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リサーチ・フォーカス No.2024-008

日銀の金融政策の見直しに際して銀行に求められる取り組み

2024年05月20日 大嶋秀雄


本年3月、日銀は、マイナス金利政策を解除するとともに、長短金利の操作を行う金融政策枠組み(イールドカーブコントロール)から、無担保コールレート翌日物の誘導目標を設定する「普通の金融政策」に回帰。足元の賃金上昇やインフレの動きが持続すれば、日銀は段階的な利上げやバランスシートの縮小を進めていく見通し。

一般的に、利上げ局面では、金利上昇に伴う預貸利鞘の改善等を通じて銀行収益にプラス影響が生じるが、前回(2006~07 年)の金利動向等を踏まえれば、各行の経営環境や事業戦略、バランスシート構成等によって収益影響にバラつきがでる可能性。

借り手サイドをみれば、企業セクターでは、総じて金利上昇への耐性が高まっているものの、コロナ危機やインフレ等による財務影響は区々であり、金利上昇に脆弱な企業も一部に存在。家計セクターでは、全体として預金利息収入等のプラス影響が大きいものの、住宅ローンを抱える現役世代では利払い負担が重しに。また、両セクターともに「金利のある世界」に慣れておらず、金利上昇への過度な恐怖心から消費・投資が萎縮する恐れも。

こうした状況を踏まえると、今後銀行に求められる取り組みは以下の通り。
①金利上昇に伴うリスクへの対応
本格的な金利上昇局面に入る前に、金利上昇に脆弱な投融資先を見極め、信用リスクへの対応を強化する必要。また、預金獲得競争に伴う預金流出(流動性リスク)や金融市場の変化(市場リスク)への備えも重要。
②企業や家計の「金利のある世界」への備えの後押し
企業の収益力強化・生産性向上を後押しして金利上昇への耐久力向上を図るほか、住宅ローンを抱える家計に対する将来の返済負担の可視化や家計管理・資産形成の助言等によって、「金利のある世界」への備えを促す必要。
③銀行のビジネスモデル改革の加速
金利環境が変わっても、銀行のビジネスモデル改革は引き続き重要。多様なサービス提供により貸出の付加価値を高め、金利上昇の恩恵を享受すべき。


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