B Corp認証の取得企業のなかにはスタートアップが散見される。スタートアップの世界では、シリコンバレー型成長モデル、つまり短期間で急成長して大きな金銭的リターンを得ることが王道とされてきた。成功確率が極めて低いだけに、社会や環境にまで目配りする余裕はないはずである。それにもかかわらず認証を取得しているのは、創業者がもともと自社利益だけでなく公益の追求に強い目的意識をもっているためである。彼ら・彼女らは、事業が大きく成長することを目指しつつそれだけを絶対視せず、社会や環境にも配慮する事業展開のほうが、社会全体にとって価値があり、同時に自分自身も充足感を得ることができると考えている。
B Corp認証を取得するには、地域への貢献を含め全方位で「よい企業」である必要があるため、認証取得スタートアップが立地する地域にもさまざまな恩恵がもたらされる。恩恵はとくに地方では経済活性化と持続可能性の向上につながる。前述の通り、今後認証スタートアップの増加が見込まれるなか、その動きを地方にも広げられれば、「よい企業」を触媒に地方創生の取り組みも前進することが期待できよう。