルギー、電器、自動車、IT等の新技術が融合される場となる。
 ・住宅内、街区をネットワーク化するシステムの実装の場となる。
 ・住宅、街区を対象としたマネジメントサービス創出の場となる。
 ・以上をもって、関連企業個別の技術、システム、サービスの成長の場となる。
 ・スマートコミュニティの海外展開の戦略商品となり得る。
 ・住宅産業の裾野の広さをもって国内での付加価値波及の核となる。
(2)新しい電力システムの普及
 ・電力システムの信頼性向上
 ・再生可能エネルギーの普及促進
 ・電力自由化に向けた市場づくり
(3)活力ある街づくりへの貢献
 ・街区としての一体性のある新しいコミュニティ作り
 ・地域マネジメントによる時間の経過により劣化しないコミュニティ作り

●SRS実現のための政策提言
 数々のメリットが考えられるSRSですが、普及のための障害がいくつか存在します。これらの障害を取り除くための規制緩和等が求められます。ここでは主なものを抜粋して記します。

(1)規制緩和の必要性
1)電力融通を巡る規制緩和
 SRS街区内の世帯間の融通を行ったり、SRS街区のエネルギーを外部に販売することを容易にしていくためには、現状の特定規模電気事業者に求められる届出や報告義務を各世帯に求めることは現実的ではないため、街区としての電力販売の手続きが簡易に行えること、ならびに、地域の配電網を安価な託送料金で利用できることが不可欠です。

2)地域エネルギーマネジメント推進上必要な制約の緩和
 SRS一体として電力調達を行ったり、その余剰電力を販売していくためには、複数の需要家を束ねて、一つの契約として電力を調達することが求められます。そのため、現状の電気事業法制度の枠組みを活用しつつ規制緩和を推進していく方式と、電力自由化を見越した新しい枠組みを創出していく方式の2パターンがあります。

a.現状の電気事業法制度の規制緩和
 以下のいずれかを緩和していくことが求められます。

方式概要と緩和内容
特定電気事業特定電気事業は、各地域に限定された電力事業者であり、その地域に限れば事業者は原則として電力供給義務を果たす必要があるため、十分な量の電源を確保する必要があります(需要の50%以上)。太陽光発電などの分散電源を活用するケースでは、電源量確保の制約を行うためには自家発電など追加の電源を確保する必要があり、高コストになるため、必要電源量の緩和が求められます。
特定供給特定供給は、同一グループ会社間など、電気供給者と需要家に「密接な関係」を有する場合に、自営線と電源を確保して電力を供給する方式です。活用し易くするためには、需要の100%の電源確保の制約を取り除き、外部からの電力供給も可能とすることが求められます。さらに、「密接な関係」の解釈を拡大し、一般街区においても、エネルギーマネジメントを一体として行おうとする者に対して適用されることが求められます。
高圧一括受電高圧一括受電は、マンションなどの同一構内で、もともと別の需要場所であった各世帯をとりまとめて一つの需要場所とし、一つの受電契約を行えるようにしたものです。従来、塀で囲まれたり、間に市道が入るような複数の戸建て住宅間では認められませんでした。複数世帯でもエネルギーの一体管理を受けるために何らかの一体性を作れば、「一の需要場所」と解釈され、「1マネジメント単位で1契約」となることが可能になることが望まれます。

b.新しい枠組みを創出する場合
 従来、電気供給契約では、「一需要家一契約」が原則でした。これを、同一地域における「複数需要家一契約」を認めるようにすれば、複数世帯が一つとなり、外部の電気事業者と一つの供給契約を締結できたり、あるいは複数世帯の余剰電力を取りまとめて販売できるようになります。これにより、エネルギー管理における「一体性の効果」を柔軟に追求できるようになります。電力自由化議論の中で、この新しい枠組みを利用した柔軟な制度設計が望まれます。

3)分散電源設置・系統接続を円滑に推進するための施策
 分散型電源のエネルギーシステムの設置、維持管理には主として安全を理由とする様々な規制により設備の設置コストが上昇します。技術の進化を踏まえた分散型エネルギーシステムの実態に即した規制への転換が必要です。
 また、分散電源や蓄電池を配電網に接続する際、系統接続の是非や保安規則の準拠の判断に関する属人性を排除するため、条件を透明化するとともに、準拠性の判断について必要に応じて公的な第三者の仲介を要求できるなどの制度が求められます。
 これらの基準等の設定に当たっては、系統を運営する電力会社の側において、再生可能エネルギーを普及させていくべきという時代背景を認識し、系統側において系統安定化のための相応の負担を負い、需要サイドに一方的に負担を負わせないことが求められます。

(2)モデル事業の創設
 SRSをモデル事業とし、エネルギーの自律性、コミュニティマネジメントの機能の有無など街区のマネジメントレベルについて一定の条件を満たすことを前提に、関連する補助制度について、サービス事業者が一括で申請、活用できる環境を整備していくことが重要です。
 従来の国内のスマートシティに関わる実証事業は、「技術の実証」が中心でした。モデル事業では、技術に加えてビジネスモデルとしての確立を目指し、SRSに該当する事業については政策支援を行うことで、事業者が収益を追求しつつ、継続的に運営していくモデルの創出を目指します。
 加えて、区画内のインフラ整備、住宅整備に関する、優遇金利、税制優遇、等の整備も期待されます。

※SCOPE研究会参加企業
 SCOPE研究会の会員企業は、以下の通りです(五十音順)。
 (公表可能企業のみ掲載)
 アイピー・パワーシステムズ(株)
 アストモスエネルギー(株)
 イーキュービック(株)
 (株)エナリス
 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)
 (株)NTTファシリティーズ
 JX日鉱日石エネルギー(株)
 シンフォニアテクノロジー(株)
 鈴与商事(株)
 (株)生活科学運営
 積水化学工業(株)
 大和ハウス工業(株)
 タカノ(株)
 中央電力(株)
 (株)つなぐネットコミュニケーションズ
 (株)東急住生活研究所
 東武鉄道(株)
 日本電気(株)
 VPEC(株)
 (株)三井住友銀行
 (株)ミツウロコ
 (株)メックecoライフ
 ヤンマーエネルギーシステム(株)

 上記に加え、不動産関連会社・エネルギー関連会社のほか、オブザーバーとして自治体や公益法人などが参画して、議論を展開しました。

<提言詳細>
詳細は、「スマート・レジデンシャル・スクエアの展開に向けた政策提言」をご覧ください。

以上

本件に関するお問い合わせ先

【報道関係者様】
広報部 山口直樹 TEL: 03-6833-5691

【一般のお客様】
創発戦略センター 松井英章 TEL: 03-6833-5388

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